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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第16話 「孤高の皇帝」の名が付いたのには理由があるらしい

 しばらく3人で黙々と箸を進める。皿が空になったころ、タイミング良く次の皿と交換された。

 ふおっ。どれもおいしそう!

「そういえば、嘉久、入学式だから流石に今日はいつものアレ、やってなかったな」

 いつものアレ?

「ああ、株か。辞めた」

「辞めた?中学のときは、株取引のため授業以外の時間はタブレットを片時も離さなかったお前が?」

 なぬ?

 嘉久は、中学生なのに株とかやってたの?すげー。

「あー、結構大変だったな。授業中も、株価が気になって勉強が手につかない日もあったし、休み時間が移動教室で時間を取られるとイライラしたしな」

 分かるわ。株にはまった前世の同僚、暇さえあれば株価チェックしま くってて、落ち着きなかったもんなぁ。

 そのうち、仕事中にトイレと偽ってしょっちゅう席を空けて株取引するようになって、厳重注意されてた。


 孤高の皇帝……。

 まさか、休み時間をすべて株取引に費やしていたから、誰とも話をしなかったのか?

 だから、孤高の皇帝なのか?

「今思えば、学ぶことは多かったが、犠牲にしたものも多かった」

 今思えばって、中学時代なんてまだ数週間前の話だよね?

「犠牲って何のことですの?」

 大損か?いくら損したんだ?

「友人らしい友人ができなかったからな。高校では、璃々亜に負けないくらい友人を作って、男子会しようと思う」

 

 だ、だ、だ、男子会って……、BL会~~~~~っ?!?!?!?

 

 あ、うん。違うよね。

 っていうか、3次元BLは私の範囲外なので興味はありませんけどね!

 で、でも、京様ボイスで「男子会」とか口にするなんて、やばいくらい妄想が止まらなくなっちゃうんですけど!はふはふはふっ。腐。


「まさか、私が女子会をすると言ったので、真似ようとしていらっしゃる?」

 私の言葉に、嘉久がちょっとだけ視線を斜め上に上げた。

 図星?

「ま、真似とかじゃないぞ?璃々亜だけ友達作ろうとか、ずるいなんて思ってないからな?」

 ……。

 はい、完全に真似ですね。

 生ぬるい目で嘉久を見れば、嘉久は悔しそうな顔で声を張る。

「偶然だからな!ちょうど春休みに目標を達成したから株を辞めるだけだ!」

「株に、目標ですか?」

 大損したから辞めるんじゃなく?

「ああ、初期投資金額の100倍が目標だったからな」

 100倍?

 1万円なら100万円ってことだよね?金持ち坊っちゃんだから1万円スタートはないか。10万円なら1000万。

 すごいな、中学生でそれだけ稼ぐなんて……。もし100万円スタートなら1億だよ、1億。

 坊っちゃんだし、もしや、スタートが100万円なんて、そんなこと、な、な、ないよね?

 え?やだ、億単位のお金とか、そんな異世界の話してないよね?


「確か、1000万スタートだったか?じゃぁ、10億になったってことか。流石だな、嘉久」

 お兄様の言葉に、目玉が飛び出すかと思った。

 へ?じゅ、じゅ、じゅ、

 十億?

 何、ソレ、円じゃなくて、ウォンの話ですか?

「春休みだったからつい海外株式にまで手を出して、最終的には38億。流石に睡眠時間が足りなくてちょっとキツカッタな」

 海外取引と日本の取引掛け持ちしてデイトレードやんてやってたら、そりゃ寝る時間もなくなるわ!

 38億とか、そりゃすごいお金だけど、でも、でも、中学3年間友達も作らず睡眠時間削ってって……。

「そこまでして、お金が欲しかったのですか?成長期の睡眠時間がどれほど大切か、分かっていらっしゃるんですか?」

 ちょっと怒ったような声が出て、自分でもびっくり。

「ご、……ごめん」

 あ、嘉久が謝った。

 いやだわ、私、そんなに迫力ある言い方したかな?そりゃ、ちょっと怒ってたりもするけど。


「璃々亜、私もアプリ開発に熱中して徹夜をしてしまうことが……」

 何故このタイミングで、兄は自分の不摂生を報告する?

「お兄様、お体を大切にしてくださいませ」

 ぎっと睨み付けちゃったじゃないの。

 それなのに、なぜか兄は嬉しそうに、

「璃々亜、心配させてすまなかった。これからは気をつけるよ」

 と、おっしゃった。

 兄よ……。妹に心配されるのが嬉しいのか……。頼むからわざと心配させるようなことしてくれるなよ?


 お膳の上が再び空になると、舞台に華やかな着物姿の女性が現れ、日本舞踊を披露してくれた。

 終わるころに、熱々の揚げ物などが配膳された。

 食べる、手品を見る、食べる、ハープの演奏聴く、食べる、デザートおいしい、おかわりする。

 こうして、嘉久の家での入学祝いの夕食が終わった。


 家に帰って、すんごいいい香りの入浴剤入りの風呂に入った。もちろん、普通の家庭用お風呂の2倍くらいの湯船。流石に、ライオンの口からお湯が出たりはしなかった。

 でもって、パジャマじゃなくて、ネグリジェ。ネグリジェなんて、初体験です。足元スースーする。冬は寒そう。あ、流石にバスローブはありませんでした。

 さて、いろいろ考えないとと思いつつも……。

 おいしいもの食べて、いいお湯入った後なんて、寝るしかないよね?

 ……部屋にテレビもゲームも漫画も小説も何にもないし……。



また兄が残念なことに

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― 新着の感想 ―
[一言] 嘉久が寝食削ってタブレット持っていたなら、ネット環境はあるはず。ならストリーミングだって見放題!
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