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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第20話 ヒロイン候補?皐月幸子と友達になれたらしい

 ヒロインは、芽維たんだと思い込んでいたんだけど……。もしかしたら、皐月幸子という可能性もあるんじゃないの?

 皐月幸子は、黒くて真っ直ぐな髪を高い位置で結んでいる。ポニーテールは、動くたびに躍動感ある動きをして、目を引く。

 芽維たんのように、目を見張るような可愛さはないけれど、十分美少女の粋にある。ちょっときつめの見た目と性格……。だけど、恥いることを知り、自分の非を認めたならば改める姿勢がある。

 ……。ツンデレだ。

 ツンデレポニーテールヒロイン……。ありじゃない?ありだよね?

 しかも、攻略対象候補である、田中とクラスメートで、クラス委員として生徒会役員との接点もできた。


 うううっ。芽維たんがヒロインだった場合は、とにかく友達として信用を勝ち取り、無実の罪で断罪を受けた場合かばってもらって破滅フラグ回避のつもりだった……。

 皐月さんがヒロインだった場合は、どう破滅フラグ回避すれば?ツンデレ属性との接し方には自信がない。というか、何かすでに、説教めいたこと皐月さんに言っちゃったし。

 皐月さんに対しては、すでに悪役令嬢的な感じになってない?

 あわあわっ。


 やだぁ、もう、神様のばかっ!

 やったことない乙女ゲームに転生させるなら、せめて取扱説明書……いや、そうでなくてもイメージイラストの一枚でも付けてくれよ!

 攻略対象どころかヒロインが誰かさえ分からないって!

 もしかしたら、芽維たんでもなく皐月さんでもなく、教室の隅で本を読んでる眼鏡少女がヒロインかもしれないよね!眼鏡を取ったら実は美少女系ヒロイン……。

 あっちでぎゃあぎゃあうるさく話をしている茶髪の化粧おばけがヒロインって可能性だって無いわけじゃない。学校ではギャルを装ってるけど素顔は純情可憐恥かしがり屋系ヒロイン。

 いや、その前で、お菓子をバリバリ食べている太めと言う表現では言い表せない体型の子がヒロインかもしれない。痩せたら美人系ヒロイン。

 いいや、いいや、もしかすると目の前の田中でさえ、怪我をして野球部を退部。傷心の彼の慰めとなったのは違う自分になること。そう、田中は男の娘系ヒロインとして……。


 田中の顔を見る。

 じぃーーーっ。

「白川、何?俺の顔に何か付いてる?」

 スポーツマンらしいほどよく筋肉質な体。太い眉に奥二重の目、鼻筋くっきり大きな鼻と口角が上がった大きな口。少しエラがはった顔はよく日に焼けていて……。実に、男らしい顔をしている。

「似合わない……」

 思わずもれた呟きを田中が拾う。

「え?似合わないって、まさか、まだ俺に読書が似合わないとかまだ言う?」

「いいえ、違いますわ。田中君に、女装は似合わないなと思いまして……」

「は?女装?なんで、俺が女装しなくちゃならないんだよ!」

 うん。田中が男の娘ヒロイン説だけはないな。

 間違いない。

「璃々亜さん、なんか田中くんと楽しそうな話してるね!」

 芽維たんが、あわてる田中を見てにこにこしている。

「生徒会長でしたら絶世の美女になるのでしょうが、確かに田中様の女装は無理がありそうですね」

 皐月さんも、田中の姿を観察してうなづいている。

「お兄様が、絶世の美女……」

 兄の顔を思い浮かべ、女装姿を想像する。

 うん、確かに、かわいくはならないだろうけど、絶世の美女にはなりそうだ。それも、やばいくらい。


「はっ、し、白川様、申し訳ありませんっ、あの、私としたことが、白川様のお兄様が女装なんて、大変失礼な発言を……」

 兄の女装姿を想像してみる。

「私は栗毛のふわふわロングヘアが似合うと思うのですけれど、皐月さんはどんな髪型がお兄様に似合うと思いますか?」

「ふわふわロングも似合いそうですが、生徒会長の涼やかな瞳には、黒髪ストレートショートボブもお似合いかと……ああ、申し訳ございません、今のはなかったことに」

 ハッと謝罪する皐月さん。

「ショートボブ!それ、いいですね!クレオパトラみたいな感じすわね!ドレスは真紅のドレスがいいかしら?」

「全身真紅も素敵ですわね。ですが、黒のレースをふんだんに使ったドレスに、真紅の薔薇をアクセントで用いるのも捨てがたいかと……」

 再びハッとして、謝罪を口にしようとする皐月さん。

「くすっ」

 皐月さん、面白い子。

「あ、わ、わわ、白川様、お許しを……」

「いいえ、とても楽しいですわ。皐月さん、お友達になってくださる?」

 手を差し伸べると、皐月さんはびっくりしたような顔をしてから、

「はい、私でよろしければもちろんです。よろしくおねがいいたします」と手を取ってくれた。

「あの!」

 芽維たんが手を軽く挙げる。

 あ、芽維たんも皐月さんと友達になりたいのね?

「生徒会長には、振袖も似合うと思います!」

 ドヤ顔する芽維たん。かわゆすっ。

「「そうですわね!」」

 私と皐月さんは、芽維たんの発言に激しく同意した。

 うん。皐月さんとは気が合いそうです。

 大丈夫。たとえ皐月さんがヒロインだったとしても、乗り切れそうな気がします。


「何で、女装の話なんてしてるんだ?」

 田中の突っ込みに、私たちは3人仲良く首をかしげた。


 あれ?なんでだっけ?

 まあいいか。そんなことはどうでも。

「皐月さん、私のことは、璃々亜と呼んでくださいませ」

「あ、私も芽維でいいです!」

「ありがとうございます。では、私は幸子と」

「え?皐月が下の名前じゃなかったのか?」

 田中の言葉に、私と芽維たんが思わずうなづいてしまった。

「はい。よく名前みたいな苗字だと言われます……」

 というか、幸子……。なんという普通な感じ。

「なんだか、皐月という方が似合いますわね」

「幸子っていうと、あの歌を歌いたくなるよな?」

 田中くんが、言ってはいけない一言を口にする。思っていても、口に出しちゃだめ!

 ええ、私も心の中ではすでにエンドレスであの歌が流れていますとも!

 皐月さんも過去に何度かからかわれた経験があるのか微妙な顔つきになった。

 結果、皐月幸子は皐月さんと呼ぶことに決定した。

 さっちゃんと呼ぶと、そのうちラスボスと言われかねないからね。バナナが大好きなんて可愛い歌どころか、××にしてやんよっ!とかになっちゃうからね!同人誌即売会に行った日にゃぁラスボス光臨言われるからね。腐。



お読みいただきありがとうございます。

田中は何要員なんだろうか?

皐月さんは、もともと「皐月彩香」という名前だったんですが、皐月さんと呼びたくなり、急遽名前を幸子に変更しました。

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