第313話 攻略対象はいらないらしい
やば、もしかして、先輩も攻略対象者だったりしない?
いわゆる、特待生同志枠みたいな……。しかも、S属性枠……。
げー。
なんで、ヒロインとの接点の高い場所じゃなくって、私と接点のある場所にいるの!
それとも、考えすぎ?
攻略対象なんかじゃないのかな?……。
……。
わからない……。
けど、なるべく近寄らないようにしなくちゃ。
ったく、もう、本当に……、神様、相関図くらいください!
「す、少しくらい協力してもらうのはいいのよっ、だ、だけど……白川さんが」
は?私?
「ああ、なるほど」
特待生がぽんと手を打つ。
「確かに、白川さんが生徒会長であるお兄さんに頼めば、K3のポイントの水増しなんて簡単かもしれませんね」
はぁ?
兄がそんなことするわけないでしょ!
いくらシスコンだって、妹の頼みでもできることとできないことがあるって断るよっ!
私が、上目使いで、目の端に涙をためながら「お兄様、璃々亜のお願いです」って言ったって、不正なんてするわけない!
ないはずだ!
ないと思う!
ない……よね?
ないことも、ない?
……。
むしろ、頼んでないのに「璃々亜にはポイントに色をつけておいたよ」とか言い出したりしないだろうな?
……。
ぐああああっ!
これは、兄にくぎを刺しておかねばならぬ。
「兄にお伝えいたしますわ。委員長が兄の不正を疑っていると」
そう言っておけば、私に対してポイントマシマシとかすることもないだろう。
私が妹だから優遇されているんだろうと思われて辛い目に合わないようにちゃんとしてねって遠回しだけど伝わるよねぇ?
あー、今のうちに気が付いてよかった。
ほっと胸をなでおろして委員長を見ると、顔色が真っ白。
何があったの?この短時間で?
一方、2年特待生先輩は、とても愉快そうにSっぽさ前回の笑みを口元に浮かべていた。
やだ、怖い!
何か、場が固まっている。
私のせい?なんで?仕方がない……。場を収めなくちゃ。
「先輩、心配してくださらなくても、私は兄に協力を求めるようなことは致しませんわ。そうですわね、人手が足りなくて図書委員以外に協力を頼むことがあるかもしれません。それは可能にしてもらえると助かりますわ」
相原さんたち文芸部員も、先輩に逆らって、言葉の裏をかいて手伝うよりも、正々堂々と手伝えた方がいいよね。
ここで、先輩から言質を取っておこう。
「そ、そうですわね!私は、何も生徒会長の不正を疑ったわけではございませんわ。もし、協力を可とした場合に白川さんが生徒会に協力を求めたと疑われてはいけないと思って……。そうですわね、白川さんがそんなことをするわけはございませんわね。杞憂ですわね。ええ、その心配がないのでしたら、図書委員以外の生徒と力を合わせることも問題ありませんわよね……ほ、ほほ、ほ」
よし。
許可が出た。
「で、では残りの時間は各班ごとに、話し合いましょう」
委員長が閉めたので、班ごとに分かれる。
「白川様、さすがですわ。まだ情報は秘匿しておくなんて私には考え尽きませんでしたわ」
「本当。先輩方は、真似をするなと言いましたが、私達の案を巧妙にかすめ取るかもしれませんものね。」
えーっと、無事実行できるかどうかわからないから言わなかっただけだけど。
「文芸部と大手を振って連携できるように話を持って行った手腕はさすがですわ」
「本当ですわ。さすが白川様です」
あ、あのー、私、さすがって言われるようなことしてないです……。
「しかし、3年生は勝つためなら何でもありだな」
「そうですね。ですが、2年生の先輩方は本来の目的を思い出したようですし……」
「それも白川様のおかげですわね!さすがですわ」
いや、違う違う。
「朗読劇はどのような規模で行うんでしょうか」
「録音図書や点字図書など、分かりやすい社会貢献ですわね。図書委員として本と親しむ人の手助けをしたいという気持ちに感銘いたしました」
「そうですわね。一人でも多くの方が、本を楽しめるとよろしいですわね」
「勝負とは関係なく、私も録音図書のことなど知りたくなりました。校内放送をしている視聴覚委員と協力できるかもしれませんわね」
「先輩に提案してみてはいかがですか?」
「でしたら、朗読劇は演劇部と協力したらいかがでしょう?」
ふふふっ。
みんな自分たちのことだけじゃなくて、周りのことまでいろいろと考えてる。
いいね、こういうの。損得とか関係なしって。
「では、2年生の先輩に今からお話ししてみましょうか」
なんて一言いえば、そそっと立ち上がって、皆で2年生のグループに話をしに行くとか。
1年生のこの、結束力というか謎の行動力というか……なんかすごいかもしれない。
2年生は、視聴覚委員や演劇部との連携についてさっそく検討するそうだ。
聞く耳を持ってる2年の先輩はすごいよ。
3年生なら「そんなことを言い出して、どんな裏があるんですか?」とか言い出しそう。
しかも、特待生先輩は
「もし、1年生がまだ何も考えていないのなら、一緒にやらないかい?そうしれば、君たちにもポイントが入るだろう?」
と、1年の心配までしてくれた。
心配させないようににっこり笑って答える。
「ありがとうございます。いくつか考えていることはあるのです。ただ、まだ具体的な形が見えてないので、実際実行できるのか分からないので言えませんでしたが」
「そうか……全体会議では、その……白川君の名前を利用してすまなかった」
はい?
私の名前を利用?
「おわびといっては何だが、困ったことがあれば協力するから。言ってくれ」
利用されたとは思ってなかったけど、巻き込まれた感じはあったな。
そのことなのかな?
わざわざ気にかけて謝ってくれるなんて、特待生先輩、いい人!ただのS属性じゃないのね!
って、株を上げたりしないぞ。距離を取るんだから……。そっと、後ずさることにする。
ご覧いただきありがとうございます。
攻略対象予備軍です。
芽維たんヒロインだったら、やっぱり特待生枠もいるかな?って感じですが……。璃々亜の周りにはいらないので名無しのまますすめます。名前が登場したらやばい(?)と思ってください。




