野良犬の処理
どうもー、はい今回の話とても量が多くなってしまいました、なんと言いますかすいません、少ない量でまとめようと心がけているんですがどうしても増えてしまったんです
床を踏みしめ歩きながら気だるい感じを晒しながらクロウベルを横目で見る、見られたクロウベルは爛々と目を輝かせて自分の隣を歩いていて、玩具や菓子の類を買ってもらえる子供のような笑顔を周りに振りまいている。
場所に目的地さえ違えば微笑ましい表情なのだが生憎と目的は地獄の番犬の討伐、しかも近年稀に見る群れであり手練の百戦錬磨の猛者ですら顔をしかめる場所に笑顔をで赴こうとしている事に寒気を感じるがそれをなるべく無視しながら受付嬢にいつものように気軽に挨拶をする。
「やぁ、今日も可愛いねナセルリア」
「あんまり大人をからかわないでくださいよーってあれ、そちらの方は? 初めてお目にしますね」
「私の名前はリティ・ヘルツ、一週間ほどではあるが世話になる」
偉そうに、しかしどこか様になってそう宣言するクロウベルを見てほんの一瞬だけ表情を変えるナセルリアを見てクロウベルはいくらか感心する。
「なるほどメイジス随一のギルドなだけはある、受付嬢もいくらか有能という訳か」
「………はい大丈夫そうですね、最低でもAランク、もしくはSランク相当の腕前と見ます、このギルドで依頼をこなすには十分な力量を持っていると判断しました」
「…リティ、君わざと擬態を少しといたね? 一々人を試すのが好きな人だ」
そうため息をつきながら言うティムに少女とは思えないほど豪快な微笑みを向けるとクロウベルはティムの右手を見る、それで何を言いたいか察したティムはナセルに依頼書を出す、それを見て顔を怪訝そうにしながらティムの顔を見つめる。
「あの、二人で受けるんです?」
「………あー、やっぱり駄目かな」
「なんと言いますか…その、ティムさんですからそう強く否定できません………ギルドに貢献してくれてますし」
そう言ってうねり始めるナセルリアをティムは苦笑いしながら見つめる、こうなるとあらかじめ解っていたので取り敢えず相手の出方を伺おうとしたら隣から声が飛ぶ。
「一体アレは何を悩んでいるんだ?」
「…あれは集団で受けるタイプの依頼だから悩んでるのさ、本来はいくつかのチームが集まって初めて受理される依頼だからね」
そうティムが言うとクロウベルは呆れたような表情を作るとティムの眼を見つめる、嘘を言っているかいないか確かめているような印象を受けたが一体何をそこまで疑っているのか解らず若干戸惑うと目線をティムから切ってナセルリアに移す。
未だに悩み続けていてティムとクロウベルの方を目線で移動しているとクロウベルと目線があう、そのクロウベルの呆れたようで哀れみを含んだ目線に驚くとクロウベルの口が開く。
「ケルベロスの群れごときに何をそこまで過敏に反応しているのだ、たかだか野良犬の集団だろうに…何千、何万かかってきても私の敵ではない」
そう偉そうに言い放つクロウベルにナセルリアは虚言癖でもあるのかと見つめるが一切の動揺がなく心のそこからそう思っている事を理解し妄想癖なのかと考えを切り替えていくとティムがナセルリアに声をかける。
「…一体どれぐらい大掛かりの群れなのか教えて欲しいんだけど」
「えーと、確か五十近くかと…かなりの大所帯ですよ向かってきているのがここじゃ無かったら普通に帝国の騎士団が動くくらいには」
クロウベルからしたらたかだか五十だが一般的に言えば災害とほぼ変わりがない依頼内容にティムはクロウベルの方を横目で見る、不満そうなかおをしてナセルリアを見ると両肩を下ろす、何かをするつもりだと悟りクロウベルの左肩を右手で掴んで静止しようとすると目の前のナセルリアに異常が生じた。
体を震わせ真冬の真夜中に外に投げ出されたように唇を青色にし両肩を両手で抱えて震えだす、それをみてダリアにしたのと同じことをしたと思いクロウベルを見る。
その瞬間にティムの背筋に寒気が走る、しかしそれも一瞬の事ですぐに体が硬直する前に自分の頬を思いっきり殴り飛ばす、体が硬直しかけていたこともあり力が入らず何時もの三割程度だったが体の硬直を脱出できた事に感謝しクロウベルの表情を気を強くし眺める。
先ほどのようにただ笑ってる、獰猛な笑みでもなくただの歳相応の微笑み、それがとてつもなく怖い、殺される、もしくは死よりも苦痛を感じる事が起こるなどといったことではなく、生命の直感が告げる、この少女は怖い、それだけを。
「まぁこんな所か、あまり手をわずらわせないでくれ、私とて気が短い方ではないが楽しみを奪われそうになりもすれば少なからず腹ぐらいはたつ………貴様は書類を受理すれば良いだけだ」
そういうとクロウベルは一人でギルドの扉をそのか細い小さな腕を伸ばして手で軽々と押し開けて外に出ていく、それをみて未だに体を震わせているナセルリアを放って外に出て行くと自分の数メートル前を歩いているクロウベルが顔だけティムの方に振り向かせる。
「さぁ行くぞティム、私はこちらの地理はあまり詳しくないから案内を頼む」
「…君は不思議だ、可愛い顔立ちなのにそんな笑顔が似合うんだから」
「ふむ、私はあまり顔は気にしない方だが確かに普通よりは可愛い顔立ちだろうな」
自分でそういう少女にティムは笑いをこらえられず失笑を漏らすとクロウベルはその悪そうで、しかしどこか暖かさをもった笑みを浮かべると顔を前に戻し一人歩く。
急いでティムは駆け足になりクロウベルと肩を並べて歩き出す、そこで少し気になったため口に出して聞いてみることにした。
「そういえばリティって観光目的で此処に来たのかな」
「………観光か、まぁそのうち余裕ができたらしてみるとするか、あいにくと私は最近金欠でな、金銭を稼ぎに来た」
「君ぐらいの腕があればすぐにでも億万長者になれるだろうに…」
そう言ってティムはどこに行きたいのか口を開こうとするがすぐにその口を閉ざす、聞いた所で今すぐ目的地に行くというのが目に見えてしまったからだ、本来ならば色々と道具や作戦を練ることが必要だが隣の自分より小さな少女にその気がないのは短い付き合いながらすぐに理解できた。
「そういえばリティってどこの宿に止まってるの?」
そういうと歩いていたクロウベルが突然立ち止まり驚いたように目を丸くしながらティムを見つめる、その表情からある程度察したがそんな馬鹿なことをするとは思わず顔を少し引きつらせて聞く。
「………えーと、もしかして、もしかしてなんだけどさ…宿取ってないの?」
「…失念していた、確かに泊まる所を探さなければいけないな」
「えぇー…嘘でしょ君頭良いと思ったのにそんな初歩的な事を忘れるなんて、案外抜けてるんだね」
そういって馬車によらずに宿の前まで歩いて行く、ギルド員かどうか関わらず宿を取らずに他国で過ごすなどティムからしたらありえないの一言につきた、この地に知り合いがいるような事も言っていなかったし良く取らずにギルドに一直線で歩いていけたものだと思いながら歩く、歩いているうちに気づき慌ててクロウベルの方を振り向く。
「そういえばリティっていくらぐらい持ち合わせがあるのかな、これからむかってる所だとお金が高いからさ」
「ほぼ無一文だ」
「………えっと、もう一度聞くね、いくらぐらい持ってるの?」
「ほぼ無一文だ、この身以外は何も持ってきていないと受け取ってもらって良い」
信じられないと呟きながら一人どこを勧めるか考える、顔見知りの宿ならある程度料金を安くしたり支払いを先伸ばししてもらえるためそこを進めようか考えているとクロウベルがティムを見上げて真顔で口を開く。
「何を悩んでいる、これから依頼をこなせば金などいくらでも手に入るぞ?」
「はいはい、もう何も驚かないよ僕は」
そういうと宿から離れて馬車の近くに歩く、歩いていると飲食店が目に入りそういえばもうすぐ昼ごろかと思いクロウベルの方に視線を向ける、何が言いたいのか解らず頭の上に疑問符でも浮かび上がってそうな顔をしているのを見て頭を軽くかきながら言葉を放つ。
「…そういえばもうすぐご飯時なんだけど、食べていくのは駄目かな」
「すぐに終わるから待っていればいいではないか」
「いやここから結構離れた所にいるよ、近くにいたらこんな悠長にしてられないしね」
そういうとクロウベルはどこか考えるように立ち止まり両目をつむる、何を考えているのか解らず待っていると突然目を開き周りを見渡す、クロウベルの見ている物が気になりティムも周りを見渡すが何も見えず人が行き来しているのが見えているだけ。
何を見ているのか聞きたいがクロウベルの目を見てそれを断念する、目の色がティムの師が何かに没頭しているそれに似ているから経験で解る、この眼をしている間は何を言っても心半ばでしか聞いていない。
何か行動を起こすのかと思い見守るが一向に何かをする気配がない、だというのに突然周りから聞こえてきた雑音が唐突に消えて慌てて周りを見る、草原が生い茂っており巨大な岩が地面に突き刺さっているのが見える、少し離れた所に草原の草が突然途切れておりそこからは岩肌が出ていて山に続いている道が見える。
突然場所を移動されたことに警戒し周りに気を配るが自分とクロウベル以外には何も気配を感じ取ることが出来ずに幾らかの可能性を考えているとクロウベルが口を開く。
「ん? 何を考えこんでいる、後数分でケルベロスの群れがここに訪れるから用意ぐらいはしておけ」
「…ああ、やっぱり君が原因なのか、一体どうやって移動したのか教えて欲しいんだけど」
「簡単な事だ、魔導を発動させて場所を都市から遠く離れたこの草原に来た、こちらのほうが幾らか馬車代が浮いて金銭的に安上がりだからな」
幾つか質問したいことはあったがそんなことよりももうすぐ此処に来るケルベロスの処理について考えることを優先しティムはクロウベルに向き合い一体何が出来るのかお互いに確認する。
本当の所街で罠用の道具を買ってから馬車の移動中に話作戦を練りながら罠をつくろうとしていたが子供らしい顔に似合わない笑みを貼り付けているクロウベルには言っても無駄だと思い無視する。
「一応聞くんだけど君は何が出来るの?」
「ふむ…私はある程度の事は出来るぞ」
「ある程度じゃ解らないな…」
「ある程度はある程度だ、私に出来ないことはそうそうないぞ? 私が知識として所有しているのであれば武具の類は全てある程度扱えるし魔導に気の扱いもある程度出来る、隠密も-」
「解った、もう十分だから良いよ」
顔に右手を当てて左手をクロウベルの顔に突き出す、要するに全ての分野がSランク級だと解り顔に押し当てていた右手を下ろして自分よりも小さい少女を見下ろす。
もしも冷戦が何かの拍子に終わりまた戦争が起きたら目の前の化物と戦う事になるのかと思うと鳥肌が止まらないがそれを何とか抑えこんで自分にできることをクロウベルに告げる。
「僕の出来る事は-」
「ある程度把握している、私が見たところ一対一の短期戦を得意とするスタイルだろうな、中距離を得意とし相手が近づいたら体術なり懐に隠しているナイフで戦うものだ」
そう偉そうに、しかし当たっている事を言いながらナイフを持っている事もバレているのに驚くがまだ言葉を続けるクロウベルに呆れがでる。
「体つきと体に対する気の通し方からして速度重視型だな、観察眼もあるから相手の隙を狙う、もしくは相手を激高させ隙を作ることにも長けている、銃弾が尽きたら錬金術で作り戦うから隙を見せてしまう為集団相手なら支援型とも見た」
「………あっ、うんそうだね」
得意げな顔をしているクロウベルに盛大に引きながらそうなんとか返す、ティムとの心の壁が今ので分厚くなった事に気付かないまま偉そうに言葉を放つ。
「Gランクだからといって私の事を心配しなくても良いぞ? 壁役を完璧にこなしてみせよう」
「大丈夫、心配してないから」
そう言っていると足音が遠くの方から微かに聞こえてそちらに銃を構えて注意する、段々と近づいてくる事を伝えるように地響きになり足に振動が伝わってくる、それを確認し冷や汗がでて左手で拭う、ケルベロス五十匹に対し二人で挑むなど普通ならば自殺行為も良いところだ。
「………ハァ、リティ、君を信じているよ…本当に僕らは生き残れるんだよね?」
「あの程度何ら障害にならん、駄犬に躾をする程度に考えていればいい」
そうクロウベルが軽口を叩いた瞬間何頭ものケルベロスが飛び出しクロウベルに向かい直進する、クロウベルは軽く右足を上げたと思うとそれを思いっきり地面に振り下ろし地響きを鳴らす、あまりに力がこめられたそれは地面に軽いクレーターを作り周りに砂が浮き上がる。
近くにいたティムが衝撃で軽く後方に吹き飛ばされそうになるがそれを気で相殺する、しかし完全に威力を殺しきる事が出来ずに軽く後方に後ずさると前方を見つめる。
周りに砂煙が漂う中悠然と立ちふさがるクロウベルに唖然とするが砂煙が段々と消えて周りを見渡せるぐらいには視界が回復する。
そうするとつい先程まで直進をしていたケルベロスが立ち止まりクロウベルを睨みつけている構図を認識した。睨みつけているケルベロスの目の前に先ほどまで走っていた何十対の個体が倒れこんでいるのが見えた、どれもが体を痙攣させており気付くと自分達を取り囲むようにしており唸り声を上げている。
「…何をしたのさリティ」
「足を地面に叩きつけて轟音と砂煙で群れの動きを止めた、その時前方を走っていた何体かの足を地面を通して気を送り破壊した、恐らくはもう一生立ち上がることは無いだろうな」
そう話しているとティムに目掛けて五匹一斉に襲いかかる、それをみてクロウベルより自分の方が弱く見られたと解り頬を自嘲気味に軽く釣り上げる。
右手で魔装銃を素早く抜き取りそれぞれ襲い掛かってくるケルベロスの眉間に銃弾を発砲する、頭が三つ付いているので一体につき三発使うため消費が悪いが気にしていられる訳がなく無視して撃つ。
ケルベロス達から見て一瞬で同胞が物言わぬ肉の塊になったのを見てより一層警戒を深める。
一体後ろを見て後ずさるが地面から突然巨大な剣の刃のような物が出現し胴体を切断する。それ見て唸り声を上げ威嚇をより一層激しくしクロウベル達に牙を見せる。
弾薬が無くなったので相手を警戒しながら弾倉を抜き取り新しい弾倉を詰め替える、ティムだけなら周りのケルベロスも一斉に襲いかかる事が出来るが近くにいる少女がそれを許さないことを理解しているためそれを見守る。
「一つ思ったんだけどさ、これ連携って言えないんじゃない?」
「………実を言うとな、私は連携という事をした経験がない、よってこれが正しいかどうかは知らん」
そうどこか恥ずかしそうに笑うクロウベルに本当に年下なのかと疑いの視線を送ると周りのケルベロスが一斉に散る、自分達ではどうあがいても勝てないと理解したからこその行動だったが今この状況から言ったらそれは失策と言わざるを得なかった。
「おっ! ティム奴らが別行動を映し出したぞ! これで連携が行えるのではないか!?」
「面倒臭い事になったのに何で嬉しそうにしてるのかなぁ…」
「後たかが十七体程度、物足りない物はあるがこれで満足しようではないか、全て処分し終えたらここに集まろうではないか」
そう見るからに上機嫌になったクロウベルにつかれたような表情をして「はいはい」と言い周りを走って探りに行く。
(………別行動してる時点で連携とはいえないと思うんだけどなぁ)
そう心の中で思いながら気配を殺して物音を立てずに移動する、しばらくすると何体か集まって走っているケルベロスを見つけて後を追う、途中で合流してまた街の方に行っていると解り気付かれないように注意しケルベロスに悟られないように気をつけて走りながらケルベロスの前方の地面に一発発泡する。
魔力を帯びたそれは地面に着弾すると同時に燃え盛る炎となりケルベロスの目の前に現れる、急に止めることも出来ずその炎に突撃すると全身を焦がしながら数メートル走ると段々と走っている速度が落ち最終的に体を激しく燃やしながら地面に突っ伏す。
何とか炎を回避した四匹の中の一匹がティムに襲いかかる、それを先ほどのように一瞬でケルベロスの三つの頭を撃ちぬくが走ってきていた威力を殺すことが出来ず死んでなおティム突進する、舌打ちをしそれを避けて前方を見つめると三体がバラけて走るのを確認する。
それを見て立ち止まりながら魔装銃に魔力を注ぐ、そして三発発砲する、それぞれのケルベロスに着弾するが止まることはなく走り続ける。
走っているケルベロスの三体の体が突然氷になり何も現状を知らない物が見ると草原に氷のケルベロスの彫刻が不自然に置いてあるように見える。
「…うん、何とか依頼完了かな」
そう言いながら安堵しながら息を吐く、体を伸ばしてまず足元に転がっている一匹のケルベロスの尻尾を切り取り、三体の氷の彫刻に駆け寄り銃を三発撃ち後ろの方の氷を砕く、尻尾を切り取り炎が収まったケルベロスの尻尾にナイフを当てる、灰になりかけていて崩れてもおかしくない為丁寧に切り取るとそれを持ってクロウベルが言っていた場所にまで戻る。
ティムの予想通りすでにクロウベルはいてティムに気付くとティムの目の前に一瞬で動揺しているティムに問いかける。
「ふと思ったんだが、ケルベロスの課金部位は尻尾であっているか?」
「あってるよ、頭だと物騒だし三つあるから正確に出来ないからね」
「そうか…なら良かった」
そう胸をなでおろしたクロウベルに対し言いたいことが幾つかあるが精神的にとても疲労したので一つだけ取り敢えず聞くことにしてみた。
「…あの、帰りも転移魔導なんだよね?」
「むっ? そのつもりだったが………歩いて帰る方が良かったか?」
「逆に決まってるだろ…」
その言葉を聞いて苦笑交じりに安堵しているとまた景色が突然変わった、今度は周りに気を配っていたので何とか把握できたが本当に一瞬の事で未だに慣れない気持ちでいるとティムの少し前にいるクロウベルがティムに向かい呼びかける。
「何をしている、速く行くぞティム」
「今確信した、君といると退屈しないよ…」
自分の師と一緒にいるときと同じぐらいか、もしくはそれ以上に疲れる相手に初めてあって驚いたが悲しいことか過去に散々もまれたこともあり体制がついていた為言うほど徒労感は無い、精々一日か二日ダルいと思う程度だ。
ギルドの扉を開いて中に入ると周りの視線がティムとクロウベルに注がれる、そうするとティムに獣人の一人が近づき肩に手を回しながら言葉を放つ。
「おつかれだったみたいだねぇティム、一体何をしていたのか教えてはくれないかい?」
「…犬っころと遊んでいた所さ」
そう言葉を放ち回されている腕を払うと受付に近づきこえを掛ける、そうするとナセルリアは顔を上げて不思議そうに見つめる。
「あの…どうしたんでしょうティムさん、とてもお疲れのようですけど」
「久しぶりに師匠と遊んでる時のような思いをしたからね」
そういうとケルベロスの尻尾を革袋からだして受付の机の上に置く、それをみて一瞬それが何なのか解らずにじっと見つめ、次第に何なのか理解し焦ったように見つめる。
「えっ!? もしかして依頼を失敗したんですか!?」
そこまで言われて気付く、ティムがだした量が明らかに少なすぎる事に、五十匹討伐の依頼で証拠の尻尾が七匹分しか無いことに気付き焦って後ろにいたクロウベルに声をかける。
「リティ! 君残りの尻尾持ってる? あの足が傷ついてるのとか撮り忘れたりしたんじゃ…」
「…気づいていたのではないのか、安心しろ全て刈り取っておいた」
呆れたように言葉を放ちクロウベルはティムにむけて尻尾を四匹分差し出す、それを聞いて良かったと思いながら自分に差し出された尻尾を見てクロウベルの顔を見る。
「………いやそれは君に上げるよ、僕はそこまでお金に困ってないし、君には恩を売っておきたいからね」
「そうか、ならありがたく貰っておこう………この仮は後で必ず返そう」
そう不敵に笑いながらティムの後ろから机の上に残りの四十三匹分の尻尾を机の上に置く、それを見ていた野次馬連中は驚きの声を上げてその尻尾を見つめる。
ナセルリアもそれと同じで呆然としながら尻尾を見つめていたがクロウベルから冷めた目線を浴びてすぐ思考を取り戻し慌ててその尻尾を受け取り依頼金と合わせた金額をティムとクロウベルに差し出す。
「えぇっと、まずはお二人に依頼金の半額ずつとして五百万ルド差し上げます」
「五百万か…中々の額だな」
「そりゃ集団型の依頼で依頼者が女王ディアヌ様だからね、少ないわけないよ」
そう呟きあっているとナセルリアが背後にある扉を開けてその中に入る、それを見て不思議がっているクロウベルに口を開く。
「額が多いから一度ギルド長からギルドの金額が入ってる魔鉱石を仮に行ってるんだよ」
「………そういう事か」
言われて気づいたが金銭を持っている魔鉱石を持っていないことに気付く、金額が多くなるとそれだけの額を一度に持ち歩くには何かしら怖くなる、それを軽減させるために金目の物を入れる魔鉱石がある、ようは無限にはいり本人にしか出し入れが出来ない金の入った布袋のような物だがクロウベルは自分のは持っているがリティのものを持っていないことを忘れて気づかれないように手元で魔導を展開させる。
するとリティの魔鉱石がクロウベルの手元に届きそれをあたかも布袋から出したようにし机の上に置く。
数分待っているとナセルリアが慌てたようにドアを開けて戻ってくる。
「お、お待たせしました………ではまずはティムさんの魔鉱石を出して下さい」
言われるがままティムは魔鉱石を出してギルドの魔鉱石に当てる、そうすると両方の魔鉱石が数秒光り輝くがすぐにまた消える、それを手に持ち金額が中に入っていると確認すると満足そうに微笑んで魔鉱石を布袋に入れる。
もう既に机の上に置いてある魔鉱石を手に持ちギルドの魔鉱石に近づる、すでに体はリティと瓜二つに設定してあるので問題なく先程のように光り輝くとまたすぐに消える、それを手にとって素早くリティの布袋に戻す。
どちらも上手くいき安堵のため息をしてからギルドの魔鉱石を持つと驚いたようにクロウベルの顔を見つめる。
「り、リティさん魔鉱石の中の金額が二桁だったんですけど、どうやって生活していたんですか…?」
「…金銭不足でな、森に出かけて果物をちぎったり魔物を狩り食事をしていた」
リティがその場に入れば顔を真っ赤に染めながら「そこまで荒れた生活してません!!!」と怒鳴る内容だったがその突っ込みが飛んでくるはずもなくティムとナセルリアは頬を引きつらせる、引きつった顔をしているティムにクロウベルは口を開く。
「さて今日はもう解散としよう、貴様は見たところ疲れているようだし私も宿探しで忙しいからな」
そう言いギルドから出ていこうとするクロウベルにティムは駆け寄り肩を掴む。
「良かったら僕の家に泊まっても良いよ、お金もいらないしどうかな」
「すまないが遠慮しよう、そこまで施しを貰おうとは思っていない」
そう聞いてティムはクロウベルの方から手を離しギルドの扉を開きどこかに行くクロウベルの背中を見送った
一つご報告がありまして、ネットの回線が切れることが決定しました、完全に使えなくなるまでにもう一話書きたいんですけど書けるかどうかわかりません………
長い間か少ない間かもわかりませんが絶対に戻ってきますから気長に待ってくれる人は待っていて下さい




