↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

180/565

第163話 昔を懐かしんだらしい

「そろそろ、休憩しようか」

 はぁ?

 だから、まだ1冊も読んでな

「10時だ。丁度お茶の時間にはいいだろう」

 嘉久が、ティーセットを載せたお盆の上にあった、お皿の上に載せてあった、ドーム型の蓋を持ち上げた。

 中には、黄金色に輝くスウィートポテト様。

 ふわっ!

 大好物です!

「璃々亜、好きだろう?」

 コクコクと頷く。

 ん?璃々亜(前)も、好きだったんだ。気が合うね。

「ちょっと待ってろよ、お茶を入れるから」

 嘉久が、茶葉の入った缶を開けて、なれた手つきでティースプーンで茶こしに2杯入れて、お湯を入れる。私に声を掛ける前に、すでにカップをお湯で温めていたようで、カップに入ったお湯を捨てると、そこに紅茶を注いだ。

 ふんわり香る、リンゴの香り。

 うおー、アップルティーですか!

 サツマイモとリンゴって、ベストカップルですよ!

 なんと素晴らしいチョイスをするのだ、嘉久よ!褒めて遣わす!

 そういえば、前にも、嘉久と私って味覚が合うのかもなーって思ったっけ。うん。味覚が合うのって大事。


 向かい合ってソファに座り、お茶タイム。

 嘉久が何やら口を開くが、私の意識は漫画へ向いてしまい、聞き逃すところだ。

「え?」

 聞き返してみたが、嘉久は「璃々亜は、食べているときは人の話を聞かないな」といいおった。

 違う、別に食べ物に意識を奪われて聞いてないわけじゃないよ!

 漫画だよ、漫画が私を呼んでいたんだって!

 ダメだ、今は漫画から意識をそらさないと。

 部屋の中に意識を向ける。

 西側の壁に、賞状がたくさん飾られ、その下の台にはトロフィーや盾が並んでいた。20や30はありそうだ。

「ずいぶんたくさんありますね」

 私の視線の先を確認して、嘉久が言った。

「璃々亜も、ずいぶんもらっていたじゃないか」

 はぁ?

 マジで?

 家には全然飾ってなかったけど……?

 いったい、何のトロフィーを私はもらったというのだ?

「高校受験があるから辞めるって言ってたが、受験も終わったことだし、またやらないのか?」

 うごっ、な、習い事のトロフィーですか!

 いったい、私は何を習っていたというのだ?ピアノか?ピアノなのか?

 あああ、やばい。本気で剃刀計画を実行しなくてはならないのか!

 だめだ。悪役令嬢コースまっしぐらじゃないか。

 自分で指を傷つけ「怪我が元でもう引けません」って見せないとだめなのか?

 やだ、やだ、痛いのやだよぅ。

 って、ピアノとは限らないよ。

 何だろう……。

 トロフィーとか賞状とかがあるってことは、コンクールやら大会があるような何かなんだよね?

「い、今はまだ、高校生活に慣れることに必死なので……」

 適当に笑って誤魔化しておく。

 白川家のどこかにあるトロフィーとか探さないと。

 そこには「なんたらコンクール入賞」だとか書いてあるプレートが付いてるはずだよね?それを見れば、何を習っていたのかが分かるはずだ。

 まだ立ち入ったことのない部屋がいくつかある。……あちこち家探しせずに「どこだったかしら?」と早間さんに尋ねれば教えてもらえるだろうか?

「そろそろ、再開するか!」

 気がつけば、スウィートポテトはなくなっていた。

 あれ?私、いつの間に食べちゃったんだろう。

 損したー。

 考え事しながら食べて、味が分かんなかったよー。損したー。

 って、いつまでもぐずぐず言っている暇はありませんでした!

 漫画を読まなければ!

 まずは、これからです。『おそ松どの』主役たちは、イケメン5つ子ですよ。アイドルにスカウトされて『○群』ってグループ名でデビューするんですよね。

 5つ子の妹が、付き人として奮闘しながら、人気絶頂アイドルと恋に落ちるらしい。妹ちゃんは、この際どうでもいい。

 イケメン5つ子と、人気絶頂アイドル……ふっ。おいしいシチュエーションじゃなくて?

 BL魂がこれはいけると叫んでいるざーます!


「おい、璃々亜」

 はっ!

 何ですか?今、いいところなんですよ!

「そろそろ、準備しなくていいのか?」

 え?準備?

 時計を見ると、12時近くだ。

 うわーっ!田中くんとの待ち合わせは12時45分。急がないと。

 ああ、でも、漫画、漫画も読みたい。

「嘉久様なるべく急いで帰ってきて、またお手伝いいたしますわね」

 にこっと笑って、立ち上がる。

「あ、ああ、ありがとうな」

 嘉久も、立ち上がる。そして、私に向けて手を差し出した。

 ん?何だ?この手は?

 ま、まさか……私が袋に入れた漫画を返せという無言の要求?

 い、いやですっ!

 じーっと、嘉久の手を見る。

 うううっ、いつまでも引っ込まない嘉久の手。

 涙目になりながら、嘉久の手から、顔に視線を移す。

 上目遣いで、恨めし気に嘉久の顔を見上げる。返したくないです。ください。この4冊……。

「ご、ごめん。そうだよな。昔、璃々亜の家に行くときに二人で手をつないで行ったからって……こっ、高校生だもんな……」

 え?

「昔を懐かしんで?」

 手をつなごうとしただけ?

 なぁーんだ、そうだったの!

「さぁ、参りましょう!」

 良かった。

 袋に入れた4冊の漫画を返せと言いたかったわけじゃなかったのですね!

 嘉久の手をしっかり握ると、白川家に向かって足取り軽く歩き出した。

 おっと、まだ言質取ってないから確認しとこう。

「何冊か、気になる本がございましたの。いただいてもよろしいですか?」

 にこにこ。

 嘉久は、好きなだけやると言ってくださいました。声が裏返っていたのは、どうしてかしら?


いつもありがとうございます。

習い事の秘密はそのうち明かされます。ヒントはすでに出ていますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。