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馬車での帰り道の苦難

いやー、実は木曜日のうちに書いておきたかったんですが、間に合いませんでした…

 相変わらずお見苦しい駄文ですが良かったら読んでください。

 「いやはやありがとうございました、中々にこの時期は大変でして………」

 「いえいえ! 事情は分かっていますから頭を上げてください!」


 あの後リティは足を引きづりながら神殿を出て少し離れた所にあるハイエルフの里についた、足を引きづりながらなので15分ぐらい余計に時間をかけてしまったが日が沈む前に何とか村に付き村長に神殿の掃除が終わったことを伝えることができた。


 「………あの、目が赤いのですが何かあったので? まさか村の者が何か」

 「ち、違います! 何もされてませんから心配しないでください!!!」


 そう聞くとほっとしたような顔をする村長、態々こちらから頼んで来てくれた者を襲ったとなると大問題になるからであろう、ホッとしこのまま終わると思って今回の報酬を渡してくる、リティも慌てながらそれに答え皮袋を受け取るが明らかに金額が多い、何時もの様に重さを感じない量ではなく手に重さを感じるので何か言おうとしたら村長が手をリティの顔につきだし言葉を制する。


 「これは私個人の報酬です、態々この時期に掃除に来てくださったので色をお付けいたしました」


 そう聞き頭を何回も下げるリティに『もう少し戦士らしく振る舞えんのか』と呆れたようにクロウベルの声が頭の中に響き渡る、放っておいて欲しいと思うが口にはださず頭を下げている所に一人のハイエルフが村長に発言する。


 「村長、またご令嬢が…」

 「またか…」


 そう聞くと同時にため息を呟きながら答える村長に何かあったのか聞きたくなったリティに対しクロウベルが釘を刺す。


 『やめておけ、恐らく聞かれたくない事だろう』

 (わ、解ってますよそれぐらい)


 心の中でそう念じクロウベルに答えるが危ないところであった、クロウベルは間違いなく嘘だと思ったが敢えて無視することに決め傍観をする。


 「あ、ああリティ殿、もう日が沈みますのでそろそろ人里に戻られては」

 「はい、それではまた何か依頼がありましたらギルドの方へ宜しくお願いします!」


 案にこれからやることがあるから帰ってくれと言われもう一度村長に頭を下げるとリティは村長の部屋から出て村の入り口へとまだ痛む足を急がせながら歩んでいく。村の入り口に日が沈む頃に迎えに来てほしいと馬車の運転手に伝えてあるので入口にもういるものだとばかり思っていたが、いざ着いたらまだ馬車は到着していなかった。


 『リティ、どうやらまだ迎えは来ていないようだな』

 「ええ、もう到着していてもおかしくないんですけど………」


 そう言った途端に馬車が目に見えてきた、傍目から見て少し急いでいることが解る所予定よりも遅い出発になってしまったのだろう、そう思っているとリティ達から少し離れた位置に止まり運転手がこちらに顔を向ける。


 「すいません少し遅れてしまいました」


 そういうと頭皮が薄くなった頭をこちらに迎い少し下げたのでそれにむかい「いえいえ、私もつい先ほどついたばかりですから」と伝えるとそうですかと言いながら安堵した表情をしたので馬車の後ろに回り布を手で上にあげ中に入る。


 リティが入った瞬間に馬車が動き出したのでようやく初めての依頼が終わったと思うと体から急激に力が抜けるのを感じた、乗り心地は朝より荒いと思うが時間が遅いのもあると思い直し感傷に浸る。揺れ動く馬車の中でリティは睡魔に襲われそうになる、それは赤ん坊が揺り籠の中にいるのと同じ原理なのだろう。


 『リティ、寝ている場合じゃないぞ、私に今の時代の事を少しは教えてくれ』

 「………えー、クロウベルさん明日で良いじゃないですくぁ~」


 最後の方はあくびをしてしまったので変な発音になってしまったが意図は通じるだろうと言い直すことはしない、クロウベルはそう聞くとブツブツと独り言を言い出したが返ってそれが子守唄のようになりリティを睡魔が襲う、村に着くころに起こしてもらおうと思い眠ろうとした瞬間馬車が急停車した。速度が特別速かったわけではないがそれで体が宙に浮かびそう広くない馬車の中の床にぶつかり勢いよく顔面から床を滑って行き木でできた壁に頭から勢いよく激突する。


 「くぅ~~~………急に何なんですか!!!」

 『………ああ、魔物が出たようだな、恐らくオークだろう』

 「オーク…!」


 木でできた床を滑っていたので顔は赤くなり敏感になっていたがそんな些細な事を忘れ驚愕する。

 オーク、基本的にゴブリンの上位版として見られておりゴブリン程の規模ではないが1から4匹で移動を行う魔物、ギルドの依頼で良くでる相手ではあるがランクは個体でD、複数ならCランクのものでGランクのリティが相手取れる者では無い。


 恐怖で体を震わせていると同時に運転手が布から顔をだしこちらを視界に入れる、とても狼狽ろうばいしていて真面な様子ではないことは一目で見て取れた。


 「お、お客さん! オークだ! オークが出た!!! 頼むから追い払うか殺してくれ!」

 「………わ、私には無理です…」


 体を震わせ泣きながら何とか言葉に絞り出した様子のリティを見て運転手の顔から血の気が引いた。運転手自身も解っていた事だろう、誰もやりたがらないこの時期のハイエルフの神殿の清掃活動を受けるなどよほどの物好きかランクが下の者だけだ、リティを一目見て相当腕が立つと思う要素など皆無と言ってよく、もしかしたらという希望の元訪ねてきたのだ、それが今リティ本人の言葉で崩れ去った。

 二人が絶望に沈み沈黙しているとリティの頭を声が反響する。


 『…貴様等オーク程度に何を過剰に怯えている、数に知恵はゴブリンより低く、個体の力量もリザードマンに劣る半端者だぞ?』


 ふと、その声が脳内に反響すると同時にリティの脳内に一筋の希望の光が浮かび上がる、もしかしたら、もしかしたらこの人に頼んだらなんとかなるかもしれないと。


 「ク、クロウベルさん! 何とかできるんですか!? この状況を!」

 「クロウベル…? 嬢ちゃん以外に誰かいるのか!?」


 身を乗り出してリティに問いかける運転手だがそれにかまっていられる心理状態ではないリティは無視しクロウベルに問いかける、その直後『落ち着け、声に出すな』と頭の中にクロウベルが語りかけてくるが現在そんなことはどうでも良かった。


 (クロウベルさん、オークを何とかしてくれるんですか!?)

 『………お前は魔王を何だと思っているんだ』


 少し呆れた声が反響すると同時にクロウベルは続けざま問いかけてくる。


 『………私は外にでるわけにはいかない、少なからず私がいるという痕跡は残さない方が良いからな』

 (そんな………!)


 その一言で絶望がまた舞い戻る、涙を流しすぎた為か綺麗な青色の瞳は潤んでおり鼻からは鼻水が垂れ下がっている。どんな絶世の美女でも今のリティと同じ表情をしていては絶世の不細工に成り下がる顔をしているがそれを指摘する者がいないのがせめてもの救いではあった、一旦止まっていた涙を流すことを再開し始めたのを感じたのか脳内に声が響く。


 『落ち着け、そこでだ妥協案がある、乗るかどうかはお前次第だリティ・ヘルツ』

 (妥協案…?)


 一体何を言うのだろうと涙を流しながら呆けた顔をしているリティに今もいるはずのないもう一人の乗客を探し続ける運転手からは見えないが、もし見ることができたら二人とも心を同じにして思うだろう。



 ――――とても生き生きした笑顔だと。




 ハイエルフの少女であるカリナは普段遊んでいる森の範囲から遠く離れた場所で遊んでいた、普段なら大人のハイエルフ達が見回りをしたり狩りをしているので遊べない場所だが今は発情期中なのでこんな所にはいず家に恋人がいる者たちは籠り、居ないものは自分と同じ相手がいない異性を探すため里の中をどこに行くでもなくぶらついている。


 村長の娘として生を受けたカリナではあったが生まれる性別を間違えたと言うほど活発な少女で、一日に一つ何か問題を起こし親である族長にこっぴどく怒られていた。

 そんな発情期中で森を見回りもしていない中家で大人しくしていろと言われて大人しくする性格な訳が無く、抜け出し里から離れた場所で探検気分を味わっていた、ある程度体が発達しないと発情しない為なおの事暇なのもそれに拍車をかけていた。


 だが当然と言えば当然なのか、住み慣れた森でいかに初めて足を踏み入れる場所であっても彼女が求めていたハプニングは当然起きない。エルフ全般に言える特権で何か危険が迫っていると森の妖精達が知らせて来てくれることもあり普段禁じられている場所に足を運んだものの結果はただ疲れただけという何ともつまらない結果で終わっていた。


 「何だよ、何か面白い事が起きてくれても良いじゃねーか」


 ケッと呟き何処ともない場所に足場にあったちょうど蹴るには手ごろな石を蹴り飛ばす。すると森の木に当たり妖精達が怒鳴ってくるが耳を両手でふさぎ「あーあー」というと諦めたのか黙りこみ、怒ってどこかに消えてしまうがカリナはむしろうるさいくてやかましい連中がいなくなって清々していると草を踏みしめる音が聞こえた。


 「ヤベッ、誰か来たのか!?」


 同年代の子達より低い身長に感謝しながら素早く、しかし物音は立てずに木に回り込み相手から死角になる位置に座る。


 (………おかしいな、今こんな所を歩くやつら何ているわけないんだけど…)


 カリナはまだ小さい為外でそういう行為を行うなどの知識を持っていない事から疑問に思いながら息を殺す。その途端途轍もない匂いが鼻を刺激する、魔物特有と言って良いそれは泥のような、しかしそれだけではない未だに自分が嗅いだことのない匂いした、その匂いを嗅ぐと同時にカリナの頭の中を恐怖が襲う。


 (魔物!? 何でこんな俺達の里が近い場所で!)


そう思うと同時に震えだす体を両手で押さえ付け必死に震えを止めようとする、しかし体を支える腕も振るえているのでもっと震えが大きくなったように感じた。


 (と、とにかく此処を離れないと…)


 震える足で静かに立ち上がろうと恐らく魔物がいる方向の反対の方向を向き立ち上がろうとすると自分の視界が急に黒ずんだ、それはまるで自分より大きなものが近くにいる為にできた影のような―――、そう考えると同時に叫び声をあげ全速力で横に駆け抜ける、木を避け自身の腰ぐらいまである草をかき分けながら走っていると馬の足音が聞こえそちらに目を向けると馬車がこちらに迎い走って来ている。適当に走っていたらけもの道からちゃんと整備された道に繋がったようだ、好機と思いそちらに向かおうとすると突然急停止し運転手が慌てて荷台の方に向かう、今日神殿の掃除をするというから呼んだギルドの人がいる、父親からそう聞いていたカリナは笑顔で馬車に迎い全速力で駆ける。恐らく人生でもっとも勢いをつけて走っていると思いながら馬車に向かう、距離が離れていた為馬車についたころにはもう足が動かないと思うほどに疲れ切っていた、後ろから遅れてきている3体ほどのオークを見て顔を青くさせるがその途端自分の頭の上に掌が置かれる。


 驚きながらそちらに目を向けると自分より背は大きいがまだ14~6歳の少女が立っていた、その少女は見た目からは想像もしないほど荒々しくカリナの頭を撫でた、まるで元気の良い老人が泣きじゃくってる子供をあやす様に荒々しく、しかし優しさが籠った温かさを感じた。


 「ふむ、いかにハイエルフとは言えどまだまだ子供、怖かったであろう、後は私に任せておけ」


 そう言いながら微笑む少女はオークに迎い歩いていく、自分より背の高い少女は見た目よりもずっと大きい背をしているように見えた。


 「だ、駄目だ! お前が行っても殺される!」


 すぐに意識を戻し冷静な思考を取り戻したカリナは少女に背後からそう叫ぶ、頼もしく思えたのは恐らく自分が恐怖でまともな思考ができないからだと判断し呼び止める、すると歩みを止めるとカリナに対して顔向けた、その顔を見た途端にカリナは少女を心配することを忘れて恐怖が襲う、その少女の顔はとても慈愛に満ちた優しい微笑であったが、同時に死神の鎌を連想させる冷たさがあったからだ、少女は微笑んだまま背を向けるとオークに迎い歩んで行く。

ジュースで一番おいしいのはスプライトだと個人的に思っています、ですからスプライトを買い飲みながら小説を書こうと思ったんですが、書いてると熱中してしまい結局飲みませんでした、なんかもったいない気がしましたが書き終わった後に飲むのも美味しいので良しとします

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