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閑話:ハイエルフ誕生秘話 中編後半

どうも、まず謝らないといけないことがあります、そうです一つの話でおさまりきれませんでした。本当に申し訳ありません、次は今日か明日には投稿しますから許してください。

 「ねぇキュラエス様最近ちょっと変じゃない?」

 「ああそれ私も思うー、前まで趣味の狩りに行ったりしてたのに今引き籠ってるもんね、………悪戯もしてこないしちょっと不気味」


 キュラエスが神父を救ってから数週間が過ぎたがあの日以来キュラエスは自室に閉じこもっていた、部屋の中に入る事すら本人から固く禁じられ部屋の前に朝昼晩の食事を置くだけというニート生活まっしぐらだがそこは前と変わらない、むしろ前にもこういうことは偶に会ったが今回は他にない不気味さがあった、普段暇を見つけては自分たちをからかっては無表情で面白いと言っていたキュラエスが何もしない、嵐の前の静けさのような物を感じた使用人達は皆が静まり返ったこの後の反動を恐れていた、今度は何が始まるんだと、何時も彼女を朝起こしたり身の回りの世話をしていたメイドは前の事を思い返して身震いする。


 キュラエスが教師を務めていた学園を突然辞め部屋に籠って一か月、偶に外に出ては自分たちに悪戯したり食事も何度か抜きトイレにも浴槽にも行かずキュラエスを3週間ぶりに見たメイドは声をかける事すら忘れて顔を凝視してしまった、綺麗な褐色の肌は荒れに荒れてその黄金の色を放つ綺麗で澄んだ瞳は濁り目の下には真っ黒にしたクマができており髪も油がで光っているという見るも無残な姿に出来上がっていた。風呂や食事を勧めても「風呂? 食事? それなら夢の中で何時も堪能してるわよ」と意味が解らないことを明らかにここ何週間か一睡もしていない顔で言いながらのらりくらりとかわし続け閉じこもって一か月がたったある日突然早朝に部屋から出て浴槽に2~3時間たって出てきたその姿は何時ものように同性でありながら見惚れてしまう外見だけは一級品の姿を取り戻していた。


 その後自分が持っていた黒いワンピースを除けて魔術を発動させて全身水色のスーツ姿に変わりピンク色のネクタイを締めて自分達以外が食事を行っている食堂に行き皆が久しぶりに見たキュラネスの姿に狼狽している皆の前で何時もの無表情で軽く宣言したあの言葉、今でも忘れない、というか良くも悪くも忘れられそうにない言葉。


 「魔帝になるわ」

 『………は?』


 魔帝、魔族に魔物なら知らない物がいないその称号、現在3人ほどしか与えられている者が無く、魔王クロウベル・フレイムの次に強いと言われる称号、生半可な覚悟でなれる事では無く才能に努力が無ければ決して到達できないであろう目標、それになると突然言われてはいそうですかと流せるようなことではなく案の定食堂内は混乱したがその場をキュラエスが発する膨大な魔力で無理やり黙らせる、普段は決してしない力技で周りを黙らせるという行為に使用人たちは皆今のキュラエスの発言が冗談ではないと言う事を悟った。


 「煩いわね、清廉潔白にしてあらゆる生物の視線を集める美貌を持ち一騎当千の力を持つ私ならなれるわ」

 「いやいやいやちょっと待ってくださいキュラエス様、少し、というよりもかなりおかしな点があるんですが」


 知に長けていると言う所を入れてない当たり本人も自覚しているのだろうとは思うがそんな事を気にしている余裕は無い。本気で言ってる、本気なのだこの女、何故そんなものを目指すのかが解らず周りの物は混乱する、キュラエスなら確かに魔帝になれる、それはこの館に雇われている自分たちは間違いなく保証できるが一体何故そんな事を今更言い出すのかが解らない、富に名声などに全く興味が無い事は彼女を知っている者なら常識である、何故わざわざなるのかが気になった。


 「もう一度言うわ、私は魔帝になる、言っておくけれどこれは決定事項だから」

 「………もういいです、勝手にしてください…、後ひとこと言わせてもらえば清廉潔白はありえません」


 気にはなったが話す気は無いということは解った為もう勝手にして欲しいとキュラエスをあきらめに近い瞳で見つめる、気が付くと周りの使用人も誰一人自分と変わらない目をしている事を確認してキュラエスの背後から椅子について目の前の朝食を胃に入れて片付ける、先ほどまでの混沌とした空気はそこには無く何時も通りの朝食の風景があった。


 その後から特別な事は無く外に出かけるときは趣味の狩りだけで一日中家で本を読んだりして過ごしているキュラエスを見て皆勘づき始めたのだ『コイツもしかして仕事したくなかっただけじゃないか?』と、結局教師を辞めたことはそれでうやむやにされて本人に聞いても何時ものくだらない冗談で流されて終わってしまう。


 「………今度は何をするつもりなのあの残念美人は」

 「そう嫉妬しなくても良いわ、貴女のその慎ましい胸も大きくなるわよ」


 突然二人で話していたメイドの肩に手が置かれる、行き成りの事で身体を盛大に震わせてしまった後に聞かれていたかと悪戯が見つかった子供のような心境を味わっていると隣のキュラエスの方向を向いているメイドの顔色が青色に変わる、瞳は大きく見開かれて口元を震わせて汗を流す、今度は一体なんだと、そしてこの前ほど引き籠っていた期間が短いため目に見えた被害だけで済んでくれているのかと思い背後を振り向く、そこには最後に見たキュラエスとある一部を除けば変らない姿をしていた。相変わらず太陽の光を反射して美しく光る銀髪に太陽よりも魅力的に光る黄金の瞳、ただ変わった部分があるとすればダークエルフの尊重となる褐色の肌が白色に変わっている部分だけであった。


 「………え? 何で肌が白いんですかキュラエス様」

 「気分で変えてみたのよ」


 そんな馬鹿な、あり得ないことをのたまう駄目主に対して頭をフル回転させる、ダークエルフは魔術に魔法に長けていて姿を魔道で変えることは比較的に簡単な方だ、だが肌の色だけは変えられない、肌の色はエルフが魔に落ちた証、といより呪いに近い形の物なのだ、その肌の色を変えるということがどういう意味を持つか、魔族をやめたと言われてもおかしくない事だがそれと同時に誰も行ったことが無い事をして見せたのだこの女は。


 「き、きゅ、キュラエス様!!! 貴方はご自分が何をしたのか解っているんですか!?」

 「煩いわね………何日も寝てない主人に向かって大声で叫ばないで頂戴」


 耳を両手で塞ぎながら主人らしいと言えないキュラエスがメイドにそう言い放つ、服装が相も変わらず異様な色合いをされている異常者が手掛けたような服だがそれを着て自分たちを置いて何処かに歩いていく姿は聖女に見えた、優雅に黒い廊下を歩き太陽の光を白い肌で反射して歩く姿を見てメイドは思う、肌の色一つ違うだけであそこまで変わる物なのかと、それと同時に自分ではどうしても手に入れられない物を持つキュラエスに嫉妬の念が沸いた。


 ロングボウが置いてある部屋に向かうキュラエスを一目見てある者は自分の目がおかしくなったのかと瞳を腕の袖で擦りまた違うものはまたキュラエスの悪戯で幻覚か何かだと思い気にしない、だがそれらすべての者が共通して目を奪われていた。


 「………貴方達、私に見とれるのはしょうがない事だと思うけれど自分の仕事をちゃんとしてるんでしょうね」


 周りを見回しながら珍しく叱責するキュラエスに言われて気づいてメイドに執事は掃除に移る、そんな周りの対応を見て肌一つで何をそう驚いているのか解らないキュラエスは先ほどよりかは幾分か減った視線を浴びながら部屋の前に付く、長らく触っていない、しかしメイド達が丁重に手入れしてあるおかげでホコリの一つも被っていないそれを背にかけて外に出かけようとする、玄関で放棄を履いている執事の一人がそれを見て驚いた様子で止める。


 「ちょ、キュラエス様! そのお姿で外に出かけるのはどうかと…」

 「何かおかしいの? 服も綺麗だし髪に顔も特に汚れてないと思うけど」

 「肌の色ですよ! そんな恰好で出て行ったら町で何て言われるか想像つきます!」


 そう若い執事に言われて顎に手をやり優しく掻きながら考える、その姿を見てどうせ見当違いな考えを出すんだろうなと思いながら諦めた表情で見つめる執事にキュラエスは何か思いついたと言わんばかりに技とらしく左手の手のひらを胸の上に置きそこを右手の拳を垂直にたてに立てて叩いた。


 「きっと『奥さん若々しくなったわね』って言われるわ」

 「キュラエス様はご結婚されてませんからそれはありえません」

 「まぁ、私は結婚してなかったの? それは知らなかったわ」


 わざとらしく無表情の口元を右手でかくしてそう堂々と言い放つキュラエスに頭痛がする執事だがここで自分が諦めてこのままいかせたら混乱は免れないと思い直しなんとかキュラエスが外出することを阻止する手段を焦りながら考える、考えるがこう言ったことは焦れば焦るほど思いつく事ではないので汗だくで頭を抱えだす執事を見つめるキュラエス。


 「冷静に考えるのよ、貴方ならきっと何か打開策を思いつくわ」

 「誰のせいだと思ってるんですか!!!」


 思わずキュラエスにそう怒鳴り返す執事は慌てて口元を抑えて頭を深く下げる。その長年自分に仕えてる者ならまずしないであろう対応を見てまだこの執事は新入りなのだと思ったキュラエスはため息をつきながら家の中に戻ろうと歩みだす。


 「…あの、お出かけにならないんですか?」

 「あら? 出かけて欲しいの? 嫌そうに見えたから止めたのだけれど」


 どうぞお戻りくださいと元気よく発言し頭を下げる執事を見て家の中に入ることを再開させたキュラエスはこの後何をしようか考えて何も思いつかなかった為寝不足なのもあるから一日中寝ていようと部屋についてロングボウを適当な場所の壁に立てかけてそのままベッドの中に潜り込むと数秒も持たず寝息を立て始めた。







 それから結局外に出ようとしたら周りの使用人から止められて5日が立ったある日部屋で聖書を読んでいたキュラエスの扉をノックも無しに勢いよくメイドが入ってくるとキュラエスに向かいとても狼狽した様子で話しかける、だが話している内容は息が荒れているため何を言ってるのか聞き取れない物でそのメイドを落ち着かせるためにキュラエスは魔法を発動させるとつい先ほどまで汗だくだったメイドは風呂に入った後に着替えたと言わんばかりに綺麗な姿になりキュラエスに話しかける。


 「き、キュラエス様………こういったば……場合姿じゃなく体力面を回復させたりす…するのでは?」

 「それは気づかなかったわ」


 そう言うキュラエスに対して何時ものような返しは無く息を落ち着かせるとキュラエスに向かって大声で話す。


 「クロウベル様がいらっしゃいました!」

 「………クロウベルって私のペットの? どこに行っていたのかしら」

 「違いますよ!!! ペットなんて飼ってないでしょキュラエス様! クロウベル様って言ったら一人しかいません! 魔王クロウベル・フレイムです!」


 「そう」としか言わずに未だに聖書を読み続けるキュラエスにメイドは何回も怒鳴りながら呼びかける、キュラエスは聖書を読みながらついにその時になったかと思いっていた、魔帝を目指すと適当な事を言って自由人になったが使用人だけならいざ知らず町のダークエルフにもそれは知れ渡っているのだ、クロウベルの耳に入りある程度有能でそこまで自信がある魔族なら一度自分の目で見ようと思ってもおかしくは無い、クロウベルは今魔帝を増やそうとしているという噂も聞いていた為なおの事それはあり得ることではあった、まさか時に聞く魔王が直接訪れに来るとは思っていなかったが。


 めったに表情を変えないキュラエスが微笑んだ、それをみたメイドはあまりの事でもはや怒号と言えたそれを突然止める、それは一瞬の事で無表情にもどすと聖書を閉じて本棚にしまいおもむろに立ち上がり部屋の外に歩いて行く、我に返ったメイドはキュラエスの後ろに付きながら魔王に会いに行くと言うのにいつもと変わらない自身の主と歩幅を合わせる。

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