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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第351話 すでにいるらしい

 新聞を広げてテーブルについていた兄が顔を上げた。

 にっこり。朝からさわやか笑顔。

「おはよう、璃々亜」

「おはようございます、お兄様」

 いた。

 まだ6時ですけど、すでにいたよ。いつもはジョギングかなにかしてる時間じゃないのかな??

 読んでいる新聞は、経済新聞のようです。……経済のこと、私、これっぽっちも考えたことないんだけどなぁ……。

「お、おはよう、璃々亜」

 嘉久が、手に持った本を読んでいるふりをしながら挨拶をしてきた。

 視線がちょろちょろ落ち着きなく本の上をすべっていて、読んでないのがバレバレです。

 まったく、昨日のハプニングは忘れろと何度言えば……いや、心の中で言っているだけだけどな……。

 ん?

「おはようござ……」

 あれ?

 なんだかいつもの嘉久と違う。

 頭のてっぺんにちょろんと……。

 ちょろんと……寝癖が跳ねてる……!

 何、あの、漫画みたいに綺麗にちょろんとてっぺんで跳ねてる髪の毛は……。面白い!

「うっわっ」

 あ、しまった。

 思わず手を伸ばしてちょんっとつついてしまった。

 嘉久が大声を出して椅子から立ち上がって距離をとる。

 もー、驚きすぎだし。昨日の復讐で髪の毛思いっきり引っ張られて禿げろとか言われるとでも思ったのか!失礼な!

 ……いや、まて、もしかして、璃々亜(旧)はそういうことした過去があるとか?

「な、な、な、何を、璃々亜っ」

「いえ、驚かせるつもりはありませんでしたの。嘉久様、寝癖が……」

 ぷっ。

 あまりにも動揺して慌てた顔してるのが面白くて、もう、昨日のことはどーでもいいや。

「お、本当だ嘉久。起きてから鏡を見たか?」

「え?鏡?あ、いつも家を出る前にしか……」

 そうか。出る前に玄関とかにある鏡でチェックするタイプですか。嘉久は……。

 頭に手を持っていき、跳ねてる髪の毛を確認すると慌ててダイニングを出て行った。

 ……おっと、こうしてはいられない。パンを食べて出かけるんだ。

 キッチンの冷凍庫に手を伸ばすと、もう一つ、私の物ではない手が伸びてきた。

「璃々亜は座っておいで。私がするよ」

 にこっとさわやか笑顔の兄がそこにいる。

「クロワッサン2つでいいかい?飲み物はロイヤルミルクティーなんてどうだい?」

「ありがとうございます。では、お願いいたしますわ」

 シスコン兄万歳。

 あっという間に、サックサククロワッサンとロイヤルミルクティ、それからフルーツサラダが並びました。

 うおおおおっ、女子力ぅぅぅ。いや、違う、これ、男子力なのかな?

 兄、さすが。あれだ、ベッドまで朝食運んでくれる系男子だっ!ぎゃおー、お買い得兄ですよっ!

 芽維たん、嫁にくるかい?

 ……いや。高校卒業してからね。うん。とりあえずフラグ回避だけはしてからにしてください。

「うわー、おいしそうだな!」

 嘉久がにこにこして戻ってきた。

 もう、必要以上に照れたりするのは卒業したようだ。うむ。よかったよかった。

 頭の上の寝癖があった場所はちゃんと整えられる。あーあ、あれ、可愛かったのになぁ。アニメキャラみたいで……。

 と、嘉久の頭に視線を向けたそのすきに……。

 うわーっ!

 目の前に二つあったサックサククロワッサンが、一つになってる!

「うん、冷凍パンもうまいな」

 もぐもぐって、嘉久の口に、クロワッサンがー!

「わ、わ、私の……クロワッサン……」

 うぬぬぅっ、うぬぬぅっ。

「こらっ、嘉久!璃々亜を取るな!待ってろ、すぐにまた焼いてやるからな」

 兄が、嘉久にげんこつ落としてキッチンに向かう。

「敦也兄、俺のも!」

「お前は、後で朝食食べるだろう?」

「大丈夫。パンは別腹!」

 ぶっ。

 女子の甘いものは別腹みたいに言うなっ!パンは朝食だろっ!別腹ちゃうわ!

 ……っていうか、育ち盛りの男子高生の胃袋的にはパンは別腹扱いで間違ってないのだろうか……。

「わかったわかった。3つでいいか?」

「4つ!」

 ふおっ!

 ま、まって、まって、まって……!

 京様のために、朝食を用意する都キャプテンボイス!な、な、な、何、何なの?

 このご褒美シチュエーション!

 まって、えっと、まって……。

 単に親がいない日に、どちらかの家に泊まりにきたとかそういう……も、もちろん昨晩は……都キャプテンが京様になんちゃらかんちゃら(18R規制)でもって、都キャプテンが朝はかいがいしくご飯の用意をしてあげる的な……。

 そ、それとも、大学進学して一人暮らしを始めた都キャプテンの家に、休みを利用してやってきた京様とか……

 ぎゃー、わー、ちょっと、ちょっと、場面確定できそうなもうちょい妄想ボイスよろしくっ!

「相変わらず、よく食べるなぁ」

 はい!

 一人暮らしの家に来た決定!

 何度も朝食にパンを焼いてあげてる感のある台詞だった!

 あー、脳内録音、録音。そうか。作中の1年後か2年後設定ね。ふんふん。こういうのもいいねぇ。

 ん?

 妄想力が戻ってきた。よし、私、今日の体調はばっちりです。

 さて、食べたら出発~じゃなくて、タクシー呼ばなくちゃなの。どうやって呼ぶんだっけ?

いつもありがとうございます。

寝癖が書きたかった、ただそれだけの回になってもうた……。

嘉久の立ち位置が残念方向にめいっぱい舵が切られてる気がしてならない……。

もうちょっと残念以外の言葉で表現してやりたいが、無理だ。ごめん。

さぁ、そろそろガクブル怖い人にバトンタッチしようかのぉ……

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