第318話 ゴールデンウィークの話らしい
「ゴールデンウィークの話をしてるんだっ!」
ああ、ゴールデンウィークの話?
ん?
ゴールデンウィークの話で、何かあったような……。
そうだ、兄に相談しようと思ってたんだ。
「お兄様、相談したいことがございます」
「何だ、璃々亜?ゴールデンウィークに私とどこかへ出かけたいのか?」
「違います」
全然違う。
しまった。あっさり正直に答えすぎた。兄が見るも涙、語るも涙っていう様相をしておる……。
……あ、ごめん。
兄が悪いんじゃないよ?シスコンうざいとか、シスコンきもちとか思って断ったんじゃないからね?
一緒にいる時間が増えると、ぼろがでると困るからね。
昔の記憶がないこととか、腐女子だとか、隠すこといっぱいで……。と、説明するわけにもいかないので、えーっと。
「生徒会のお仕事とか、お兄様は忙しいでしょうから、わがままは言えませんわ。ほら、KHTのこととか……」
えへへと笑ってごまかす。
兄、ぱっと顔を上げた。よし、復活。
「璃々亜、私のことを気遣って……いいんだよ、璃々亜。璃々亜のためなら生徒会の仕事は、他のメンバーと嘉久に振るから」
おわっ、まさかの人任せ宣言でました。
「ちょっ、敦也兄、今、俺の名前を入れただろ?俺は、生徒会役員じゃないんだからな!敦也兄が璃々亜と遊びに行くなら、俺も行く!」
ふわっ!
脳内変換&脳内録音開始!
京様が、都キャプテンが行くなら、俺も行くと言ってます!
いやぁーん。
な・か・よ・しっ!
さぁ、都キャプテンはなんと答える?
ワクワク。
「来なくていい」
がくっ。
兄よ……妹のこの、期待に満ちた眼差しを無視したな?
違うんだ、違う!都キャプテンボイスで行ってほしい言葉はそんなんじゃないのっ!
ったく、腐女子の心が全く分かってないんだから!
何やら二人がにらみ合っているすきに、残りのご飯を口に運ぶ。
ふはー。おいしかった。
満足満足。
「で、相談ってなんだ?」
あ、忘れるところだった。
「ゴールデンウィークに、料亭でご両親に紹介していただけることになったのですわ」
えへへ。いいでしょ。
自慢げに笑って見せる。
友達を両親に紹介したいんだって。私、友達だと思ってもらえてるんだよぉ!
まだ、何度かしか顔を合わせていない図書委員の子にね。うふふふ。
やっぱり、一緒に目標に向かって協力する仲間とは友達になりやすいのかしら?だとしたら、図書委員長や2年特待生男子に感謝しなくちゃね!
嘉久も兄も白くなった。
あれ?
なんて顔してるの?そこまでショック受けなくてもいいよね?
私にだって友達くらい……。
「ど、ど、ど、どこの、どこの、馬の骨だ……」
兄が、腹の底から絞り出した低い声を出す。
馬の骨?何その、京様に言い寄ってきた男に対する呼び方みたいなの。
「璃々亜、両親に紹介って……つまりは、二人は、そういう、そういう……」
嘉久が魂の抜けた力のない言葉を発する。
あー、私が両親に紹介してもらえるくらい仲良しな友達がいるっていうのにショックを受けたの?
同じボッチだと思っていたら、一歩も二歩も進んでいる現実を知ってショックだった?
「いえ、まだそれほど親しいわけでは……これから、あの、親しくなりたいと思っているのですわ」
だが、正直に答えよう。
正直、まだ友達だと皆に堂々と言えるほど仲が良いとはいいがたい。
だが、このゴールデンウィークの打ち合わせで親交を深めるのだ!にゃはっ。
「こ、これから?だったら、俺じゃだめなのか?俺だって……」
は?
嘉久とは幼馴染だけど、すでに私とは友達だよね?友達と呼んでいい程度には親しいよね?それとも、嘉久の友達の定義はもっともっと親しくないとだめなの?
……お互いの家を行き来するとか……あ、してるな。
パジャマパーティーするとか。……いや、それは女子同志の場合限定か。田中くんともパジャマパーティーするわけないもんなぁ。……ん?なんか、弟となら姉と弟のパジャマパーティーとかしそうだな……。だが、二人ともパジャマパーティーだってはしゃぐキャラじゃないし……単に、パジャマ着て一緒にテレビとか見てそうだな……。
いや、それ、パーティー違うし。
そもそも家族である姉弟なんだから、それ、日常。
そういえば、男同志のパジャマパーティーとかは聞かないな。
っていうか……BL世界では男同士はパジャマパーティーじゃなくて、裸体パーティーだけどな!ふふ腐。
おっと、だめ。
京様と都キャプテンの二人だけの裸体パーティーを想像しちゃうところだったわ!やっべやっべ。
戻そう、話を戻そう。
いつもありがとうございます。
パジャマパーティーという言葉が、そもそも女子の集まりをさす言葉だそうですね。
璃々亜の、足りない言葉に、兄と嘉久大混乱です。




