第315話 そのころ応援委員は、そういうことらしい
今、今、何ていいました?
と、と、と……。
と、と、と……、ととととと、……。
友達?
友達を紹介したいとか言いませんでした?
紹介されたら、友達ってことだよね!
そ、それは、ぜひ、ぜひ、ぜひ、お伺いしなければっ!
「そんなにおっしゃるのでしたら、伺いましょう」
キラーン。
このチャンスは逃しませんことよっ!
あ、手のひら返した私に、他の1年生が白い眼を……。
だって、だって、友達だって両親に紹介するって言うんだよ?普通は行くよね?あ、でも料亭ご飯をごちそうになるのはダメだよね……。
えっと、えーっと、そ、そうだ!
料亭といえば!
「まかない」
「は?」
「いえ、賄いというものに興味がございますの。もし、よろしければ料亭でお客様にお出しするお料理ではなく、賄いをごちそうしていただけませんこと?」
これなら、高いコース料理を人数分ごちそうするよりはリーズナブルだよね?……賄いなら身内の食事だし、家族っぽく、誰々ちゃんちのご飯食べに行く程度のことになるよね?
「え?賄いですか?」
あ……。
もしかして、お嬢様が賄い食べたいとか……言ってはいけないような言葉だったのかな……。
でもさ、裏メニューとか賄いとか、すんごくおいしそうだよね?
「あの、でしたら皆様がお嫌でなければ……修行中の見習い板前の作った料理の試食をお願いしてもよろしいでしょうか?」
試食?
うん、それなら遠慮なくごちそうになれるね。
「あ、修行中と言っても、もう何年も下積みしていて、そろそろ合格点が出せるかどうかというレベルの人なのですが……まだ、内輪の人間しか試食していなくて、お客様にお出しする緊張感で料理を作った経験が無くて……。皆さまに食べていただくものを作るのはとてもよい経験になると思うのです……」
おお、なるほど。
腐っても鯛じゃないけど、中身が腐った私でも生粋のお嬢様だからね。舌は超えてると思われてますし。他のメンバーもそうだよね。
練習台だと言われれば、断る理由もないというか、むしろ断ると料亭娘ちゃんが傷つくよね。
「わ、私たちが試食を、ですか?」
「えっと、役に立つというのであれば、お言葉に甘えてごちそうしてもらうか?」
料亭娘ちゃんがにっこり笑い、そして、他のみんなも笑った。
そっか。
単にごちそうしてもらうのではなく、試食という役割があれば、WIN-WINの関係ってことになるんだね。
どちらかが一方的に与え、どちらかが受け取るだけっていうことはなくなるんだ。
「ふふっ、料亭で打ち合わせなんて、会社役員みたいですわね」
一人が笑う。
「個室もございますし、会社役員の方ばかりでなく政治家の皆さまにもご利用いただいておりますわ。あと、お忍びの芸能人とか……」
うおー、料亭は料亭でも、かなりの格式あるところ?
何はともあれ、料亭での第一回図書委員親睦会が決定したのであります。
っていうか、友達を紹介したいって言ってたけど、何を着て行ったらいいんだろう?
普通、お友達の家におよばれしたときって、何か手土産持って行った方がいいんだよね?
何がいいかな……。
料亭でしょ?
みんなで行くわけでしょ?
あれ?
普通は家族に向けてだけど、この場合は従業員にもいきわたる方がいいのかな?
試食も兼ねているとはいえ、場所を借りた上にごちそうになるわけだから、従業員のお世話にもなるわけだし……。
ってことは、およばれするみんなで相談して、お金出し合ってお土産購入っていうのが一番無難なのかな……。
うわー、難しい。
みっきゅんの家に行くときは、高校生のころから何度も行っていたし、おばさんもおじさんも「おーいらっしゃい」って姪っ子でも迎えるような態度で接してくれてたし。お土産とか持っていくお呼ばれではなくて、友達の家に遊びに行く感じで……。旅行とか行ったときくらいかな、手土産持って行ったのは。
だから、もしかしなくてもちゃんとおよばれとかしたことないかも……。
あ、璃々亜(前)はどうだったのかな……。
とりあえず、困ったときは兄だ。
兄に聞いてみよう。友達の家におよばれするからどうしたらいいかって。
相談が終わり、田中くんと並んで教室に戻る。
「嬉しいな」
ん?
言葉通り、田中くんはとても楽しそうな表情をしていた。
「GW中に2回会えるな」
「ええ、そうですわね」
そうか。田中くん、部活付けだもんね。友達と会う機会とかきっと少ないんだろうなぁ。友達は多いかもしれないけど……。
だから、友達と会える約束が2回もあるのは、うれしいんだね。
ふふふ。私も嬉しい。
GWに、友達との予定が2つもあるの。ボッチなんて言わせない!
「私も、とても楽しみですわ!」
ふふふ。
もし、GWの思い出を作文にしろと言われても、全然困りませーん。
ニコニコと笑えば、田中くんが意外な答えを聞いたように「おっ、おうっ」と戸惑う返事をくれた。
教室に入ると、すでに委員会を終えて芽維たんは戻っていた。
芽維たんは応援委員だったっけ。
「どうでしたか、委員会は?」
「それがまだ応援要請があまりなくて暇でした。どの委員会も、部活も、クラスも、まだ必要人員要請までの具体的な行動に移していないみたい。璃々亜さんは?」
そっか。っていうことは、意外と図書委員はほかの委員よりも先を行ってるのかな?
……内部はぐちゃぐちゃだけど……対外的には優秀なのか……。いくつもの案が具体的に動き始めてるからね。
ご覧いただきありがとうございます。
最近、芽維たんと皐月たんの出番がめっきりなくて、寂しすぎー




