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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第133話 田中くんは張り切るらしい

「図書委員で社会貢献ねぇ……。全然思い浮かばないや。白川は何か考え付きそうか?」

 図書室から田中くんと二人で並んで歩く。

「いいえ、少しも思いつきませんは。そもそも、私たち図書委員としての仕事すらしているとは言えませんもの」

「くっ。言えてる。公立高校の図書委員がどれだけ仕事をしているかわからないけど、俺らよりは仕事してるんだろうな」

 するよ、仕事。本の貸し出し返却の受付、返却された本を棚に戻す、購入リクエストカードを元に新しい本の注文書を作る、返却が遅れている人へ連絡する

。ふふんっ、何を隠そう、その昔図書委員をしていたのだ!

 えーっと、それから何があったかなぁ?そうそう、図書室だよりの原稿づくりとかもあったな。

 むふっ。楽しかったなぁ。今月のおすすめの本とか、趣味丸出し!……にするわけにもいかないので、こそっとBL臭のする作品を選んだりして。

 「図書だより、誰のシュミですか?」って図書室の意見箱に投書があったのにはギクリとした。仲間には分かるのだな。BLの香りが……。

 図書委員で持ち回りで書いてたから、私が担当したのは3か月に1回程度だったんだけど……。

 次に書くために

「知られていない本を紹介」

 したくて、必死にBL臭する本を探し回ったっけ。

 あ、あれ?別にBL臭する本を紹介しなくてもよかったんだよね?……。

 いや、ほら、そこはあれだよ。

「何だ?白川、知られていない本を紹介って?」

「い、いえ、なんでもありませんわ!」

 やばい!また脳内の声が漏れてた?BLなんて単語口にしてないよね?してないよね?

 汗。誰に知られても爆ぜるが、田中君に知られたら……宇宙まで飛ぶ勢いで爆ぜるわ!

「ほ、ほら、先輩が言ってらっしゃったでしょう?図書室には室町時代の貴重な本もあると……おいそれと公開するなんてできないとは思いますが、そのような本を紹介することはできるんじゃないかなと……」

 ごにょごにょ。必死で言い訳です。

「ああ、なるほど。実際、こういう本があるよというのを僕たち生徒すら知らないわけだし、所蔵本を紹介するのはいいね。研究者にはありがたいと思うよ。それに、紹介文なんかを工夫することで、新たに興味を持ってもらえるかもしれないな。新しい本との出会いを手出すけできるなんて、素晴らしいことだと思うよ!」

 田中君が意外にも熱く語りだす。

 ううう、胸がいたい。

 新しい本との出会いの手助け……本来は、そう言った意味があったわけだよね。

 ごめん、BL臭本を紹介することにばかり情熱を注いでしまって……。


 田中くんがまぶしい。

 

 過去の自分が恥ずかしすぎる。


「いいよ、いい、白川さん、これいけるよ!」

 田中くんが、私の両手を取った。

 手、手、手っ!

「月に1度、図書室の所蔵本の紹介文を載せた図書室だよりを発行するんだ。社会貢献になるよ、きっと」

 えー、ならないんじゃないかな?

 だって、前世で図書委員でそういうのやってたけど、社会貢献って感じじゃなかったしなぁ。

「あとは予算次第だなぁ。印刷代がどこまで出るのか分からないから、配布できる地域も限定されちゃうかな。地域貢献で、地元に配布は欠かせないとして、あとは全国の学校や図書館に郵送したらどうだろう?あとは、インターネットで特設サイトを作ればいいんじゃないかな」

「え?校内に向けての図書室だよりではないのですか?」

 地域に配布とか、学校や図書館に送り付けるとか……。インターネットで日本どころか世界中に公開するとか……。

 趣味全開の、BL臭のする図書紹介を全国に広めるなんて!

「あーでも、そうすると、貴重な資料を見たいという問い合わせがあるかな?紹介するだけして見せられないというのもダメか……」

 あ、そうでした。BL臭本紹介記事を書くんじゃありませんでしたね。

「でしたら、貴重本を限定公開すればよろしいのではありませんか?図書館だよりに公開日と、参加可能人数と申し込み方法などを一緒に書けばいかがでしょう?応募していただいて興味のある方に集まっていただくようにすれば、各々がお話に花も咲くのではありませんこと?」

 オンリーイベントみたいなもんだね。

 室町時代の貴重な本イベントオンリーイベントみたいな?

 

「そうだね!それ、いいんじゃないかな?提案してみるべきだよ、次の図書委員会で!」

 は?

 田中くんが絶賛してくれてますが……。そんないいアイデアっていうなら、採用されちゃったりする?

 目立つのは御免です。

「えっと、田中くんが提案してはいかがでしょうか」

「白川が考えたんだから、白川が提案するべきだよ。僕は別に何か考えるよ」

 田中くんが、手を放してポンポンと私の頭をたたいた。

 え、あの、私が提案するの決定事項?

 困る、やだ、でも、田中くんの期待を裏切ることもできないし……。

 上目遣いで田中くんの顔を見る。

「なっ」

 田中くんが、慌てて、私の頭の上に置いていた手をどけた。

「ご、ご、ごめん、えっと、つい……」

 え?

「あ、ああ、気にしていませんわ」

 きっと妹の立花ちゃんにするように手が出てしまったんだね。そろそろ妹扱いも慣れてきたよ。

 気にしてないと証明するためににこっと笑ったら、田中くんが顔を赤くしたよ。失敗を恥じてるのかな?別に本当に気にしないんだけどなぁ。

 むしろ、頭ポンポンは嫌いじゃないよ?

「提案のことですけれど、私が言った言葉を、田中くんが拾ってくれたことで思いついたのですから……。私一人で考えたとは言えません。あの、ですから、ぜひ田中くんに……」

 表に出たくないので、頼みますとは言えない。察してくれ。察してくれ。

 察してくれ、田中よ、お前はできる男だ。嘉久とちがって、空気が読める男だと信じている!

 

 私の必死の察してくれオーラが通じたのか、田中くんが首を盾に振ってくれた。

 \(^_^)/やったあぁ!

「ありがとう。じゃぁ、二人での合同提案ってことにしないか?」

「二人の?」

 うーん。私の名前も出るけど、そこは仕方ないか。

「なぁ、白川、どうせなら提案を採用されるように頑張ろうぜ!」

 え?何ですって?

 頑張る?

 いや、私、目立ちたくないんですけど……。

 頑張るつもりなんて、まったくもってないんですけど……!

「今度の土曜の午後とか時間とれないか?」

「特に予定はございませんけれど」

「じゃぁ、一緒に提案用に、見本を作らないか?」

 えー、そこまでする必要ないよね?っていうか、目立ちたくないんだよぅ。そこまで気合入れて提案したら目立つよね?

 ちょっと悩んでいると、田中くんがふっと笑った。

「ラーメンで良かったら昼飯もおごるよ」

「何時にどこで待ち合わせいたしましょう?」



いつもありがとうございますです。

3月3日はひな祭りですが、通常営業です。

田中くんとのイベントを無理無理作ってみました~。

土曜日にサクッと約束しちゃったけど璃々亜さん、嘉久のこと、また忘れてます。

土曜は田中くん、午前中だけ部活です。

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