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恐怖のメイクアップ2

黒髪の少年は前世でたまたま見た情報を思い出しながら、紙に書き出していく。

とりあえず小麦粉だな……と黒髪の少年は部屋から出ると料理長の下へと向かう。


小麦粉からでんぷん糊をつくる。

赤い絵の具を何種類か使って血を表現したでんぷん糊を肌に貼ると傷を表現することも可能。



一番の問題は肌の状態チェックだったりする。

どうするかと考えた黒髪の少年だが、別に姫をその場で驚かせなくてもいいのではないかと思い付く。


姫に喜んでもらうのが第一だ。

なら、とりあえずこういうのを制作中と見せて、誕生日まで楽しみにしてもらうのも一つの手ではないだろうか?

黒髪の少年はそう思うと自分自身楽しみになってきて、いつの間にか足が早くなっていた。



「料理長、少々相談が……」

黒髪の少年は厨房に入ると丸い印象を受ける男に近寄り、声をかけた。

夕飯の仕込みも終わったらしく、新人が忙しそうに片付けをしている以外はのんびりとしていた。

「おやぁ~どうしました~?」

やけに間延びした声を出す料理長。


へにゃと笑う姿に黒髪の少年は笑みを返す。

暖かい人という印象が強い料理長は、黒髪の少年にとって落ち込んだ時や疲れた時は声をかけてくれるいい人である。

料理長からしても人から嫌われやすい顔なのに普通に接してくれる黒髪の少年を大切に思っている。


「小麦粉を実験に使いたいんだが……」

「実験ですか~?」

「うん、どろどろになるまで煮た物を作りたいのだが、一角借りていいか?」

「そうですね~、手があいてますので手伝いますよ~」

「助かるよ、料理長」

「いえいえ~」



鍋に水を貯めて小麦粉をそこに流し込み、火にかける。

手伝いは必要なのだろうかという簡単さで出来上がったでんぷん糊を小さい壺に移していく。



「すまない、助かった」

「いえいえ~何使うのか楽しみにしてますね~」そう言って料理長はにこやかな笑みを残して、黒髪の少年を残して去っていく。

黒髪の少年は小さい壺に蓋をすると、それを持って厨房から部屋へと向かった。



姫に手紙を送り、時間をとってもらわなければならない。

「あのゴブリン達に会う事になりそうだな……姫様の為だし頑張ろう」

姫に会うよりも、姫の部屋にある魔獣達に会うことに気合いをいれるどこか間違っている黒髪の少年であった。

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