第307話 兄のプロポーズらしい
スパコーン。
兄の手が、義久の頭を叩いた。
「そんなに一緒にいてほしければ、私が一生一緒にいてやろう」
むぎゃっ!
み、み、み、都キャプテンがぁーーーーっ!
京様にプロポーズだとぉ?
そ、そ、そ、そんな、なんてことなの!
脳内録音、脳内録。
ザッツ再生。エンドレス!
ぎゃばぁーーーっ。
もう、やめてぇ~。悶える!悶える!ヤバすぎるっ。ごろごろと床を転げ回って悶えたい!
「遠慮する」
ぶほっ。
京様が断った。
ちょっとまって、なんでなの?
京様、今の台詞はどういうこと?
「義久様、何故お断りになるのですか?」
思わず問いただす。
「は?淳也兄がずっと側にいたら、りりあといつまでたっても二人になれないだろう?」
何を当たり前のことを聞くんだって顔をする義久。
「私と二人?なる必要はないのではありませんか?」
ボッチがいやだから二人ってところまでは分かる。
だが、二人よりも三人だろ?兄もいれば3人になるじゃないか。それとも……。
「もしかして、義久様は、お兄様のことをライバルだと思っていらっしゃるの?」
ライバルであって、友達ではないとすれば……兄と一緒にいたからって、ボッチから脱っせられるわけではないってことなのかな?
うん。そうか。
兄がいても、私はボッチだったわけだもんなぁ。兄妹は、友達としてノーカウントだからなぁ。
「私が、義久のライバル?」
兄が鼻で笑った。
「10年早いな、義久」
兄に言われて、義久は苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「ああ、わかってるよ。淳也兄に今は追いつけないってことは」
むはっ。
そういうことなのね!
京様が、都キャプテンのプロポーズを断ったのは、そういうことなのね!
「だが、10年じゃない。5年で淳也兄に追いついて見せるさ」
うんうん。わかったよ。
都キャプテンの隣に並び立てるだけの力をつけてからプロポーズを受けたいってそういうことなんだね!
きゃはっ。
がんばれー、京様!
うふふふっ。
「ふっ。生意気な」
兄がニヤリとやれるものならやって見ろと言わんばかりに義久を見た。
分かるよ、分かる。都キャプテンも生意気とか言いながら京様が力をつけるのを心待ちにしてるんだよね!
5年後に二人がゴールインできるように、応援するよっ!
「がんばってくださいね!」
ぐっと握りこぶしを着くって義久を応援する。
義久は、より一層気を引き締めた顔をするかと思ったら、ちょいと照れたような表情を見せ、顔を背けた。
「お、おう。早く淳也兄に認められるように頑張るから」
ちょ、何故顔を背けた?
「りりあ、義久を応援するということは……、義久と一生一緒にいたいと……まさか、そういう……」
兄が、愕然としてる。
え?
義久と一生一緒に?
……あ、それって、例のストッパー約として義久社長秘書とかのあれ?
いやです。
ブラック企業になど、就職したくはありません。
あ、いや、でも……一流企業にはちがいないんだよね。
もし、破滅しちゃって、四面楚歌的な状態、八方塞がり的な状態で、それでも雇ってもらえるのであれば……。
多少ブラックだからって、一流企業の社長秘書なんて給料も良さそうだし、転職するときに履歴書に立派な履歴が残るし……。百害あって三利くらいはあるよねぇ。
「将来のことはまだ考えていませんわ。特別義久様と一緒にいたいということでもありませんわ」
別に一流企業にこだわりはないので、庶民落ち程度の破滅なら全然平気。高校卒業できて、中小企業でもちゃんと就職できれば、ブラック義久会社に勤めようとは思わないし。
「そうだよな、うん。義久と一緒にいたいとわけじゃないよな。だから応援するわけじゃないよな」
兄がほっとしている。
「ええ、お兄様も競い合う人がいた方が、より成長できますものね。簡単に義久様に追いつかれるようなことはないとは思いますが、がんばってくださいませ」
「そうか。りりあは、私の成長を期待して、義久を応援したのか。そうか、その声援はわたしのためのもの。聞いたか義久!」
どや顔するシスコン兄。
いや、違うけど。
兄のためでも義久のためでもない。
私の脳内妄想のためだ!より楽しい発言を引きだし、脳内録音台詞を収集するために!
ふふふふ腐。
ライバル設定もおいしいのですよ。
力の差を徐々に詰めて、いつしかライバルに!きゃほーい。
ふふ腐。
いつもありがとうございます。
ふと、璃々亜のいつもの京×都妄想が最近ないと思って書いた回です。




