閑話 早間さん
閑話です。早間さん視点ですが、想像の斜め上に、早間さんが変態チックになってしまいました。おかしい……。なぜだ……。
私、早間と申します。
白川家のメイド、いえ、お手伝いとして勤務をはじめ4年目となります。
私が勤め始めた時に、白川家のお嬢様は中学1年生。お坊ちゃまは中学3年生でした。
お嬢様は、それは立派な縦ロールをしていらっしゃいました。
思わず「リアルロリータ来たー!」と叫びそうになったのを、必死でこらえていたのを思い出します。
ええ。何が素晴らしいって、縦ロールの出来栄えのすばらしさはもとより、奥様の御選びになる衣装センスも抜群です。
ゴシックロリータから、甘ロリまで、なんでもござれのラインナップ。
クリーニングから戻ってきた服を掛けるために、クローゼットを開ける時間は何よりの至福の時です。
しかし、残念なことに、中学2年、3年と学年が上がるにつれて、お嬢様がロリータ衣装を身にまとう回数が少なくなってしまいました。
ふんわりと広がったスカートが子供っぽいと思われたようです。
違うんだよ!ロリータ衣装は、子供っぽいとかそういうのとは別の次元で動いているのだ!
ジャパニーズかわいいーで、クールな大人外国人が飛びつくほどの、素晴らしい世界なのだよっ!
はぁ、はぁ、はぁ。
何を隠そう、この私、もうすぐ30歳になりますが、持ってますよ?
普段は着ませんが、そういう集まりに着ていきますよ!
何が悪い!何も悪いことなどしていない!
ああそうさ、いい年こいてロリータ服着てるよ!だから何だ!
おっと。
事件は、高校入学式の日に起きました。
何と、あれほど素敵な縦ロールを、璃々亜お嬢様はお捨てになったのです!
ガビィーーーーーーンッ。
ロリータ服を身につけなっても、縦ロールだけは死守していたのに……。
一気にナチュラルテイストに持っていかれました。
ぐぬぬっ。私の、至福の時を返して!
眼福返して!
あうううっ。
こうなれば、奥様と相談して、再びお人形さんみたいな服装と髪型を璃々亜お嬢様にしてもらいます!
旦那様が、市松人形みたいなお嬢様に仕上げようとしているようですが、誰がそんなものに手を貸すもんですか!
和ロリならまだしも、和ロリ……和ロリ……。
和風ロリータ!
そうか!旦那様をむしろ、こちら側に引きずり込むという手がありましたね!
よし、和ロリ資料を取り揃えて、こそっと旦那様の目に触れる場所に置いておきましょう。
いや、待てよ?旦那様だけではなく、敦也お坊ちゃまにも味方になっていただきましょうか。
きっと、敦也お坊ちゃまも、和ロリは嫌いじゃないはずですよ。
ふふふふふ。
おや?
パソコンルームに「京の部屋」という札が。
京?なぜ?
掃除道具を片手に、パソコンルームの扉をノックする。
誰もいない。
京という人物がいるのかと一瞬思いましたが、そんなはずないですよねぇ?
高い場所から順に埃を落とし、掃除機をかける。
「こ、これは……!」
プリンターに出力された写真に、目が釘付けになる。
映っている背景は、どうやらネズニーランドのようです。
つまり、璃々亜お嬢様の新入生歓迎会の時の写真でしょう。
楽しそうに微笑む璃々亜お嬢様。そして、その両隣に映っているのはお友達でしょうか。
「な、なんという……なんという……」
おお、神よ!
思わず涙があふれ出てきました。
黒髪ポニーテールの少女は、和ロリが似合いそうです。
ふわふわ髪の少女は、甘ロリが似合いそうです。
璃々亜お嬢様は、昔のようにメイクをすればゴスロリが似合います。
何と言う、ロリータ3姉妹!
これは、もう、ぜひとも3人に御揃いを着てもらって写真を撮らせてもらわねば!
はぁ、はぁ、はぁ。
やばい、あまりに楽しい想像に、にやにやがとまりません。と、とりあえず、この写真欲しいけれど、もらっちゃだめですよね……。




