絵本と大男
どうもー、いや久々ですはい…全然書いてなかったんで前に書いた文章とか読みながら書き方真似たんですがどうも地の文がやっぱり少なくなっちゃいました。
ワインレッドの分厚いカーテンが日差しを塞ぎ真上の薄いオレンジ色の照明が発する温かい明かりを浴び、分厚い古びた印象を受ける歴史の乗ってある歴史書に伏し目がちな青色の目線を落とす。
真正面にいる頬杖をついたジクスを視界に入れることすら無く、幼い顔立ちに似合いそうにない表情を慣れたように貼り付けている様を見てその済んだ青色の瞳の爛々と輝いた瞳を思い出しジクスは思わず身じろぎし、古びた椅子の立てる音のせいで隣で本を読んでいる少年に少女の2人から睨まれる。
珍しく強面な顔に怖がられないと不審がるとジクスの前にクロウベルが本を静かに1冊おき、目の前で惚ける姿を見てようやく自分がただの使いっ走りに見られていると気づきクロウベルに頬を釣り上げながら接近し両手を出す、
そんなジクスの表現が上手く掴み取れず、クロウベルは淡いオレンジ色と混じり合った薄い金色のツインテールをなびかせて椅子から立とうとした所でジクスが肩を掴み小声で話しかける。
「ストップ、お前は動くな…良いかもう一回だけ言うぞ? お前は、動くな」
「そうは言われてもだな、流石に私が読んだ書物を片付け兼持ってくるだけで金銭を要求されたら堪ったものではないぞ」
「俺がいつお前に金をせびったっていうんだえぇ! んな恐ろしいこと出来るわけ無いだろうが!!!」
「今さきほどしたと思ったんだが…あの両手は駄賃をねだる仕草ではなかったのか?」
小声ながら声色に力を乗せる様を見て隣の少年達は顔を絵本に隠し手を震わせる、クロウベルはジクスに対し先程の真剣な眼差しではなく呆れたように伏し目がちな視線を送り、その後少年達に目線を移動させる。
明らかに自分よりも年下のクロウベルに諭されるのは癪に感じるが自分が不手際をしたのは事実、何よりジクス本人は子供が好きな方なため優しい笑顔を浮かべ接近しようとした所を今度は先程のようにクロウベルがジクスの左手を掴み止める。
押しつぶされるほどとは言わないが自分でも手加減されていると解る力加減を感じ直ぐに左手に汗を浮かべ始める、しかしその汗が付着する前にクロウベルはジクスから距離を取り少年達の耳元に近寄り何らかの言葉を発し、その言葉を聞いて少年達は目尻に涙を浮かべたままクロウベルとジクスを目線で移動させ、2人に向かい一度素早く頭を上下すると足速にその場を後にする。
後ろを振り向かない少年達ににこやかに軽く右手を振るとジクスに目線で少年達の座っていた机の上に置かれている絵本を数冊目線で捉えた。
「………はっ? えっなにあれは俺が片付けるのか?」
「何だ私が片付けても良いのか? それは助かる正直椅子に長時間座っていたからか痛みを感じてきていてな」
「はいはい俺が片付けますよお嬢様、ったくなんだってんだ………」
クリーム色の光沢がある机からオレンジ色の光が視線に入るが弱々しく、淡く光っているため無視しながら青空の描かれている本が一番上に置かれている5冊程の絵本を抱え込み持ち上げる。
絵本よりも丸太のように太い腕のお陰で問題なく抱えているが本を返す時に母親らしき女性が数人いる中を通るので視線で釘を差され、図体の大きさを今だけは恨みながら肩を狭まらせながら移動し、本の後ろに書かれている数字を記憶し素早くそこに足を進め本を入れ始めていく。
背後から注がれる好機の目線を感じるが、クロウベルが動くことを考えると数十倍こちらの方が精神的負担は軽い、少なくとも依頼を達成させてダリアを含める獣人たちににこやかに挨拶をするため近づくような事とは比べることすらおこがましい。
何が危険か解らない、というよりジクスは自分からクロウベルが危険のある方向に歩いていっているような気がしてならず、恐らくそれは当たっているのだろうと手元に置かれていた本を片付け終えた所で予想し始める。
綺麗な少女の笑みを浮かべオーガを虐殺し始める様な少女には相応しい評価だ、そう内心毒づきながらもクロウベルの方に向かい戻り始め、再度送られる保護者の視線の矢を掻い潜り椅子に座る。
「…所で書物はまだ頼めないのだろうか」
「絵本は片付けただろうが」
そうジクスが言うと声を押し殺して小声で笑い、顔を隠すため右手を持っていく動作と表情1つにしても気品があり、これは理解してないのだろうと先程されたようにジクスはクロウベルを見下ろしながら伏し目がちに見つめる。
ジクスの表情に気が付き笑いながらも右の眉毛を釣り上げる。
「ジクス、私が本来読んでいた書物を忘れていないか?」
「ああ、そういやそうだったな…ああ面倒くせえ…言えよそういうことは」
「すまない、気がついた時には既に遠くにいてな………まさか図書館で大声を発するわけにもいくまい」
「それもどーだか怪しいもんだ…続きのやつで良いんだったな」
そう言って先程のを除いたとしても11回目の往復を再開させる。
メイジス、というより世界各地の合わせた時代の流れを読める本を暗黒期が終わってようやく魔族や魔物が暴れた市街地が復旧し始めた頃のものを順を追って読んでいるのをジクスは偏った教育から受けた知識の誤差を修正しているのではないだろうかと考えながら左右の足を前に交互に出す。
(…聞いたことがある、地位が高い貴族連中は自分の思想に近づける為に偏った教育を家庭教師にさせてわざと学院に通わせないのもいるとか)
(するとなんだ、もしかしてリティが此処に来たのは金稼ぎって名目で知識を収集するのが目的ってことになるな………十分ありえる)
あれほど聡明であり我が強いならその程度の理由でも国を跨いで来る可能性も十分あり、むしろその理由のほうがしっくりくる。
先程から読んでいるのも中等部の学生が習うにしては専門的だが、貴族としてならば実用性は大いにある物だ、国によって考え方に教え方も違うためメイジスで歴史書を読み、アトラスに帰った後にどう違うのか見直すというのも手段としては悪くない。
(………いるんだよなぁ、たまにああいう本物の化物が…天才っていう枠を超えるようなのがたま~に出て来る)
もしこの過程が全て事実だとすると、物心つく前からの教育というなの洗脳を不審に思い、親の目が行き届く国内を抜け出してまで事実を追求しに来て見事成功させているということになる、その上武力も桁違いというまさに化物以外でなんと表現すれば良いのか解らない人の皮をかぶった何かで、このまま進めば間違いなくアトラスの次世代を従える存在になるだろう。
ダークブラウンの木目が強く浮き出ている本棚に入り、埃を被っていてもおかしくない本を戻すと直ぐ様隣に手を入れて本を1冊抜き出す。
そんな得体の知れない何かと1日一緒にいなければいけないと思うとジクスは大柄な図体を前かがみにし肩を下ろす、ジクスの力量で制御できる話ではなく、お目付け役を受けるはずのティムが目を離しているということにジクスは怒りを覚えて猫背を直しクロウベルが座っている机に向かう。
本を置き、クロウベルがそれを手に取り目の前にまで引き寄せると本を開きページをめくる、通常の読書では聞きなれない紙の音を聞き落ち着きながらも素早くめくる手を見ながらジクスは気がついたように声をかける。
「そう言えばさっき餓鬼に何を言ったんだ? お前が何か言ったらすぐに消えたけど」
「ん? 何そこまで変わった事は言っていない、ただ…」
「ただ?」
本をめくっていた手を止めて済んだ青色をジクスに向ける、一瞬脈が荒ぶるが相手は得体の知れない化物だと自分に言い聞かせているとクロウベルは再度本に視線を落とし捲る手を再開させる。
「本を持ってきてくれるぐらいには優しいお兄さんだと言っただけだ」
「…むず痒くなるようなことを言うなってんだ、似合わないことはするなよ」
「む? 何故似合わないと決めつける、私が普段からそういったことをしているかもしれないぞ?」
「かもとか言ってる時点で説得力皆無だ」
そう何故か先程様子が一瞬おかしかったが落ち着きを取り戻したジクスに向かい悩ましげに眉毛を眉間に寄せて問いただす。
実は昨日寝ている時この物語のアイデアを思い浮かべたんで書いてしまいました、次はいつになるか解りませんが次も呼んでくれたら嬉しいです。