最強のGランク?
どうもー、毎度の事ながら日曜日ですね、なんと言いますか最近は日曜投稿が多いです、頑張ってペース速めようと思うんですけどなかなか筆が乗らないんですよねぇ
目の前の男性はリティに向けてとても見慣れた目を向ける、物心ついた時からついてまわるその目に宿る色は恐怖に染まっていた。
その男性を無視してギルドの依頼が貼ってあるボードを見つめて何を取るか考えていると男性は我に返りその場を急いで後にする、特に気に留めることもなく無視し机の上にあるコーヒーを飲んでいると目の前の席に誰かが座る音がする、そちらに目線を向けると嫌らしい笑みを浮かべる少女と呼ぶべきか女性と呼ぶべきか曖昧な年の女が座っていた。
「やぁ君強いね、かなりの場数をくぐり抜けてきてると見たんだけど…どうかな?」
「まぁ両手で数えきれんぐらいには経験しているだろうな」
そう言うと首を縦に振って丁度近くを歩いていた給仕にコーヒーを注文し居座る事を決めた女性はクロウベルに何も言わずに腰にさしていた銃を抜いてリティの額に向ける。
瞬速といえる速度だったがクロウベルからしてみたら普通よりは少し速い程度の印象しか感じていない、少女の目は座っていて本当に撃つと言っているものだったが注意を向けずにコーヒーを手に取り口元に持っていく、周りがつばを飲み込む中そんなことを気に留めず先ほどのようにボードを見る。
(………参ったな、逆に追い込まれてる)
少し脅かす程度で銃を向けたがその後に後悔が女性を襲う、巨大な化物に噛み付かれそうになっているような言い寄れぬ恐怖を感じるがそれを表に出さず微動だにしない。
「…いい加減にそれを下ろしたらどうだ? 少々不愉快だ」
本能的に銃を下げて女性の顎先から汗が滴り落ちる、手で拭って手のひらを見たら汗が満遍なく着いており全身から冷や汗が滝のように滴り落ちる、心臓の音が煩わしく騒ぎ出し腕から脈を打つ音の一定のリズムを感じ取り今の一言を向けられただけでそれほどの疲労をしたのだと理解し机に倒れこむ。
そんな女性をクロウベルは一瞥するとため息混じりに女性に言葉を向ける。
「力量の差ぐらいは理解できるようにしなければ早死するぞ」
「………ははは、師匠にも散々言われたよそれ、結構自信あったんだけどね…そういうの」
そうどこか懐かしむように笑いながら言うと女性がクロウベルに向けて手を差し伸べる、それを見て何故手を差し伸べるのか理解できず迷っていると女性が笑いながら語りかけてくる。
「僕の名前はティム・ラーガン、少しの間で良いから僕と組んでくれないかな?」
「…生憎と金が必要でな、二人だと金が手に入る量が減ってしまうから断らせて貰おう」
「………さっき話してたのを偶々偶然聞いてたんだけどさ、君Gランクなんでしょ? 一応Sランクの僕と一緒に組んだほうがお金は手に入ると思うけどなぁ」
Sランクと聞いてクロウベルは目の前の女性を見つめる、全身を見つめるが確かに周りにいる者達より少しばかり強いように思えた、Sランクというとギルド内だけではあるがその国の中である分野で一番強いという事だ、剣を使うなら剣の中で一番強く、魔法なら魔法を扱う中で一番強い。目の前の女性はメイジスのギルドの中だけとは言え魔装銃の中で一番強いということになる。
「…すまないSランクというのを初めて見たため解らなかった」
「僕から言わせれば君も十分Sランクに入れるんだけどな…君でGランクとか悪い冗談としか思えないね」
そういうティムにクロウベルはGランクのギルド員であるギルドカードを出す、もちろん本物ではなく限りなく本物に近い偽物で、それを本物か偽物か見破るには最低でもクロウベルト同等の力量を持つもにしか無理で、実質的にリティのギルドカードは世界に二つ存在するのと同じ事になる。
それを受け取り半信半疑でギルドカードを確かめるが、ティムが見たところまず間違いなく本物のカードで確かにGランクと書いてあった、そのGランク以上にティムは驚愕する事実をそのカードから見つけた。
「アトラス…? 君ってアトラス出身なの?」
「いかにも、何か問題でもあるのか」
「いや………人の祖国を悪く言いたくないけど向こうはこっちと違って平均的に温和な人が多いと思っていたから、その、君みたいなのがいるなんて思わなかった」
そう言葉を選びながら返すティムだったが内心は別のことを考えていた。
(リティでGランクなんて普通はありえない、表に出したくないから技と目立たないGランクに? 冷戦状態の此処に牽制として送り込んできたのか? ………駄目だ色々思いつくけど情報が少なすぎて良く解らない)
「その後ろの大剣アイアンソードだよね、はっきり言って君はもっと強い武器を持って戦った方が良いと僕は思うんだけど何でよりによってアイアンソードなのさ」
「ふむ、大体私は無手で事を済ませるからな、故に武器などあってないようなものだ」
(自然体で特にこちらを疑ってきている様子も無いし僕やこの街にすぐに関わる事じゃ無さそうだな…まぁ僕には関わりあい無さそうだし無視しても良いかな)
知りたがりはすぐに死ぬと教わっているので多少疑いながらも丁度いい付き合い方をすることに心のなかで静かに決めながら外面は人のいい笑みを浮かべて口を開こうとするが給仕が頼んでいたコーヒーを持ってきたのでそれを手に取り口の中に含んでいるとクロウベルが関心したように女性を見る。
「…中々に世渡りというのができているな、貴様に物事を教えた師はかなり頭脳に秀でてなおかつ腕の立つ人物なのだろう」
一瞬吹き出しそうになる女性だったがなんとかこらえてクロウベルを見る、表情は本当に関心しているようで他意は無いことが見て取れた、そんなクロウベルを見て何で考えていることがバレたのか一応聞く。
「…ねぇ、何で僕が疑ってるって解ったのかな、一応表情に雰囲気には注意してるつもりなんだけどさ」
「目を見れば大体解る、それに雰囲気も良すぎだ、普通ならばいくらか怪しむ所を貴様は全く怪しんでいる様子がない、それがすでに怪しいということに気付かないのか」
「参った参った、どうやら腕っ節だけじゃ無さそうだね」
そう言いながら小さく両手を上に上げる、周りからの目線もいくらか減り始めていたので再び注目を浴びたくないため小さめにしたがそれを見てクロウベルは笑いながら女性に言葉を向ける。
「久しぶりに言葉遊びをしたな、楽しかったぞ」
「…ああもう、君と話してると師匠と話してる時みたいな感じがするよ」
そう机に再度顔を伏せて億劫にそう言い出す、それをみてクロウベルが笑みを作っているとギルドの扉が勢い良く開き木がきしむ音がなるが数人が入ってきた音にかき消されてギルド内にいる人々の耳には入らない。
六人ほどでその全員が獣人であることを理解し眺めていると顔を伏せていたティムから声が上がる。
「あー、リティあんまり見ないほうがいいよ、何かと文句をつけることが大好きな人達だから」
そう言われて耳が少しばかり動いた獣人達から視線を切ってコーヒーを口元に持っていくがその腕を何者かに掴まれて阻止される。
そちらを見上げると嫌らしい笑みを浮かべる獣人が立っていて周りを取り囲んでいた、その中の一人がクロウベルの腕を掴んでいる獣人に声をかける。
「やめときな、アンタじゃかなわないからねぇ」
「…ほう? 一応今の私は力量も完全に隠し普通の少女と同じなのだが、見破ってみせるか…面白いな」
「勘だよ、アンタはやばいと思ったからね」
周りの獣人達が困惑する中その獣人はティムに顔を向ける、相も変わらず顔を突っ伏しているティムだがわざとらしくため息を漏らすと顔を上げて獣人に顔を向ける。
「どうだい? 最近楽しく言ってるかいティム」
「君が来るまでは極めて平和そのものだったかな」
「そう釣れない事を言わないで欲しいもんだねぇ、おたくがちょいとアタイらにいちゃもんをつけたのが聞こえたもんでね」
そう獰猛な笑みをティムに向けるが見られているティムは面倒だという表情を隠しもせずに晒す、周りの獣人達は笑っておらずどこかティムに怯えた表情を見せるがその場を離れようともしない。
クロウベルに向けて視線を送ろうかティムは迷ったが変に借りを作るのも気が引けて、何より目の前の少女が何をしでかすか解らないため変に頼ることができないと判断するともう一度心のなかでため息を付きながら目の前の獣人に言葉を向ける。
「Gランクの、それもまだ幼い少女が君達に絡まれるのが見てられなくて大げさに言っただけださ、それぐらいは見逃して欲しいね」
「…Gランク? これが?」
頼らずに助けを求める事もせず少女になすりつけた事に成功し女性は安堵する、これで少女が何をしても自分に否はなく全てクロウベルが責任をおう形にもっていけたのに満足しコーヒーを飲む。
「いかにも、私はGランクだがそれに何か問題でもあるのだろうか」
「………いやちょいとありえないと思ってね、アンタ絶対力量を隠してるからねぇ、さっきもそう言ってたし」
そう獣人はいるとギルドの建物が悲鳴を上げるほどの重圧をクロウベルに向ける、近くにいるティムも警戒し腰の銃に手をかける、周りの獣人達は全て瞬時に後退し3人を見守っている。
面倒そうに少女は獣人の瞳を見た、それだけで獣人の体は硬直し物言わぬ石像とかした獣人に呆れながら言葉を放つ。
「…振りかかる火の粉は振り払うのが私の主義だが、こうも弱々しいと何もする気が無くなるな」
クロウベルが獣人の瞳を見つめるのをやめると女性は腰を抜かしその場に座り込む、顔全体から冷や汗を流すのを見てティムに女性は目を向けて、その様子を見て後ろの獣人にティムは目を向けて、2人が目を見開き、先程クロウベルに絡んでいた獣人は顔を蒼白にしているのを見て頭を右手で軽く掻く。
(…ダリアもSランクなんだけどなぁ)
そう思いながら座り込んでいる所を取り巻きの獣人に肩を貸してもらいながらギルドを出て行く獣人の女性を見つめる。
「………先程から思うんだが、貴様等は良く顔を汗だくにするな、ここの国の住民は汗が出やすい体質なのか?」
「そんなことは無いよ、多分君にだけだと思う」
「よくわからないが、まぁ良しとしよう」
そう言い再度コーヒーに手を抜ける少女にティムは恐ろしい何かを感じ取った。
暑い、最近はその一言で終わります………そして7月なのでいよいよ我が家もエアコンが起動します、エアコンって良いですよね私本当にそう思いますよ