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いらない物

どうもー、いやぁ地の文の量を増やす事に意識をしますが区切ることにも意識しないといけないというのは中々面倒臭いですねー…

 そこは見慣れたはずの光景で、でももう二度と見ることが出来ないであろう光景のはずだった、座り慣れた赤色の玉座に座りながら何時もしていたように右斜上を見上げると窓の外に丁度月が浮かび月光をその身に浴びせる、その玉座から見る月に言い寄れない懐かしさを感じていると扉が開き誰かが入ってくる、その何者かは足音を立てずにクロウベルに近づき半目で睨みつけてくる。


 「…主役が途中で消えたと思ったらそんな所で呆けているなんて、また反対派が騒ぎ出すわよ、抑える私の事も考えてよ」

 「…クレアか? もう会えないと思っていたぞ」


 そうクロウベルが懐かしさを込めながら目の前の少女に告げるとクレアは半目で睨むのをやめてクロウベルに近づくと自然な動作で額に右手を乗せ言葉を口から紡ぎだす、数十秒続き途中でそれをやめると今度はゴミを見るような瞳でクロウベルを見つめる。


 「誰かに記憶を改ざんされた後も無いし洗脳、催眠を受けてる様子も無い…なに冗談? もう少し時と場合を考えてから言って」

 「私が誰かに出し抜かれるような愚行を犯すと思っているのか」


 キュラエスに出し抜かれた事はあるがクロウベルの記憶から探ると先程の会話からまだ先の話だと決めつけてそう返す、推測はあたっていたようで無言でクロウベルを睨むクレアに言葉を返す。


 「そもそも自分が何かされた可能性を考える方が自然だろうに、質の悪い冗談だな」

 「そう? もしかしたら奇跡が起きて私が無事ですんでクロウが何かされた可能性もあるじゃない」


 そう笑顔で言い放つクレアに本当に変わってないと思いながら会話を楽しんでいると笑顔を崩し疲れたような表情でクロウベルの隣に立つ、普段そんな事をすれば不敬と見なされ処刑されても文句は言えないが、今この状況でそれを気にするほど二人は無粋では無かった。

 そのままクロウベルを見つめながら何か言葉を考えているクレアに声をかける。


 「そう一々言葉を選ぶのは関心しないな、普段ならともかく今は私達以外に誰もいないのだからな」

 「クロウも知ってるでしょ、これはもう癖みたいなものなの」

 「たまには思った事を口にしてみればどうだ?」


 そこまで言ってクロウベルは思い出す、何故今まで忘れていたのか解らないほどの記憶を、過去にここでそう会話を交わした、そしてクレアが思っていた言葉は自分が今まで悩んでいた事だという事も。伊達に長年連れ添ってきた中ではなく、クロウベルにその言葉をかけるのは残酷な事だと解っていたから今までクレアも言わなかった。

 だがそう言われて言葉を口にしてしまう、さっさと式場にもどれと言えばそれで終わる話だがどうしてかそう口にできなかった、そのやり取りを思い出したクロウベルはこれから放たれる言葉を知っているだけ構えて聞く、なるべく気にしないように、傷つかないように。


 「クロウ、アンタは最強だと思う、誰にもアンタを超える事はできない、最強の魔王よ、これまでもこれからもアンタを超える魔族なんて出てきやしない」 

 「………当たり前だ、私はそれ程に強い」


 そうクロウベルが返すとクレアは儚げに微笑むとクロウベルの隣から玉座の前に移動する、玉座の方が高い位置にありクレアの背が低いというものあってクレアは自然とクロウベルを見上げる形になる、その顔に微笑みは無く凛とした力ある顔をクロウベルも同じような表情で返す。


 「それでもアンタは魔王として歪んでる、クロウ、アンタは魔王を名乗るにはーーー」


 言葉の途中で突然体が中を浮くような感覚を受けて目を覚ます、グランディアの中の結界を改良し周りの光景を伺えるようになっていたので前方に目を向けると最近見慣れた少女の背中が伺えた。

 あの言葉を聞かずにすみ良かったと安堵する自分とあの言葉を聞きかずにすんで安堵する事に怒りを覚える自分がいることに気づき自分の事ながら面倒だと思い直すとリティと黒い糸のような魔力でつながると言葉をかける。


 『リティ、今朝はずいぶんと落ち着いているな』

 「クロウベルさんおはようございます、もしかして起こしちゃいましたか?」


 リティがそう砕けた丁寧語を言うとクロウベルは何も言わず黙るのでもしかしたら起こしてしまったのかと思い若干申し訳なく思い落ち込みながらゆっくりとした足取りで寮の階段を注意深く降りて一階に付き安心して一息つくと村の中を散歩しはじめる。

 クロウベルがしる限り今まで一度もしていなかったその行為に疑問をいだく、というより何故日課でもない散歩をするか予想は付いているが何も言わずにそれを見守る、リティもクロウベルが何も言わないことを不審に思わずに歩き続ける、三十分ほどで寮に戻り階段を降りてきた時と同じように注意深く登って部屋の中に入るとグランディアを地面に置き壁に寄り添うように傾けると手をそれに乗せる。


 「クロウベルさん、そろそろ本格的に鍛えて欲しいんですけど、駄目でしょうか」

 『…まだ駄目だな、お前には鍛える為に必要な基礎的な身体能力も体力も足りていない、まずはそれを補わなければな』


 そう言われてやはり駄目なのかと顔を苦痛に歪ませる、十中八九昨日の事を引きずっていると解ったが今のまま続けても鍛えるどころか体を壊すだけにすぎない。

 普通なら魔力の操作に気の使い方などを教える事から始まるがクロウベルの考えからはまずは基礎の方を固めようと思っていた、リティもそれは理解し長く時間をかけようと思っていたが、あの悲劇を見てリティの考えが変わった。

 今にも泣きそうな雰囲気を体から発しているリティにクロウベルは折れて声をかける。


 『…解った、気の扱い程度なら教えよう、アレなら身体能力はあまり関係ないからな、集中力と体力だけだ』

 「あ、ありがとうございますクロウベルさん!!!」


 そう元気よく頭を下げるリティに子供ながら純粋だと思いこらえているような笑い声を出すとリティが頬を膨らませながら反応する。


 「何で笑ってるんですか…」

 『いやなに中々面白くてな………だが慌て過ぎは禁物だ、そう焦らずともお前は強くなる、なぜならこの私が教えているのだからな!』


 そう声高らかに宣言するクロウベルにいつものように煩いと思いながら額にしわを寄せるが、その瞬間リティの腹部から音がなり次第にリティは顔を赤らめていく。


 「ご、ご飯にしましょう! 気づいたら何も食べてませんでした」


 赤くなった頬を右手の人差し指でかきながらそう言うとグランディアに置いた手を離し部屋の木で出来た箱の中から干し肉と果物を出して頬張りだす、とても美味しそうに頬張るその姿をみてクロウベルは不審に思い声をかける。


 『何故調理をしない、面倒ならギルドに行き朝食を食べればいいではないか』

 「ぎ、ギルドに行って食べるにはお金がかかりますから…」

 『では何故調理しない、調理場があるではないか材料も食べているのを見てるとあるのだろう?」


 そう言いながらグランディアから出てくるクロウベルから視線を切って何もない地面を見つめるリティの顔を不思議に思いながら眺める、顔中から汗が出ていて視線も何もない地面を見つめているが瞳が左から右にいったりと定まっていない。

 不審に思い調理場に行くが機材も揃っていて材料もある、電気でも止められているのかと思い確かめてみて出ないことを確認すると半眼でリティを見つめながら呟く。


 魔鉱石で出来たコンロは魔力を注いで火をつけるのが主流だ、だが魔力がないリティは電気で付けられるように電線をつないであるのだがそれがつかないという事は一つの答えを意味していた。


 「…そこまで金が無いのか」

 「し、しかたないんですよ! 任さられる仕事と言ったら子供にも出来るものばかりでもらえるお金も少ないし………ここ何日か依頼を受けてませんでしたから払えずに止められてるんです」


 元に子供なので仕方ない事だがそのリティの言葉を聞いてもクロウベルにはまだ腑に落ちない点があった、それを確かめる為にリティに言葉をかける。


 「確かに、な…止められているなら仕方がない、料理が出来ないのもうなずける」

 「そうなんですよ! 仕方がないことなんです!!!」


 そう怒鳴るのに近い音量で言葉を紡ぐリティに顔をニヤつかせながら言葉をかける。


 「ならば私が使えるようにしてやろう、それならば問題あるまい」

 「………えっ?」


 何か嫌な予感がしたリティはそのまま調理場のフライパンに魔導を掛けてリティに渡す。


 「これで熱を自由に調節出来るようになったはずだ、火加減を調節するのを意識すれば上手く作れるはずだ」

 「あ、ありがとうございます………」


 そう言いながら震えた手で受け取り野菜を取り出して壁にかけてあったまな板の上に乗せる、包丁を手に取り野菜の上に向けいざ切ろうとしている腕をクロウベルが掴んで止める。


 「何で止めるんですかクロウベルさん」

 「…そのまま切ると野菜を抑えている手ごと切断することになるが、それでも良いのか?」


 そう言われてようやく気付くと先程よりも顔を赤くさせて包丁をまな板の上に置く、黙ったままそこに立ち続けるリティに少し申し訳ない気持ちになったクロウベルがそこから離れて小さな机の上に魔導で出した食べ物を出していく、とても香ばしい匂いが漏れてリティの元にたどり着くと鼻をひくひくと動かし勢い良く後ろを振り向く、机の上に置いてある料理を見た後クロウベルの方を向き大声で叫びだす。


 「こんなこと出来るんなら意地悪しないで初めから出してくださいよ!!! クロウベルさんの馬鹿!」

 「…それがお前の気持ちか、解ったなら今すぐ片付けるとしよう」

 「こんなまともな食事最近取って無いんです許してください!!!」


 そう元気よく土下座する勢いで頭を下げるリティに笑いを通り越して呆れがでて呆けているとすかさず土下座の体制を撮ろうとするのでそれをやめさせて机の前の質素な木で出来た椅子に座るとクロウベルのぶんの椅子が無いことに気づき顔を上げるが自前でかなり高価な椅子を作り出していたので何も気にせずに食事を取ることにした。

この季節になるとサラダが食べたくなるんですけど私だけでしょうか、ちなみにドレッシングはシーザー以外は認めてません

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