閑話 お守り
あけましておめでとうございます。
「ふふふっ」
胸ポケットに手を置き、思わず笑みがこぼれる。
お土産だと、りりあお嬢様がくれたお守りが胸ポケットに入っている。
交通安全。
運転手という仕事をしている私のことを考えて買ってきてくれたのだろう。
「おみやげよぉ。蜂川しゃんにあげるの」
小さなりりあお嬢様が、嬉しそうに手渡してくれた品はどれも大切に取ってある。
幼稚園のころ。クラスで作った小さな人形。
拾ったどんぐり。
それから、おやつの時間においしかったからと半分残してくれたクッキー。
さすがにクッキーは残して置けないので食べたけれど。
嬉しかった思いで、楽しかった思いで、素敵なものを見つけた感動、それらを私に分けてくれた。
おみやげだと言って……。
いつからだろう。
りりあお嬢様が、お土産をくれなくなったのは。
いいや。何もくれなかったわけではない。
小学校の時も、中学校の時も、修学旅行へ行けばおみやげだと何かをくれた。
だけどそれは、形ばかりの品で、お土産を渡すために買われたものだった。
小さなりりあお嬢様がくれたような、素敵なおすそ分けではなかった。
だけど、このお守りは……。
楽しかったという気持ちのおすそ分けだ。
りりあお嬢様の顔がそう言っている。
それが私には何より嬉しくて。高校に入ってから、りりあお嬢様の笑顔が増えたのが嬉しくて。
どうか、このまま、幸せになってほしい。
そうだ。今度は私が、お嬢様のためのお守りを買ってこよう。
奥さんと一緒に……久しぶりに二人で出かけてみるか。お嬢様に、お守りを買うために……。
あけましておめでとうございます。新年のご挨拶をと、短いですがほんわかする閑話をアップいたしました。
今年もよろしくお願いいたします。




