第197話 早速メールが届いたらしい
車の中でメールが届いた。
名前が表示されない。
「あ、弟」
「弟?」
蜂川さんが、私の声を聴き留めた。
しまった。
弟とか、いないのに弟じゃ変だよね。スマホのメルアド登録どうしよう。
「えっと、今日新しくお友達ができたのです。その方、ご兄弟がいらっしゃるとおっしゃっていたのですが、弟さんだそうなのです」
信号待ちで止まっていたので、蜂川さんは後ろを見た。
「新しいお友達ですか。それはよかったですね、璃々亜様」
嬉しそうにニコッと笑ってくれた。
うん、オタク友達ができたんだ!とは言えないけど、新しい友達は嬉しい。
ニコニコと笑って、頷いて見せる。
そうだ。
ボッチ璃々亜なんてもう過去のこと。人には言えないけど、友達が増えたんだよー!へへへっ。
『今日は楽しかったヾ(*^v^)ノ早くまた会いたいなぁ┣¨キ(*´ェ`*)┣¨キ』
そういえば、弟はどうやって帰ってるのかな?やっぱり車?ピッグサイトまで迎えに来てもらったのかな?
でも、同人誌即売会に行ってるのはバレちゃダメなんだよね?
とすると、電車?電車の乗り方を知らないぼっちゃんじょうちゃんとかいっぱいいる学校だけど、弟は知って組なのかな?だとすると、すんごいいい家じゃなくて、そこそこいい家なのかな?ん?
って、正体探らない!
考えませんよ!
返信する前に、メルアド登録。
メルアドは、名前につながるような単語は入ってない。私も大丈夫。(という設定に変更しますごめんなさい)
名前は「弟」にするわけにいかないしなぁ。
そうだ。双子の姉弟の苗字は舞だったから、舞でいいか。
よし、登録完了。返信しよう。
『私も楽しかったよ。今日は帰って勉強。明日の模試、お互いに頑張ろうね!』
返信っと。
『模試とかどうでもよくて忘れてた。でも、姉さんが応援してくれるなら死ぬ気で頑張るよ┗(`・ω・´)┛』
うお、忘れてたとか、家族は何も言わないのかなぁ?うちは優秀な兄や、毎日顔を合わせる嘉久が嫌でも話題にするし。二人とも普段努力してるそぶりを見せない癖に出来がいいんだもんっ。くそうっ。
いいんだ。
女の子は、ちょっと出来が悪いくらいが可愛いんだからね!
努力してるのに報われないくらいが可愛いんだからね!
努力せずにできない言うコは、イラッとするけど……。
努力もせずにできるコは、羨ましくて……、時々爆発しろとか思……ったりしないよっ。
あ、出来が良くても努力してる子はかわいいから!それ、芽維たんのことだよ!芽維たん、分からない問題とか分かるまで頑張ろうとする努力家だもんっ。
……。それよりも、メールで「姉さん」って書いてるのどうしようか。んー、姉、弟の時は「ねえさん」だけど、字面見ると「あねさん」みたいだな。
兄とか「璃々亜、学校では「あねさん」って呼ばれているのか?」って言いださないだろうか?
……ぐぅぅぅ。どんだけ頼りがいのあるキャラだよっ!ないっての。
ひっそりと目立たないようにクラスの隅で、芽維たんと皐月たんに囲まれて穏やかに過ごしてるんだから。
そんな私が「あねさん」なんて呼ばれるわけない。かと言って「ねえさん」と呼ばれてるのはなぜかと言われると……んー、年下の友達とでも言えばいいかな?……いや、でも、あの学校だと、年下の子って「お姉さま」とか呼ぶのかな??
お姉さまか……。
やだ、百合みたいじゃん。
有名な百合っぽい小説、学校で「お姉様」呼びしてたもんなぁ。まぁいいや。もし、メールを見られて聞かれたら考えよう。
偶然見られるなんて早々あるわけないし。
『姉さん、1番取ったら褒めてくれる?゜.+.(´ω`).+.』
ぶっ。
死ぬ気で頑張っても、1番なんて……。学校のテストじゃなくて、全国模試だよ?兄でさえ8位だったとか言ってたのに。全国1位なんてどれだけ賢いんだ!って話だよっ!
って、まぁ、冗談だよね。そもそも、1日死ぬ気でがんばって1位はねぇ。
『全国模試だよ!100位でもすごいよ!もし1位だったら、ご褒美に何かプレゼント用意するよ!』
とはいえ、どちらにしても全国模試何位とかって、名前発表されるから、正体バレちゃうじゃん。だめじゃんっ!
『ごめんね、姉さん。メールしてたいけど、今から猛勉強するから、今日はこれでメール最後にするね』
お、顔文字もないメールになった。
勉強に専念するってことだね。
……本気で1位狙うつもり?
……ってわけないよね。模試があるのを忘れてたくらいだし。もしかしたら、勉強しなくてもそこそこできるタイプ?だったら、100位以内ならとれちゃうとか……。
100位以内でもすごいよね。そういえば、お礼も全然できなかったし、100位以内だったら何かプレゼントしようかな。何がいいんだろう?
高校生男子が欲しい物なんて、全然分からないよ。
しかも、上流階級の高校生男子なんて、いったい何が欲しいんだろうか?
「嘉久様、プレゼントされて嬉しい物はございますか?」
悩む必要もなかった。
情報を収集すればいいのだ。
「え?」
嘉久は、スプーンをスープにボチャンと落とした。
あああ、濃厚クリーミーカボチャのスープがこぼれた。もったいない!
「プ、プ、プレゼント?」
「璃々亜、嘉久の誕生日なんていつものように本でもプレゼントしておけば十分だぞ?」
え?
もしかして、嘉久って誕生日近いの?
やばい。そんなこと知らないし。
よかった。今知って。っていうか、いつ突然誕生日が来てもいいように、嘉久、兄、父、母のプレゼントは用意してクローゼットの奥に隠しておこう。うん、そうしよう。
それに、今、いい情報ももらった。
嘉久には毎年璃々亜は本をプレゼントしていたのか。
ちょうど、私は図書委員とかだし、本をプレゼントする流れに不自然はないよね。
問題は、今までプレゼントした本とかぶらないようにすることだけど……。
「嘉久様、今まで私がプレゼントした本なのですが……」
いつもありがとうございます。
弟くんとの接触は当分ありませんが、メールでガンガン攻め込むのが弟流。
っていうか、ご褒美あれば、何でもやっちゃいそうな弟です。




