第237話 出張してきたらしい
今日は、シアタールームでアニメ見るぞー。
と、思っていた時間もありました。
あれ?今日にかぎって、何で兄と帰りの車に一緒に乗っているのでしょう?
「今日は、早いのですわね?」
生徒会の仕事はどうした!
あたしの、アニメ計画が!
「ああ、今日はシェフが休みだからな」
何?
まさか、兄がシェフの代わりに早く帰ってご飯を作るとか?
……。まぁ、リビングに簡易キッチンもあるわけだし。
「高円寺家に遅れて行くわけにいかないだろ?」
え?
今日は嘉久の家で夕食かよっ!
めんどくせーな。平日の夜に、人の家訪ねるの。
……って、嘉久はほぼ毎日そんな生活かぁ。大変だなぁ。
一人で夕飯も寂しいかもしれないけど……。毎日移動して人の家に行くのも大変だよね?
朝も、わざわざこっちに移動してきて食べて、また家に戻ってから学校に行くわけだし。
朝の5分とかめっちゃ大事だよね?いくら道を挟んですぐ隣の家っていっても、往復移動に5分はかかるだろうし……。
毎朝、毎朝、貴重な5分を……。
かわいそす。
ごめん、嘉久。
今度からもう少し優しくするわ!
嘉久の家、相変わらず、門から玄関までが遠い。そして、玄関から部屋まで遠い。
「2階で嘉久様がお待ちです」
と、お手伝いさんに言われて、兄が
「いつものあそこか?ああ、じゃぁ案内は必要ないよ」
スタスタと歩き始める。
いつものあそこってどこだよ。
兄は、いくつかある階段の一つに迷わず向かう。そして、踊り場で少し歩く速度を緩めて壁に掛けられた絵を見た。
少女と天使の絵。
見覚えがある。そうだ、前に来たとき、この階段の先にあるサロンみたいな場所で嘉久は漫画を読んでいたんだ。
ぬぅ。私の分を残さず読みつくしたんだった。
くっそ。
嘉久め!
前言撤回。誰が優しくなんてしてやるもんかっ!
んで、2階のサロンは……。
な、なんじゃこりゃ……。
「璃々亜、前に言っていただろう?」
え?私が?
ニコニコ顔の嘉久。何を言ったんだ、私。
「一度でいいから、回転寿司を食べてみたいって」
そんなこと言ったんだ、前璃々亜。
一度でいいからって……。
本当に、一度でいいのか?回転寿司は癖になるぞ!
なんていうかな、すんげー高くてうまい寿司もいいんだけど、回転寿司はまた別物としてなんか楽しいんだ。
カルビの寿司とか、ハンバーグの寿司とか、照り焼きチキンの寿司とか、ウィンナーの寿司とか……寿司の形さえしてればなんでもいいのかよ!感がな。
サロンには、ベルトコンベアが設置され、その中に職人さんが二人いる。ベルトコンベアには、寿司がすでにいくつも置かれ、回っていた。
金持ちの考えることはわからん。
回転寿司が食べてみたいからって、家に呼ぶとか……。
唖然として、立ち尽くす私の手を嘉久が取った。
「璃々亜、ほら座って。ここで、回っているお皿を好きな分だけ取って食べるんだよ」
自慢げに説明を始める嘉久。
いや、知ってるから。
前世で2か月に1度くらいは行ってたからね?
「動いている皿を取るのは、初めはちょっと緊張するけど、慣れれば大丈夫だからな!」
いや、緊張しないし。
もう、慣れてるし。
「こう、狙いを定めて、手が届く距離に来たところで、皿を持ち、こうだ!」
と、皿を取るのを実演してくれる。
ドヤ顔で。
あー、うん。
知ってるし。
そんな距離から待ち構えて手を延ばさなくてもね。
ちょいと目の前を通過する直前にすっと手を伸ばして取ればいいんだっての。
ちょい。
おっと、もう一皿とるか。
ちょい。
ん?嘉久がドヤ顔崩れてます。
何?ちょいちょいと自然な動きで皿を取る私、すごいって?
いや、だからさ、子供でもできるからね?
もう一度挑戦だ!って、こら、嘉久、皿をレーンに戻さないの!
おい、こら!
……。
あーあ。ったく。
こりゃ、嘉久一生回転寿司に連れてけないぞ。
っていうか、取り方にこだわるとか意味が分からない。
あーあ、隣の皿に引っかかってかしゃんって音たててるし。
へたくそだな。
あ、落ち込んだ。
ちょい。
それにしても、寿司が、私の知っている回転寿司の寿司と違う。
明らかに、ネタの質もサイズも各上。一皿800円とか1000円とかしそうな寿司が乗ってる。
回すのがもったいないよー。
握りたてをすぐに食べた方がいいって。
あ、あのてかりは……大トロだな。
ぐあー、もったいない。兄が取った。食った。よしよし。早めに食べようね。
ちょい。
ふお、サーモンも脂がめっちゃのってるわ。うんま。
もう一つサーモン食べたいな。回ってないかな?
いつもありがとうございます。
食事回が長引いて、嫉妬描写が入らなかった・・・次回!




