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世界の趣味が悪すぎる1
小さい頃から疎まれてた。
嫌なものを見たように顔をしかめる母。
顔を見ないように目から下には視線を送らない父。
仮面を被ったような表情で接する兄。
そんな生活の中で出会った黒髪の少年。
彼は私の顔を正面から見つめ、照れたように頬を赤くした。
彼の表情に私は意味が分からなくて、始めは馬鹿にされてると感じた。
私を見てそんな表情をする彼を信じれなかった。
彼はゴブリンのぬいぐるみを見て顔をしかめた。
まるで嫌いなものを見るかのような彼。
皆に好かれているものが嫌いな彼。
皆に嫌われてる私に笑顔を向ける彼。
ありがとう。
ただ彼にそれだけを伝えたくて……。
ごめんなさい。
ただ彼にそれだけを言いたくて。
さようなら。
ただ彼にそれだけを告げたくて。
あなたが好きでした。
ただ彼にそれだけを……。