第239話 芸術科目を選択するらしい
「一緒の委員で、朝から一緒……」
嘉久がまだブツブツ言ってる。
やべ。
何かもしかして、いいなぁ図書委員とか思ってない?
ボッチからすれば、皆で仲良く活動するんだよーとか天…羨ましいよね?
俺も図書委員になる!とか言い出したら、厄介だ。
阻止せねば!
「嘉久様も、お茶会部でのK3活動を頑張っていらっしゃるのですよね?」
「あ、ああ」
「確か、お茶会部が頑張っているのだから、私たちも頑張らなければというような声もあったような気がします」
あれは誰が言っていたんだろうなぁ?
お茶会部の名前を出したとたんに、キリッと空気が引き締まったことがあったよね?
「嘉久様の頑張る姿が、皆の見本となっているのですわね。私たち図書委員も、嘉久様のように素晴らしい活動ができるように努力していこうと思いますわ」
嘉久、お前はお茶会部の活動を頑張ればいいんだよっ!
図書委員のことは忘れておくれ。
「そ、そうか、皆の見本か……」
嘉久がまんざらでもない顔を見せる。
「璃々亜が、素晴らしいと思ってくれるなら……もっと、頑張らないとな」
うんうんと納得したようだ。
よし。
図書委員のことは煙に巻いた。ナイス私!
ん?待てよ?
嘉久が突き進むと、お茶会部のメンバーたちが……振り回さ……いや。知らない。
お茶会部のことは、お茶会部で解決してくれ。
「璃々亜も嘉久も頑張っているんだからな、生徒会としても、負けていられないな」
「いえ、お兄様は誰よりも頑張っていらっしゃいますわ!逆に、少しお休みになった方がよろしいと思います。無理しているんじゃないかと心配になりますもの……」
本当に、どこまで超人なんだろうね。
朝はジョギングからスタートだよ?
勉強いつしてるんだろう?
ああ、そういえば田中くんもすごいよなぁ。野球部で長い時間部活動してるのに……。実力テストで結構いい成績だったよね。
で、図書委員の活動にも力入れてるし……。
それに比べて、私って……。
こんな生活でいいのかな?
部活はゆるゆる。
勉強は、まぁ前世に比べたら早起きして朝してるけど……。
塾い行くでもなく、割とゆるゆる。
青春って、青春って、もっと、何に打ち込めるものじゃない?
せっかく若くなったんだもん。
それは、恋だってなんだっていいと思うんだ。前世の私だって、オタクに青春をつぎ込んでた。
ほとばしる情熱!いい思い出だよ?まぁ、打ち込むものがオタク活動って、BLとかって、どうなの?っていう話は置いといて……。
「ところで、璃々亜、選択授業は決めたのか?」
ああ、芸術科目か。
音楽と美術と書道の3つから選ぶんだよね。4月中は、一回り先生の説明を聞く期間として割り当てられてた。
書道が楽そうでいいなぁーとか思ってたら、授業は書道室だったんだよね。
正座をして授業を受けるの。
……。
1時間正座……私には向いてなかったわー。もう、後半は全然先生の話が入ってこなかった。
音楽と美術……。どちらにしようかなぁ。
「嘉久様は?」
「俺は音楽だな」
嘉久の言葉に、兄が笑った。
「くっくっく。嘉久の描く絵は個性的だったもんなぁ」
個性的な絵。つまり、絵が下手くそってこと?
ふふ。
嘉久は絵が下手くそなんだ。
何もかも完璧っていうんじゃなくて、人並み以下なところがあるのって、ちょっとかわいいじゃないか。
嘉久と顔を合わせないようにするなら、美術かなぁ。
……弟は何を選ぶんだろう?
オタクとしては、美術……だけど、弟は初暗ミックン同人誌買ってたしなぁ。
音楽かな?
……。んー、遭遇する危険度はどっちも同じ。あんまり声を出さなくていい美術の方が、発見されにくいよねぇ。っていうか、1年とは限らないよなぁ。
学校指定の靴は、2年も3年も一緒なんだし。……。
皐月たんと相良さんは書道、芽維たんは音楽、相原さんが美術って言ってたから、何を選択してもボッチにはならないんだよね。
よし、決めた。
「私は、美術にしようかと思っておりますわ」
にこっ。
この一言で、嘉久が椅子から立ち上がった。
兄も、動きを止めた。
え?
そこまで意外な選択?
「そっか、璃々亜、また絵を描くんだな!」
嘉久がうおっしゃーっと両腕を突き上げた。
「璃々亜……また絵を描く気持ちに慣れたんだね。良かった……」
兄が優しく微笑んでいる。
あれ?
えっと……?
いつもありがとうございます。
階段の踊り場の絵の伏線回収。
んで、この美術部にもなにやら謎が?




