第107話 木曜日 手渡された封筒は疑惑のものらしい
「「ごきげんよう、白川様」」
昇降口で、相原さんと相良さんが並んで待っていた。
今日は偶然タイミングが合ったのではなく、明らかに待っていたんだよね?
「ごきげんよう」
何か用事かな?
「あ、あの、昨日は……ありがとうございました!」
「白川様のおかげで、歓迎会を楽しめそうです!」
そうだった。
そんなこともあった。
「私は、高円寺様に少しご意見差し上げただけで、実際に決断したのは高円寺様ですわ」
一応、嘉久が素直に方針を変えたおかげというのをアピールしておいた。
「いいえ、白川様のおかげです!」
「これ、受け取ってください!」
相良さんが、手に持っていた30センチほどの大きさの赤い紙袋を差し出した。
「え?本当に私はたいしたことをしていませんわ……お礼など不要です」
お礼とか、大げさだよっ。
受け取りをやんわり断ると、二人は同時に首を横に振った。
「嬉しかったんです!白川様!」
「大切なクラスメートと言っていただけて……」
「私たちのこと……ちゃんと、考えていてくださって……」
「どうか、受け取ってくださいませ!」
なんか、このままじゃ二人が泣き出しそうだったので受け取る。
「ありがとう。二人のお気持ちいただきますわね」
目立つんだよぅ。昇降口なんて、人の通りが多いんだから!
なんで、二人は教室で渡さないかなぁ?それならクラスメートに見られるだけで、さほど目立たないのになぁ……。
……も、もしかして、いまのシーン、事情を知らない人が見たら、取り巻きに何か貢がせる悪役令嬢とかに見えてないよね?
誤解だからねー!
二人が頭を振ったりぺこぺこしてたのは、謝罪じゃなくて、お礼だからね!
頼む、誰も誤解しないでよ!
そんな些細な誤解が積み重なって破滅ルートとか、ごめんこうむる!
ぐすっ。高校を辞める羽目になったら、嘉久の会社で雇ってくれないかな?今さらどの面下げてとか言われるかな……。
お昼休み、いつものメンバーでお食事。
そうだ、相原さんたちに朝もらったのって、お菓子じゃないのかな?お礼の定番だよね?
お菓子だったらみんなで食べよう。
机にかけてある紙袋から、包み紙を取り出す。
うん、賞味期限書いてあるシールが貼ってあります!ビンゴですね!
お、まだ何か入ってる。
薄ピンクの封筒を、取り出す。
お礼の手紙かな?
封筒を止めてある花のシールをはがして封を開ける。
「おいっ!」
え?
「それって、あれじゃないのかっ!」
田中くんが、あせった顔で私の手にしている封筒を手に取る。
何?
何なの?
芽維たんも青い顔をしている。
あれ?
田中くんと芽維たんの顔を見比べる。
何?えっと、封筒、田中くんと芽維たん……。
あ!
あああ!
あれか!
もしかして、ラブレターとか勘違いしたことがあった……。
私の目から必死に隠そうとしてた手紙……。
調子にのるな白川ていうような内容が書いてあったあの……。
確かに、あの時に見た封筒も、こんな色してた、けど……。
田中くんが封筒の中から紙を取り出して内容を確認する。
「え?お礼?」
確認したあと、机の上に、手紙をおいて、私とめいたんの目にも内容が確認できるように広げる。
昨日のことに関したお礼が書かれていた。
「すまん、勘違いしたようだ……」
と、田中くんが頭を下げる。
勘違いしたって、でも、私を傷つけないように守ろうとしてくれたんだよね?
へへへ。
って、思わずにやけちゃいそうになる顔を抑える。
「勘違いとは限りませんわ。この封筒と便箋、預かってもよろしくて?」
え?
皐月たんが、右手を腰に、左手をあごに添えて立っている。
「預かる?それはかまいませんが……」
何をするんだろうと首をかしげる。
「少し、調べたいことがありますの」
何を調べるんだろう?と思いつつ。
まさか、封筒も便箋も同じものでした。犯人はお前だ!的なこと?
いや、同じものなんて偶然でしょ?
相原さんや相良さんに調子に乗るななんて言われる覚えなんてないよ。
たぶん。
慕ってくれてると思うんだけど……。
きっと。
……まさか、あれは、表面上のポーズ?
慕っているふりして、影では悪口三昧とか?
ぎょえーっ!やだ、やだ!それ知ったら人間不信になるよ!
ああ、そういうことが重なっての、中学時代までの璃々亜ボッチ生活だったのかな?
が、がんばれ、私!
ごらんいただきありがとうございます。
えー、残念な?ことに……。107話というのに、単行本2冊分ものボリュームがあるはずなのに……。まだ4月です。物語の中では、1ヶ月も経っていません・・・。お、おかしいなぁ・・・・?




