第128話 相原さんは文芸部でとっても、ああいう本が好きらしい
その日、休み時間にちょこちょこと5人で話をした。
お昼のこととか。
相原さんと相良さんの二人は、食堂利用がメインだけど、週に1日くらいはお弁当を持ってきて皆で食べようとか。
部活の話とか。
「あれからも、3000円お出かけを考えていらっしゃるんですか?勉強熱心ですのね!」
皐月たんが、その話に食いついた。
「ふふふっ」
芽維たんが妙に嬉しそうに笑う。
なんという天使の笑顔!
「私でよければ、3000円実践コースに案内するよ?」
「「「ほ、本当ですか?」」」
おや、相原さんと相良さんと皐月たんまで声がそろった。
「あの、なぜそこまで皆さま熱心なんですの?」
別に、先生は成績には関係ないって言っていたよね?
「白川様がおっしゃった言葉に胸が打ち震えたのでございます。一般常識を知らなければならないと痛感いたしました」
そ、そう?
っていうか、私、なんて言ったっけ?覚えていない……。
「あの、私……お恥ずかしいのですが、お話を書きたいと思っておりますの……」
え?
それって、もしかして……。
小説とか、
ライトノベルとか、
BL小説とか、
って話?
ぬあんと!こんなところに、心の友が!
内緒だけどね、みっきゅんにも内緒にしてたんだけどね、前世ではこっそり私も小説書いてたんだよ……。
ん?死んだあと、PCのデータどうなったんだろう。家族に遺品整理とかで見られたら軽くあと5回は死ねる内容なんだけど……。
やめっ、考えない。今更どうしようもないこと考えないぞっ。
今は心の友をだ、育て上げないと!
「もしかして、相原さん文芸部に入ったの?」
芽維たんの質問に少しがっかりする。
ぶ、文芸部か。
あの文芸部の部員が書くものって……、私の趣味からは遠そうだわ……。
「でしたら、本が好きで図書委員をしていらっしゃる璃々亜様とも趣味があうかもしれませんわね」
皐月たん、たぶん合わないよ。
「ええ、確かに文芸部に入部いたしましたが、先輩方とは違って、私の場合少し趣味がずれているようで……」
なんですとぉ!
それ、どんな趣味?
いいから、おねぇさんに教えてみなさい!
はーはーはー。
もし、BL小説っていうなら、おねぇさんが、手取り足取り腰取り教えてあげるから!
あ、いや、違った。手取り足取り腰取りな小説を教えてあげるから!
ライトノベルっていうんでもいいよ。
こっちのせかいになろうみたいな小説サイトあるかわかんないけど、似たようなのが絶対あるはずだから、情報交換とかね!一緒に感想述べたりとかね!それだけでもすんごい嬉しいの!
「じゃぁ、どんなの?」
「児童文学が好きで……」
児童文学?
な、に、そ、れ?
質問です!ライトノベルは児童文学ですか?
「えー、本当?私、ハーリーポットーとか大好きなの。相原さんは?」
「ハーリーポットーシリーズは私も好きですわ。あと、ナルナル国物語とか」
「あー、読んだ読んだ!」
了解。
どうやら、私と趣味がかぶらないと認識した。
しかし、妙に芽維たんとは話が弾むようだ。
よかったよかった。
あんな手紙のいろいろがあったけど、わだかまりなく仲良くなれそうで、よかった。
よかったって、思うのに、ちょっと涙が……。
ライトノベル好き仲間くらいいてもいいと思うの……。
さすがにBLはハードルが高いって分かってるけど……。
ぐずっ。
いいとこのご子息ご息女様たちってば、親から与えられた由緒正しき本しか読まないのかしら?
……。
テレビアニメももしかして、中部児童福祉審議会推薦番組とかマークの付いたものしか見せてもらえないとか?
あ、いや、あれはあれで、BLネタとしてありはありなんだけどね?
書いてる同人作家さんもいるにはいるんだけどね?
いかんせん、いくら美化しても、みんな禿なんで……。なんていうか、絵面が美しくないというか、キャラクターの見分けが難しいというか、なんというか、高度なわけだ。
つまり、あの作品がアニメのすべてだと思っていたら、育つBL脳も、育たないわけよ!
ん?BL脳を育てる必要があるのかって?
……。
はい、そうですね。
別に育つ必要はないですね……。ぐすっ。




