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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第29話 お手伝いの早間さんは、縦ロールフェチらしい

 一般常識のテストは、簡単すぎて逆に引っ掛け問題なんじゃないかと疑ったり、こちらの世界の常識と前世知識が違うんじゃないかと青ざめたりしながら終わった。


「難しかったですわ」

「あー、分からなかった。ほとんど勘」

「成績に入らないといわれても、低い点数の回答用紙返されたらショックだよなぁ」

「平均点取れたら良しとする……」

 なんて声が聞こえてきます。


「璃々亜さん……どうしよう……」

 芽維たんが涙目です。

 うええ、どうしたの?

「あの、私、一般常識のテストすっごく簡単だって思っちゃったんです……」

 声を潜める芽維たん。

「でも、皆さん難しかったと言ってるので……もしかして、簡単そうに見える引っ掛け問題だったんじゃないかって……」

「そうですわね……、可能性としては、ありますわよね……」

 なんと!芽維たんも、同じこと思ったんだ。

「簡単だと思う私たちの常識が非常識だったのかもしれませんわね……」

 二人で深いため息をついた。

 

「どうした璃々亜?まさか誰かにいじめられたのか?」

 迎えの車に乗り込むと、兄が私の顔を見て悲壮な顔つきになった。

「いいえ」

 兄、馬鹿にするなよ!今の私は孤高の女帝ではない!

 芽維たんという親友を得て、皐月たんや田中など多くの友達のいる身だ!

 どっかの国では、「1,2,3、たくさん」と数を数えるのだよ!だから、たくさん。

 4人目からは「たくさん」。友達が4人いれば、たくさん友達がいるで嘘じゃないのだ!

 あれ?

 1芽維たん、2皐月たん、3田中……3人しかいません!たくさんじゃない!

 ……、早急にもう一人友達が必要です!あと一人、あと一人いれば「たくさん友達がいる」と胸をはって言えるのです!!!!

 あーうー、あーうー、

 と、とりあえずリベロ嘉久でも投入しておこう。

 そうしよう。

「嘉久様とか、友達がたくさんいますから大丈夫ですよ」

 まぁ学校では話をしないけどね。幼馴染も友達ってことでオッケーだよね。

「嘉久?……ふんっ、友達か、まぁそれくらいなら……いじめられたのではないとすると、何故そんな沈んだ顔をしているんだ?」

 兄、ムッ→ケッ→黒い顔→キリッ→優しい笑顔と、一瞬のうちに一人百面相。胸のうちで、何があった?


「テストの結果が不安なのですわ……」

「勉強で分からないことがあれば、いつでも教えるよ。どの科目が不安なんだ?」

 全国模試8位の兄の頼もしい言葉に

「一般常識のテストですわ……」

 と言えば、兄が視線をそらした。

「大丈夫だ」

 兄が大きな手で、頭をぽんぽんしてくれる。

「一般常識テストは、30点あれば平均点を超えるから」

 え?そうなの?そんなに難問なの?

 じゃぁ、やっぱり、私は引っ掛け問題にことごとく引っかかったに違いない……。

「お兄様は何点でしたの?」

 平均点が低いテストだって、フランス語すら堪能なスーパー兄だ。きっと高得点に違いない。

 返事がない。聞こえなかったかな?

「お兄様は、一年のときに受けられた一般常識のテストは何点だったのですか?」

 今度は聞こえたよね?

「……さぁ、何点だったかな……平均点はあったよ」

 忘れた?

 本当かな?

 私が悪い点数だったらどうしようと不安がっているから、兄の点数聞いて落ち込まないように気を使ってくれたのかな?

「今日は、久しぶりに家族揃って夕食だから、楽しみだね」

 と、兄が唐突に話題を変えた。


 うわわわっ!そういえば、両親は今日帰ってくるって言っていた!

 兄は、私が変わってもさほど疑いを持っていないみたいだけど、両親の目は欺けるだろうか?

 いや、璃々亜に間違いはないんだけど、偽者でもなんでもないんだけど、2日前から、高校生までの記憶がすっぽり抜け落ちて前世の記憶に摩り替わっちゃったんだよね。

 転生とかなんとか神様の置手紙には書いてあったし……。たぶん、生まれた時にはすでに、前世が戸川芭琉な璃々亜だったんだろうけど……。途中で入れ替わったなんてことは無いはずなのに、なんで、高校生で記憶がすっぽり入れ替わるかなぁ。まさか、神様が入学式を前にフラグ回避を忘れてないか念のため手紙を送ったのがきっかけとかじゃないよね?

 ……。

 よく母親は鋭いとか言うし……。今までの璃々亜じゃないって、敏感に察知されたらどうしよう……。

「お兄様、お父様とお母様はもう家にいらっしゃるでしょうか?」

「いや、確か到着は夕食ぎりぎりの時間だと思うよ」

 よし!それなら大丈夫そうだ!


「早間さん、お願いがあります!」

 家に戻ると、迎えに玄関に立った早間さんにすぐに声をかけた。

「お願いですか?なんでしょう」

「今日は、お父様お母様との久しぶりのお食事なので、準備を手伝っていただきたいんです」

 早間さんがきょとーんとしている。

「準備、で、ございますか?」


 自室に移動し、化粧台の前に座る。

「私がメイクをしている間に、早間さん、髪を巻いてくださいませんか?」

「え?お嬢様、またあの素敵な髪型をしてくださるのですか?喜んでお手伝いさせていただきます!」

 早間さん、大喜びで髪を巻いてくれることになった。

 ……。

 あうう。

 まさか、また縦ロールをしようとは……。

 でも、いきなりイメチェンした姿を見せて、母親に疑いの目を持たれるのはまずい。

 それならば、縦ロールと、どぎつい化粧で母親の目をごまかせれば……ラッキーなんだよね。


 えーっと、縦ロール璃々亜の化粧ってどんなんだったっけ?

 とにかくめちゃくちゃ厚化粧だったっていうのは覚えてるんだけど。

 早間さんが手際よく髪を巻いてくれる。

 ヘアアイロンと、カーラーと、スプレーを使っているのが鏡越しに見える。ふーん、そうやって縦ロールって出来上がっていくんだ。

 さて、縦ロールは早間さんに任せて、化粧、化粧っと。


 初日の璃々亜の化粧を思い出す。んー、……。あっという間に化粧落としたからなぁ。目は、アイライン太くてでかい目になってた気がする。今よりもつりあがった感じに仕上げてたよね?

 でかい目にするにはどうすればいいんだっけ?上と下にアイライン入れるんだっけ?

 なんか、昔テレビで見たよなぁ。白目もでかく見せるように、白い縁取りとか、ああ、涙袋になんかってのも見たよなぁ。

 眉は、えーっと、うーんと、分からん。いいや、どうせ前髪で隠れるし、いつも通りで。

 ほっぺはピンクの頬紅をくるくる丸く付けてと。

 なんだか、化粧品の数が多いなぁ。この間まで中学生だったくせに。やたらいいにおいのする高級化粧品が並びまくってます。

 頬紅だけでも、ブラシでつけるやつに、そのままほっぺにくるくるするやつに、ジェル上のやつに……ピンクにオレンジにベージュと、10種類以上ある。頬紅だけでだよ?

 ……。

 メイクアップアーチストか!

 使いこなせるはずも無く。

 前世では化粧はマナー程度にしかしなかった……。一応、テレビとかでメイク方法とか見て使い方は分かるけど、使ったことのないものが色々で……。

 つけまつげは、無理でした。

 上手につけられません……。あきらめよう。

 悪戦苦闘することおよそ2時間……。

「お嬢様申し訳ありません。思いのほか手間取ってしまい……」

 完成した姿は……まさに、

 悪役令嬢っていうよりも、フランス人形だな……。

「まぁっ!素敵です!お嬢様!前にもまして……ああ、ああ、早間は、早間は、お嬢様にお仕えできて幸せでございますっ」

 うっ。早間さんが、コワレタ……。

「お嬢様、お写真取らせていただけないですか?」

 早間さんがはぁはぁいいながら、エプロンのポケットからスマホを取り出した。

 断っていいかな?

 いや、これからも必要なときに縦ロール作る要因として確保しておかないと駄目だから断れないよね……。

 ……。

 世の中、色々なフェチがいるけれども、縦ロールフェチもいたんだね……。

 その後、嬉々として縦ロールに合う服選びをした早間さん。……。

 早間さんは、ゴスロリ好きか!

 上から下まで、かんっぺきなゴスロリ衣装を着せられました。もちろんヘッドドレスも付いてます。

 ってか、なんでこんな服がクローゼットにあるんだ?

 でもって、こんな格好で夕食とか、仮装パーティーか!ハロウィンか!


 後日、それはゴスロリではなく甘ロリですと、早間さんに指導が入りました。

うん。

メイドさんは、勤務時間が長いので、三勤二休です。5日のうち一人勤務が4日、二人勤務が1日です。その1日に、細かい掃除など一人勤務では行き届かない部分の仕事をします。・・・・・という設定でございます。

でもって、早間さん・・・・重要な役割が後にあります。

それにしても、変な人ばっかりなのはなんでかなー。


次回は、璃々亜の両親が出てきます。

ええ、もちろん、変な人です。

・・・・・白川家周辺のみ、変な人ということで。類は友を呼ぶ~

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