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惨劇の末に

 どうもー、結構遅くなったんですけど本当は土曜日に投稿しようと思っていたんですよ、でもあるクロウベルの台詞の箇所が思い浮かばなくて出来ませんでした、キャラクターの台詞一つでここまで悩んだのは初めてです

純白の両翼を背に足首の根本辺りからももう二枚翼を出して高速での移動をし続ける、もう森の中などとうの昔に過ぎ去っていてもおかしくないにもかかわらず未だに出ていない事に妙な疑問を感じた。抱えているカリナはあまりの速度に気を失っている為暴れたりされないのでまだ楽に進んでいるがそんな余裕を感じることすら出来ずに嫌な予感を確かめるために上空に舞い上がり周りを見渡す。

 視界に入るもの全て木々で覆われており森からでる事など不可能だと主張しているように思えまた高速で飛び去ろうとすると肩を何者かに叩かれる。


 (そんな…! 気配は感じなかったのになんで)


 この場で肩を叩いてくる人物の心当たりなど一名しかいない、問題はそれを力、存在と言い換えてもいいそれを一切悟られずに未だ背後に居続けているという事に驚愕する。


 「まだまだ甘い、ある一定以上の力量を持つと相手に悟られないようにすることも可能だ、先程は気を抜いていたから貴様にも悟られただけだ」


 そう若干ながら苛立ちを含めた声に恐怖しその場を逃げ去る、通常ならば目で確認することすら困難なそれすらもリティからしてみれば赤子がようやく歩けるようになった速度と何ら変わりはしない。

 それから何分間かいどうし続けてようやく自身が置かれている状況を理解すると抱えていたカリナを置いてそこから遠ざかる、すると目の前にすぐにりティが現れる、予想はしていたがこうも見事に見抜かれるものなのかと先程から背筋に流れている冷や汗の量が今この瞬間にも増え続ける。

 なんとか振り切ろうと女性はもう一度飛び去るが急に体が横に吹き飛ぶ、脇腹から尋常じゃない苦痛を感じ顔を歪ませる。何本の木に体が当たるがそれで止まらず体に触れる木々は威力に耐えられず折れて行きもう何十本目か解らない所でようやく止まる。


 (もしかしたら勝てる、そんな夢すら見せてくれない…)


 恐るべきはただの少女と同等の身体能力と気だけでそれを行っているという点に尽きる、長年の培ってきた技量でほんの一瞬、刹那と言ってもいい時間だけ爆発的に力を注いでいるということだろう。

 もはや立つ余力も無いがそれでも魔導を使い無理やり体を回復させて立ち上がる、その魔導を見て一瞬リティは眉を吊り上げるがそれよりも聞きたかった事を口にする。


 「…予想はある程度できているがあえて問おう、何故あそこまで守っていたハイエルフの少女を置き去りにした」

 「あ、貴女が狙っているのはあくまで私で、カリナにようは無いと思ったか、から…」


 自身が想像していた通りの答えでリティは口元に軽い笑みを零す、その表情を見て自分の判断は正しかったと女性は安堵するがまだ完全に安心しきる事は出来ないと目の前の少女を見つめる。


 「…こ、殺される覚悟ならあ………ある」


 リティは自分と相手の間にある思い違いにわずかながら気づいてはいたが自分が女性を殺す事は決まっている為あえて口には出さない、そのまま女性から目線を外し何やら一人で考えだすリティを見てふとこのまま逃げられるのではと考えが頭のなかを過るがすぐに否定する、そんな簡単に逃げられるはずがない、あれはただの余裕の現れなのだと思い直すとリティは女性に向けて見た目通りの子供らしい笑みを向ける。


「ふむ、そうだなこの身にかすり傷一つでもつけることが出来たら許してやらんことも無いが?」


 そう懐かしい思いをしながら言い放つ、嘗て小さい時に襲われていた時は相手に何時もそう言い放っていた。傷を付けられた覚えがあるのは後にも先にもランとベリネットの二人だけではあるが、あの場合は少々特殊な為この場合には含まれないと一人思い直す。

 懐かしむリティを見て混乱に陥ろうとする頭を軽く殴り振るい落とす、何が目的なのか考え始めるがそれが無駄なことだと気付くと今だに懐かしんでいるリティを睨む。


 (目的があるのか、遊んでいるのか解らないけどどっちでもこのままだとただ死ぬだけ…それなら乗るしか無い)


 そう思い直すと大地を強く踏みしめ問答無用で隠し持っていた大きめのナイフで斬りかかる、目を閉じて顎を手で触るリティはその動作をやめもせずに体を少し後退させる、ただそれだけでリティの顔の一ミリ先をナイフが通り過ぎる、もうそれだけで女性の心のなかに目の前の化物に傷をつけるなど不可能だという思いが広がるがそれを無視して何度も斬りかかる。

 風の魔導を使い鎌鼬を発生させてリティに仕掛ける、周りの木々に深々と傷をつけるそれは展開の速さ、込められている魔力の量で一流の魔導師と言われてもなんらおかしくない出来ではあったがそれがリティの体に当たるとそれだけで次々とリティに襲いかかろうとしていた鎌鼬が消え去る、何をして消し去ったのかも解らないでいると思い出に浸っていたリティが目を開けて女性を見る。


 「私の体に当たった時に魔導の魔力を少し弄らせて貰った、そうしたら後は簡単だバランスを失った魔導は簡単に消える」


 いとも簡単に言ってのけるが要は相手の魔導を乗っ取ったと言っているリティに対してもう何の驚きが起こらない、それほどの事ができるという力量の差なら痛いほど見せつけられた後なのでそんなことはされると解っていた。

 そう言ったリティの足元から時間差で土で出来た先端が尖った棒状のものが勢い良く飛び出てリティに向かう、つまらないと言いたげな表情で空中に飛び上がると今だに自分に向かってくるそれの一つを手に取ると一瞬でその槍のような物を砕くと手に持っていた一本を女性に向けて投影する、避けられる速度ではなく左の片翼に当たり貫通して地面に突き刺さる。

 赤い血が吹き出て左の翼だけを真っ赤に染める、痛々しく顔を歪めるとリティが女性に問いかける。


 「さぁどうした、もっと私を楽しませてくれ」


 これ以上ないほど圧倒的な光景であった、片方の天使と間違える女性はもう戦う気力すらもがれてその場に座り込み顔を伏せて嗚咽を押し殺したような声を出す、もう片方のまだ学園に通って穏やかに過ごしている年代の少女はそれをつまらなさそうに見つめる。


 「………魔族らしい姿とはとても言えんな、なんと柔で痛々しい姿だ…貴様その程度で魔族を名乗るつもりか?」


 珍しく自分に対する怒りではなく人に対する怒りでそう言うとリティは女性に近づき胸ぐらを掴み自分の顔の前まで女性の顔を持ち上げる、女性の瞳に戦意は見受けられずあるのはただただ暗い光を放つ絶望のみ、長い経験から女性がもう全てを諦めていると理解するとリティは苛立たしげに女性を地面に投げつけ背からグランディアを手に掴み女性の方に向ける。


 「同族として最後の言葉は聞いておいてやろう、何か言い残すことは無いか」

 リティがそう言うと女性の瞳にかすかながら光が宿る、そして泣き腫らした顔で満面の笑みを浮かべながら細々と口から紡ぐ。

 「カリナちゃんに、魔法教えられなくてごめんって伝えて欲しい」

 「今際の際の台詞が他人の事か、貴様に言うことがあれば一つだけだ、生まれる時代が悪かったな、カリナにはそう伝えておいておこう」


 そう無慈悲に告げると女性の首を切り落とす、その心意気に免じてその瞬間だけ原型が残る程度に全力を出し切ったからか勢い良く切り落とされる、いつ死んだのかすらわからないため痛みすら自覚しなかったであろう女性の顔は切り落とされた今でも変わらず笑顔を保っていた。

 戻ったらまた何時ぞやの時のように大剣ごしに殴られるのだろうと思いながらカリナが寝ている場所にまで移動する、今だになおも眠り続けるカリナをリティは優しく体をゆすり起こす、目が覚めたカリナが見たのは妙に表情が薄いリティの姿、優しい雰囲気が出ていないため優しい時のリティではないと思い不審に思いながら何故寝ていたのか思い出して飛び上がる、先程まで顔しか見れなかったリティの体を見て息を呑む、上半身は明らかに血の跡だと解るほど赤く染めて下半身は少しながら血痕が付着していた、顔にも付着していて妙に薄い表情のそれが恐怖を掻き立てる。


 「な、なぁ姉ちゃんはどうしたの? オレ姉ちゃんに魔法を教えてもらう約束しててさ」


 解っていながら問いかける、きっとあの時みたいに悪い魔物が出てきて今度は殺したからその返り血を浴びたと信じて、もしくはこれは自分を驚かせるためのちょっとした冗談で自分が後ろを振り向けばそこには申し訳無さそうに笑みを浮かべる女性がいると思って、そう願って後ろを振り向くが女性の姿は無く固まっているとリティがカリナに言葉を紡ぐ。


 「アレの最後の言葉を教えよう、魔法を教えられなくてごめん、だそうだ」


 何の感情も伝わってこないその冷たい言葉を聞いてリティの胸を叩き出す、大声で喚きながら殴るその幼さが強い顔が過去の記憶を彷彿とさせて心に傷をつけるがそれを表に出さず何も言わず受け入れる、本当はやりたくなかった。それは思うだけで罪であり最低の逃げ道だと理解しているからそれを全て拒絶して今まで歩いてきたリティからしたら慣れた物だが大剣の中にいる目の前のカリナとあまり年が変わらない少女には酷な事だろうと思っているとカリナが胸を叩きながら叫びだす。


 「何で殺したんだよ!!! 魔族だからか!? 良いじゃないか少し襲われたぐらい! きっと勘違いだったんだろうしお前からしたら今私が殴ってるようなもんとかわり無いんだろ!?」


 子供ながら滅茶苦茶な事を言っているがその分的を射ている、確かにリティからしたらあれぐらい子供が棒で殴ってくるのと変わりは無いが問題なのは相手がクロウベルだと解って、しかも同族がやって来た事につきた。


 「何の…何の為に私はアイツを助けたんだ…」


 そこまで聞いて一人称がオレでは無く私になっている事に気づいたがあえて触れずに黙って聞き続ける、もはや殴りつけてくる拳にも力は入っておらず言葉にも力は無い。


 「私は自分に対し失敗や逃げ道を作る事は許さない性分でな、言い訳も謝りもしない、まぁ言うとしたら」

 「言うとしたら…?」

 「私は自分の行いに何一つ後悔は無い、これまでもこれからもな」


 そう言うリティにカリナはリティの頬を強く叩き走って里にめがけて走り去る、それを見て周りに貼った結界を解いてリティと変わる、変わった途端泣き出すと思っていたクロウベルの予想を反して何事も無かったような風にクロウベルに語りかける。


 「それじゃあハイエルフの里まで飛ばしてください、依頼達成のお金をもらいに行かないといけませんから」

 「別に良いが…何だこの前のように大剣を通して私を殴ったり罵ったりしないのか? 意外だな」


 そういうとリティは困ったように微笑を浮かべてクロウベルに元気なく問いかける。


 「私の言いたいことは、全部カリナちゃんが言ってしまいましたから………私がクロウベルさんにいうことは何も無い、というか残ってないです」

 「………クックックッ、ハーッハッハッハッ!!! どうやら私はお前を見くびっていたようだな」


 「煩いですよ」とリティとクロウベルが言い合っているとハイエルフの里に付く、それからも心の中でくだらない会話をしながら依頼料を受け取りに行く。

 やっとまともな戦闘描写が書けてホッとしています、これからは過度な視点切り替えは無いはずですから読みにくくなる事も少なくなると思います。

 増える時もあると思いますからそういう時はその始めにまえがきに書いておきます、ただ予定としては少しの間ないと思います

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