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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第302話 オールナイトイベントがあるらしい

 弟の手を引っ張って、公園……は近くにはなかったので広めの歩道のビルよりに寄る。通行者の邪魔にならない場所。

「あのね、」

 弟とつないでいた手を放す。それから、紙袋の中から、今日買ったばかりのものを取り出す。

 そう、弟に上げようと思っていた靴。

「これ、弟に」

 ちゃんとプレゼント用に包装してもらったため、中身が何かは開けてみないとわからないようになってる。

「ぼ、僕に?」

 当然のプレゼントに、弟は心底ビックリしたようで固まっている。

「いいの?誕生日でも何でもないよ?」

「ふふっ。むしろ、教えてもらってないのに誕生日知ってたら怖いでしょ。えっと、いろいろとおごってもらったりしてるし、本も預かってもらったりしてるお礼」

 弟はまだ固まってる。

 えーっと、なんでかな?

 あ、上流階級とかって、プレゼントといえば高級品が当たり前だったりする?

 中身は何万もする時計やバッグだったりとか当たり前の世界?

 ……うはー、もしそういうものを大した理由もなく渡されたら、私も引くぞ……。下心でもあるのかよって思っちゃうわ。

 弟よ、固まっているのは、もしかして「オタク友達の女子が突然僕にモーションかけてきたんだけどどうしたら……」的な脳内ぐるぐるじゃないよね?

 ……ううう、私なら、そうなっちゃうかもしれない。

 突然、高そうなアクセサリーとかプレゼントされたら「やだ、ただの友達だと思ってたけど、私に気があるの?」とか勘違いしそう。

 値段?そうだなぁ、1万円でも勘違いしそうだなぁ……。前世の私の感覚だと、高校生で1万円のプレゼントってかなりな額だよ。バイトしてない高校生の1万円……。おおう、めちゃ貴重じゃないかっ!

 ……って、誰かにプレゼントする金額だと1万円すごいって思うけど、最近の高校生ってスマホ代で簡単に月に1万とか使うんだっけ?

 親に当たり前のように払ってもらっている高校生、自分で稼ぐと1万って貴重だぞ……。

 はっ。

 いけないいけない。

 弟の誤解をとかねばっ!

 そろそろ弟の中では「友達だと思っていたのに……男女の関係を望んでいたなんて。僕には答えられない。断ったら傷つけちゃうだろうか。このままフェイドアウトすれば傷つけないだろうか。だけれど、せっかくできたオタク友達なのに……」とぐるぐる頭の中がしていることだろう。

 ガサガサと袋の中から箱を取り出す。

 こっちは自分用に買った靴だ。

 箱のふたを開けて、中身を見せる。

「ほら、これ。私もお揃い。コスプレ用の靴だよ。コスプレ用だから、安い靴で十分だよね?」

「お、お揃い?姉さんと?」

 ちゃんと、安物だと単語を入れた。

 それから特別な品ではない、コスプレ用だと強調もした。

「学校指定の靴を履いていって、また失敗しちゃ困るでしょ?」

 色や形はコスプレとして問題なかったんだけどねぇ。学校のマークで、鳳凰学園の生徒だってばれちゃうわけで。

「失敗……?」

 弟は、もう忘れてるのかな?

「違うよ、あのおかげで僕は姉さんと出会えたんだから」

 あー、まぁそうともいうけど。鳳凰学園の生徒だってばれるのはよくないから、やっぱり失敗?

「そうだ、弟は足のサイズいくつ?わからなかったから、適当なサイズにしたんだけど……小さかったらごめんね。大きかったら少し詰め物して使ってくれると嬉しいな……」

 ちらりと足元を見る。弟の足は「でかっ!」っていう感じじゃないから、靴が小さすぎるということはないと思う。

「うれ……しい?」

 弟がぼんやりとしてる。

 もう、私が男女の仲を望んでいる誤解は解けたかな?

 大丈夫だよね?

 私は弟をボッチにしないよ。

 オタク友達だよ。

 一人じゃないからね!

 いっぱいは会えないけど、でも、約束できるから。

 この先も、一緒にオタカツするって。

「おそろいの靴で、コスプレしてイベント行くの楽しみだね。絶対、また一緒に行こうね!」

 約束があれば……。

 そうすれば、ボッチじゃないよって思えるよね?

 もし、寂しくなるようなことがあったら、靴見て私のこと思い出してくれれば……。

 オタク友達がいるんだって、大丈夫だって思ってほしい。

「あり……がとう……」

 弟の腕が伸びて、ぎゅっと抱きしめられる。

 それと同時に、背中にどすんと壁が当たる感触。

 壁に押し付けられるように抱きすくめられた。

「こ……の……まま……」

「うん?」

 弟の声が耳元に聞こえる。

「連れて……いきたい……よ」

 このまま、イベントに行きたいの?

 でも、もうイベントは終わってるよ。同人誌即売会って3時とか遅くとも4時とかには終わるからね。

 あ、でも、コスプレイベントなら、オールナイトとかそういうのもあったよねぇ。

 ただし、休みの前の日とかにしか開催されてない。今日は日曜だから、やってないと思うんだ。

 なんて事実は、弟も知っていると思う。

 いや、知らない?

 そういえば、弟はこの間が初めての同人誌即売会だって言ってたよね。

 ネットですぐに情報を検索できるといっても、やっぱり通っている人間とじゃ入ってくる情報量違ったりもするよね。

 イベント行けば、他のイベントのチラシを目にする機会も増えるし。

 ……教えてあげた方がいいのかな?

「もっと、いっしょに……いたい……」

 弟の腕に力が込められる。

 そうだね。いつか、オールナイトコスプレイベントで大騒ぎとかもできるといいね。


ごらんいただきありがとうございます。

2年目スタートですか。はい。

もうすぐGWです。(^_-)-☆

大丈夫、ちゃんと進んでる。

弟ターンもあと一話です。

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