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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第30話 両親は、肉食美人と草食パンダらしい

 やっぱ、着替えようとクローゼットの前に移動したら、廊下が騒がしくなる。

「璃々亜~ただいまぁ!」

「璃々亜、パパだよぉ~!」

 ドアが勢い良く開いたと思えば、我先にと大人が二人競うようにして部屋へと入ってくる。

 どこの女優さんですかって美人な女性は、兄に似ている。

 え?姉?若く見えるけど、母?

 桃色のふわりとした襟元のブラウスに、細身の薄いグレーのスーツを合わせている。スーツというシンプルな服装にもかかわらず、スタイルの良さははっきりと見て取れ、彼女の美しさを引き立てている。オーダーメイドスーツだろうか。

 その隣には、これまた薄いグレーのスーツを着たパンダがいた。

 あ、いや、パンダみたいな雰囲気の男性がいた。ほら、よく熊みたいな男がって言うけど、熊みたいな野性味は無くて、パンダのような愛らしい雰囲気の男の人なんだよなぁ。狸ほど小柄じゃなくて、ジャイアントパンダ。黒いフレームの眼鏡がちょっとたれ気味なデザインだからよりパンダっぽい。

 美女と野獣夫婦だな。……いや、肉食美女と、草食パンダ夫婦か?


 私が二人を観察して立っていた私を、真っ赤な口紅が似合う美女が驚いた顔をして見ている。

 しまった、ゴスロリとか、そりゃ驚くわ!

 美女は、みるみる顔を赤くして……。怒ってる?

「その服は?」

 低い声で問われ、思わず正直に

「早間さんが選んでくださいました」

 と、答えてしまった。

 ひゃーっ、ごめん。早間さんが叱られちゃうっ。

 美女、地響きするような声で「早間ーっ!」と叫んだ。

 ぎゃぁ、ごめん、まじ、ごめん!

「はい、奥様!」

 って早間さんが背筋を伸ばす。

 奥様?

 やっぱり、この美女は、母親なんだ。


「グッジョブ!」

 親指立てたよ、母。早間さんもそれに答えてる。

「はぁー、なんてかわいいのかしら、さすが私の娘ね。璃々亜ちゃんっ、ほら、こっち向いて~」

 いつの間にか、母はスマホ取り出し構えてる……。

 え?あれ?怒ってない?

「なんて素敵。お人形さんみたい!ママのために、こんな素敵なサプライズしてくれるなんて!」

 ぐふぐふ言いながら、パシャパシャと写真を取りまくるママ……。えーっと、美人が台無しですよ?

 なんか、イベントのカメコ並みの動きしてます。

 片ひざ付いて、右手あげて視線ください~的な、どこで覚えたんですか!

 ああ、床に寝転んで、下からアングルとか……ちょ、誰か止めてあげてーっ!

 パンダパパが、部屋からどどどっと出て行った。えー、ちょっと、止めたげてーっ!

 早間さんも、撮影会に参加しないっ!


「璃々亜~、今度はこれ、これ着て」

 パパが、赤い着物を手に戻ってきた。

「あなた、そんな日本人形みたいな服装を璃々亜ちゃんにさせないでちょうだい!」

「いいじゃないか、璃々亜は何着ても似合うんだから」

 目の前で、なにやら「和装VS洋装」バトルが始まりました。

 そして、草食パンダは肉食美女に言い負かされ、半泣きになりながら部屋を出て行きました。

 

 夕食の食卓では、兄が和装しておりました。

「敦也は着物がよく似合うねぇ」

 どうやら、草食パンダのターゲットにされたようです。

「敦也は、タキシードもモーニングも、軍服も、何でも似合いますわ!」

 おや、また「和装VS洋装」バトルが……。

「確かに、お兄様は野球のユニフォームだろうが、長ランだろうが、着流しだろうが、なんでも似合いそうですわ……」

「そ、そうか?野球のユニフォームか……」

 兄が、私の言葉を拾う。

「ママも、何でも似合いそうですわ。今日のスーツ姿も素敵ですが、きっと着物も似合うのでしょうね……」

 父が、私の言葉に食いついた。

「そうだよ、ママも着物が似合うよ、そうだ、今度ママと璃々亜とおそろいの着物を仕立てるよ。うんうん、二人でおそろいの着物……きっと世界一、いや宇宙一素敵だよ!」

 父の言葉に、母、目がキラキラキラキラッ。

「璃々亜ちゃんとおそろい……」

 ママ陥落。

 なるほど、こうして草食パンダは、肉食美人を操っているというわけですな。


 賑やかな食事を終えると、母と父は、入学祝を置いてまた仕事へと旅立った。

「忙しい人たち……」

「ああ、そうだな……」

 私のつぶやきに、兄が答える。


 あまり一緒にいられないけれど、愛されてるんだってことは分かった。

 ……。こうして、かわいがられすぎて育ったから、璃々亜は我儘な悪役になっちゃったのかなぁ……?それとも、寂しくて、かまってほしくて我儘に育ったのかなぁ……。

 まぁ、何はともあれ、入学式の日から記憶が飛んで前世記憶に入れ替わっちゃったのは全然気がつかれなくてすんだ。


 縦ロールさまさまだ。

 あ、いや、洋装フェチの母と、和装フェチの父のおかげだろうか……。

「次は、いつ帰ってくるのでしょうか?」

 しかし、両親が家にいるたびに縦ロールも辛いものがある。着物なら、縦ロールじゃなくてもいいよね?

 ……。よし、次は着物にしよう。あれ?でも、着付けとか大変かな?むむ……。セパレート着物とワンタッチ帯を用意してもらおうかな?

 早間さん……は、縦ロールフェチだから頼み辛い……ぐぐぐ。

「確か3週間後だったかな?」

 3週間後か。

 頻繁に顔合わせなくてよかった。

「ところで璃々亜」


 気が付くと、兄がスマホを構えていました。


はい。変な両親登場です。

いや、あの兄にして、あの両親ありって感じでしょうか?

以上。家族でした。

次回は、スマホをめぐって・・・・

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