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閑話:日常

 どうもー、なんと言いますか今日唐突に思い浮かんだので書いてしまいました、こんな夜遅くなるとは思わず驚いています

 今気づいたんですけど閑話が全てキュラエス主軸ですね、ほんと自分でも贔屓しすぎだろと思います、でも書きやすいんですよキュラエスだと

 「夢を見たわ」


 早朝の使用人たちが忙しくなる時間帯に廊下のど真ん中でそう一人呟く一人のダークエルフ、通り過ぎる使用人達は邪魔そうな視線を向けるが誰も女性に言葉を掛ける者はいない、普通なら一人ぐらい怒鳴る者が現れてもおかしくはないが怒鳴った所でそれをやめるとも思わないし相手にしたら余計に体力を使うと解っているから皆無視して廊下を慌ただしく行き来する。

 そんな使用人達を無表情に見つめながら女性はそこから動き出すこともせずにただただその光景を見つめ続ける、無表情に美しい外見も重なって身動き一つしない女性は美しい石像に見えるがそれに見とれること無く次第に女性を通り過ぎる使用人の数が減っていく、白いカーテンから溢れる日光が心なしか強くなるのを女性は感じ取るともう一度言葉を発する。


 「…夢を見たわ」


 先ほどのように呟くが結果も変わらず皆無視して通り過ぎて行く、この館に住んでいる者ならそんな女性、主の奇行に慣れているので何も思わず無心で目的地を目指す。

 廊下を行き来する者達が少なくなった為女性の取っている幅を気にせずに進めるようになりますます女性と関わろうとしない使用人達を一瞥すると突然その場にしゃがみ込み体を震わせながら鼻声で呟き出す。


 「ゆ、夢を………ッ、夢を見たわ…ッ」


 そう顔を伏せて廊下に水滴を垂らしている女性の姿を見て一人のメイドが声をかけるために近寄ろうとするがその方を一緒にいたもう一人のメイドが肩を掴み止める。


 「駄目駄目、どうせ嘘泣きなんだから関わらないようにしないと、朝から面倒増やす事になるよアンタ」

 「で、でも泣いてますよ? 可哀想です」


 そういう小さい少女のメイドにもう一人の成人した女性のメイドは両目を右手で隠してため息を漏らす、その後数回首を横に振りながら自分よりも背の小さいメイドの顔と目線が会うように腰を掲げると半眼で呆れたように見つめる。


 「ハァ………解ったじゃあキュラエス様を良く見てて」


 そういうとメイドは億劫だと言う事を隠しもしない声色で今だに少し離れた場所でしゃがみながら体を震わせるキュラエスに声を掛ける。


 「キュラエス様今日の間食はどのような物をお望みでしたでしょうか、念の為にお聞きしたいのですが」

 「愚問ね、ガトーショコラのケーキよ間違えたら貴女の首が飛ぶと思いなさい」


 体の震えを一旦やめ凛とした声でそう呟き、数秒たったらもう一回体を震わせて鼻声で「夢…」と言い出すキュラエスを呆然としたように見つめる小さいメイドの手を引いて持ち場に連れて行く。


 「はいはいもう行くわよ、気が済んだでしょ」

 「は、はい!」


 親が諦めの悪い子供を釣れ出すように歩いて行くメイドの二人を気にせずに一人呟き続けるキュラエスに声を掛ける者は無く、道を歩く音が聞こえなくなると顔を上げる、すると一人の執事と視線がぶつかる、視線を外すよりも早くキュラエスは反応しその執事に声をかける。


 「夢を見たのよ」


 そうこちらに近づいてくるキュラエスを無視して執事は後ろを振り向き来た道を後戻りしだす、背後から壊れたラジオのように同じ言葉を発し続けるキュラエスを無視するが不意に肩を掴まれて動けないようにされてようやく観念しキュラエスの方を振り向く。

 相変わらず無表情でありながら感情表現が豊かな人だと思いながら見つめキュラエスに声をかける。


 「一体どのような夢を拝見なされたんですか」

 「えっ…!? 何で私が夢の話をしようとしていると解ったの、貴方まさか」

 「すみません用事がありますので失礼します」

 「綿飴が様々な種族を食べて体を大きくして分裂して世界征服する夢を見たわ」


 予想通りくだらない話だと思い表情にも出すが口には出さず押し黙って聞く、そうするとようは無くなったと言いたげに自室に戻るキュラエスを見て本当に報告だけをしたかったのかと思い自分に向けて背を向けるキュラエスを見て一人呟く。


 「どうでも良いけど、ピンク色の綿を体中につけてるのはこのネタ仕込みか………なんであの人ああいうことに対しては全力なんだろう」

 そう言うと自分も仕事の為に目的地を目指す。






 「皆おはよう今日も元気にドブ川に飛び込もう」


 里の周りにも川と言える物はあるがドブ川とは程遠く、むしろ透明度が非常に高く水の中を優雅に泳ぐ魚を見ることができるそれをドブ川と言い放つキュラエスに後ろを歩いていたメイドが咳払いをしてから注意する。


 「キュラエス様、そういった事は百歩譲って館の中だけでお願いします、外を出歩いている時にそのような事は…」

 「えー、ちょー面倒なんですけどー、もっと楽に行こうYO」

 「本当にやめてください、教師という自覚をもってくださいキュラエス様」


 そう行って通っていた学園の制服で歩いているキュラエスの後ろを顔を歪ませながら歩くメイド、キュラエスの色々な意味での世話役であるメイドはストレスで体調不良になり一週間休日を貰った為普段あまりキュラエスと接触していないメイドがしょうがなく付き従っているがそれを横目で見ながら口を開く。


 「…つまらないわね、何時もなら煩いけれど切れ味のあるツッコミが返って来るのだけれど」

 「私にはメイのような度胸はありません」

 (というか昨年に卒業したのに制服で歩くとか恥ずかしくないのかな…メイさんなら間違いなく突っ込んでるんだろうなぁ………)


 あの館の中で一番苦労しているのは間違いなくメイだろうと思いながらキュラエスにしたがって歩いて行くと突然一人の少年に向かっていくキュラエスを見て思わず冗談半分で誘拐でもするつもりなのかと焦るが良く見たらキュラエスが担任を受け持っている子供だと解り安心しため息を漏らす。


 以前キュラエスが無表情ながら使用人達と夕食を取っている時に突然立ち上がってから勢い良く再度座ると一枚の写真を取り出して回し始める。何故立ち上がったのか問いただす者は無く、回された写真を見ると小さな子供が集まっていた。

 それを全員に行き渡ったのを確認してから「それが私の受け持つ生徒たちよ」と言ってから何事も無かったかのように食事をとるキュラエスに多数が頭の中に疑問符を浮かべ、ある程度キュラエスとかかわり合いがある者は初仕事の自慢をしたかったのだろうと悟り温かい目でキュラエスを見つめていた。

 その中にあの少年がいたので覚えている、髪色がキュラエスと同じだから覚えていただけではあるが。


 「あっ、先生おはよう!」


 キュラエスに気づいた少年はそう笑顔で挨拶しているのを見て上手く仕事はできていると安堵しているとキュラエスに向かって少年が言葉を続ける。


 「それにしても昨日の先生の服装凄かったね、凄くリアルなクマの着ぐるみでびっくりしちゃったよ!!!」

 「漏らした子もいたわね、流石に後悔したわ…」

 「何小さな子供にトラウマを植え付けてるんですかキュラエス様」


 目を輝かせながら元気よく言う少年を見てメイドは一人思い出す、自分の雇い主は好かれる人からは好かれるが嫌われる人からは嫌われるという事を。恐らくクラス内でも半々ぐらいで好きか嫌いかで別れるだろう、そういう人なのだ。


 (何でこの人を最年少組の教師に選んだんだろう、不思議だ…)

 「ねぇ先生この人は誰?」

 「私の家のメイドをしているオジャマール二号よ」

 「ヴェラ・ブリッジと申します、これからもキュラエス様をよろしくお願い致します」


 あえてお世話になる方として進言するがふたりとも特に反応を見せずに会話を続けていく、自己紹介をしたはずなのに少年の方もヴェラをオジャマール二号と呼ぶ当たり似たもの同士なのだと悟ると静かにその場から距離を置く、数十分すると少年は友達と遊ぶ約束があると言いその場を遠ざかっていく。


 「昼間から遊ぶとは中々元気がありますね、さすがはキュラエス様の生徒です」

 「昼間と言ってももう3時だし特別変な時間というわけでもないでしょう、健康的で良いと思うわ」


 そう言うキュラエスに後ろを歩いていたヴェラは立ち止まりキュラエスの背中を見つめる、まさかキュラエスから正論を言われるとは思っておらず少なからず落ち込みながら歩き出すし先ほどまでの距離感に戻ると歩きながらキュラエスがヴェラに問いかける。


 「それでメイの家はどこにあるのかしら、私知らないのだけどオジャマール二号は知っているかしら」


 「休日ぐらいゆっくり休ませて差し上げましょうよ…メイが可哀想です」


 心の底から同情してそう言うと突然立ち止まりヴェラの方を無表情で見下ろす、流石に言い過ぎたかと後悔して顔を青ざめると手を胸ポケットの中に入れて小さな緑色の魔鉱石を取り出す、その魔鉱石に魔力を込めて一万ルド出すとそれを無言でヴェラに渡す、一体何が言いたいのか分からずキュラエスを見上げると変わらず無表情で見つめる瞳とぶつかる。


 「ヴェラ、そのお金で無地の白いTシャツの真ん中に「ああ無情」と紫色でかいてあるのを買ってきて頂戴、無理なら手ぶらで帰ってきても良いわ、でも数時間は探し回ってから帰ってきなさい、最低でも二時間立ってからよ」


 突然何を言い出したのか解らず考えて、言いたい事を理解すると苦笑いしながら言い返す。


 「キュラエス様、お気持ちは解りますが私は貴女に付き従う役目がありまして」

 「じゃあその役目から下ろすわ、貴女といても面白くないし」


 そう言ってもうこれ以上話すことはないと言いたげに背を向けて遠ざかっていくキュラエスに小さく頭を下げてからメイの家に持っていくおみやげを買いに里の中を歩く。

 立ち止まって顔だけ振り向き、そんなヴェラを見て小声で呟く。


 「結構楽しめたわ、ありがとう」

 






 既に日は沈みすでに周りの空が暗くなっている時間に一人で本を手に持ちながらベッドの上に腰を掛ける、ベッドの上にはすでに何冊か読んである本が散乱してあるがそんなもの気にすることすらせずにただ読みふける。

 そうすると本を持ち上げられるので顔を上げる、一体誰なのだろうと思い相手の顔を直視するとメイが呆れたように見つめなおしてくる。


 「全く………ヴェラちゃんから聞きましたけど子供にトラウマを植えつけたらしいじゃないですか、何をしているんですか貴女は!!!」

 「煩いわね…近所迷惑になるわよ、というか貴女ストレスで体を壊していたんじゃないの? ズル休みはバレないように」

 「違います、今日はプライベートでここに来ました」


 そう言うと少し頬を染めて指をいじりながら口元を動かす、普段の彼女らしくないその振る舞いに少しながら心の中で動揺していると右手に持っていた紙袋をキュラエスに渡す。


 「それはヴェラちゃんをお見舞いに越させてくれたお礼です、ヴェラちゃんに会えて嬉しかったからついつい二人で話し込んじゃって二時間どころか三時間も拘束しちゃいましたし」

 「気にしなくて良いわ、後でその分の仕事をヴェラにやらせるつもりだから」

 「さっきメイド達にあって話したんですけど、どういう訳か私とずっと話していたはずのヴェラちゃんが凄い勢いで仕事をしていたらしいじゃないですか、不思議な事もありますねキュラエス様」


 そうどことなく勝ち誇った笑顔でキュラエスを見上げるメイに無表情ながらも心の中では顔が赤くなってないか確かめたいと思っていた。

 表情自体は変えていない自身はあるが顔色までは解らない、取り敢えずバレたのがメイで嫌な気持ちと良かったと思える両極端の気持ちが浮かび上がる、メイ以外なら茶化さずにいてくれる分楽ではある、だがメイ以外なら人に言って広まる可能性がある、口が堅いと解っているメイだからそこは安心出来る。


 ヴェラが抜けた為彼女の一日分程度の書類は変装、と言うより既に変身の域に達しているヴェラの容姿でこなしたがキュラエスからしたら量が少な過ぎたので他の者の物まで手を出して片付けた、ヴェラ本人が生真面目な正確だったというのもあるから皆何も疑問を持たずによろしくと言って授けてくるのを見て日頃の行いを改めようかとキュラエスは思っていた。

 渡された紙袋の中を探ってみるとヴェラに頼んであったああ無情のTシャツが入っていたのでそれを見てメイに視線を戻す。


 「…これはヴェラに頼んであったはずだけど?」

 「そんな個性的なの普通売ってませんよ、私が作ったんです」


 そう無い胸をはるメイからTシャツに戻すと確かに自分の注文通りの出来のTシャツだと改めて認識する、後ろにはやるせねぇとまで書かれていて自己流を挟んであるがそれも気に入った為心の中で笑っているとメイが笑顔で語りかけてくる。


 「どうですキュラエス様、お好みだと思うようお作りしたんですけど………」

 「流石メイだわ、私の好みを解ってる」

 「何年キュラエス様を見守っていると思っているんですか、あの頃は小さくて可愛かったのにいつの間にか私を追い抜いて」


 そう老人特有の独り言をし始めたメイに珍しく人前で表情を変えるように眉を潜める、魔族は年をとるという事がなく姿を若いままに保っていられる為そう呟くメイを見ても子供が年寄りぶってると思われそうな光景だが小さい頃から一緒のキュラエスからしたら確実に老人だと解っている相手なだけうんざりしながら会話を聞き流す。


 「…キュラエス様のその服装の好みは何でそう変わっているんでしょうか………頭脳に秀でている訳でも無いのに教師もしていますし、本当に不思議です」

 「コネとお金よ、それを言ったら貴女も年の割に言葉遣いに行動が若々しいと思うわ」


 冗談に聞こえない冗談を言いあい談笑しているとメイが立ち上がりキュラエスに向かい頭を下げて部屋から出て行く、ストレスで体を壊したのは間違いなく自分の冗談に突き合わせてしまっているせいだと解っているが、そんな事を一々お互い気にしないので黙って本を読む。

 その後ヴェラが入ってきて食事の用意が出来た事と仕事の件でお礼を言われたが妖精さんがしてくれたんでしょうと切り替えして知らないふりを突き通した。

 最近夜更かしが増えてきたのでもうそろそろ生活習慣直していきたいなーと思ってます、でも癖になってるんですよねー………

 長文の感想を貰いご指摘を頂いたので少しこの話だけ区切りをつけてみました、これからはこういった所にも気をつけていこうと思っています

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