らしくない二人
どうもー、速く二人を出したいんですけどまだ出せない模様、恐らく後二話ぐらいでりティとクロウベルは出てくるかな? ってところです
「ああクソッ、結局行けなかった…」
そう言いながら一人里の小さな学園を終わらせて帰り道を歩いている時にひとりごちる、出かける機会を探っていたが妹のメリアが一日中張り付いていて結局何も出来ずに柄にもなく真面目に勉学に励むだけに終わった。その為親から珍しく褒められ照れくさい思いをしたがそれはそれだと思い直すように頭を左右に激しく降ると顔に力を入れて表情に気合を入れる。
「…今メリアいないしこのまま行くか、昨日みたいに無駄に休日潰すわけにもいかないし」
「お姉ちゃん…全然反省してない」
体を一瞬固くし歩いている動作を止めて苦笑いしながら後ろを振り向くと呆れた表情でこちらを見てくるメリアがカリナを見つめていた。
「ぐ、偶然だなぁメリア………こんなところで会うなんて」
そう言って体制を立てなおして走り去ろうとするカリナの腕の袖をメリアは掴むと額にシワを寄せて幼い顔立ちに似合わない表情を作り出す。---逃げ出す事がバレてる、長年自分の妹をしているだけはあると冷や汗を流しながら思っているとため息を付きながら表情を何時もの可愛らしい物に変えると自分に問いかけてくる。
「お姉ちゃんどうしてそんなに森に行きたいの? 危ないんだよ?」
「そんなの決まってるだろ、楽しそうだからだよ」
「理由になってないよお姉ちゃん…」
万が一にでも納得がいく理由ならこのまま一人で行かせてもいいとメリアは一人思っていたが目の前の姉にそんなものがあるはずないと思い直して再度呆れたような視線を姉に送る、今にも食って掛かって来そうな所を見ると何も考えてないんだろうなぁと頭を悩ませているとカリナは掴まれている裾の左腕を思いっきり上下に降るとメリアの手が外れ、それを見ると一人全力で走り去ろうとするカリナに強行手段として魔法を駆使する。
「本当にもう………もうちょっとお姉ちゃんらしくしてよ」
そう小さく独り言を言った後に呪文を唱えて自身の姉に向ける、メリアの目の前の地面から茶色の鎖が飛び出しカリナを素早い動作で追って追いつくとその体に巻き付く、勢い良く走っていた所を突然動作を止めさせられたので顔面から思いっきり地面にぶつかると顔を赤くさせて芋虫のような動きを取りながらこちらに向かってくるカリナを睨みつける。
「い、いきなり何するんだよ!!! 痛いじゃないか!」
「だ、だってお姉ちゃんが無理矢理にでも森に行こうとしてたからだもん!!! しょうがなかったんだもん!」
突然大声で怒鳴られたせいで怯えてしまい涙目になりながら負けじと大声で言い返すメリアを見てカリナは少し罪悪感を感じるがその程度で諦めるわけもなく、一昨日読んでいた魔導書の内容を思い出しながらなんとかその場をやり過ごそうと思考の渦に入っていく、なおもメリアが大声で何かを叫んでいるがすでにカリナの耳には入らずに集中する。
(ええっと…確かイメージを明確にイメージしながら術式を組み立てるんだっけか、面倒臭いなぁ…)
適当に術式を感性だけで繋げて作り従来の物とくらべてはとても制度が劣る物ができたがなんとか魔法を発動出せ茶色い鎖を粉々に砕くと勢い良く立ち上がりまた走り去る、目の前の光景に思わず呆けるがすぐにまた魔法を発動させようとイメージしようとすると突然自分の足元から茶色い鎖が出てきて体を拘束される。
「お、お姉ちゃんいつの間に魔法使えるようになったの!?」
「適当だよ適当!」
走りながらそう答えたカリナはそうメリアの方を見もせずに言い放つとメリアの視界から去っていった、なんとか鎖を解こうとしても自分の創りだした物とは明らかに難易度が違い自分のものよりもひと目で大きく強度が高い事を認識するとそれを解こうと四苦八苦する。
「適当にこんなの普通作れないよ…」
数十分走ったり歩いたりを繰り返し進むとようやくこの前の大怪我をした少女を助けた所にたどり着くと当たりを見回しどこかに隠れているか確かめるがそんな簡単に見つかるまでもなく数分が立つと足が疲れてきたので一本の木の根本に座り一息つく、木の葉っぱで生い茂っており太陽の光も入ってこないところで風が吹くたびに葉が葉と当たり自然の音を出すのをただ座って聞いていると突然自分の目の前に光の球体が通り過ぎる、見覚えがありそれは自分が一昨日風呂に入ろうとした時に出来たそれであることを思い出すとそれを追いかける。
「もうちょっと速度落として! ついていけないから!!!」
返事が返ってくると思わないがそう呼びかけ、案の定返事は返ってこないが遅くなった気がするとカリナは思いながら走る、その球体はとても速く動いていてカリナが見失うかどうかといったところだ、走っていた時間は三分も無かったが全速力で走っていたのでカリナは体中から汗を滝のように流して停止した球体を見上げていると突然背後に何者かが降り立つ音が聞こえた。
「う…動かないで」
背中を先ほどまでかいていた汗とは違う冷たい物が流れる。明らかに首元に刃物を当てられている感触と刃物特有の鈍い鋼色を見て喉から音がなる。
「子供だからって手加減しないから………お願いだからこのまま何もしないで帰って」
手加減しないと口では言っているが声色から明らかに同様が感じ取れる含みがあり少しカリナは少し落ち着きを取り戻しよく観察すると喉元に置かれているナイフが少し震えていることに気がついた、言葉からしてもこのまま帰れば何もしないということは逆に言えば帰りさえすれば無傷で返してくれるという事だ。
「お、お姉さん傷大丈夫だった?」
「ッ!? な、なんでそのことを知ってるの…!」
後ろから驚いた声を上げるのを聞いて姿は見えないが自分が助けた相手だと解った、もしかしてとは思っていたがやはりそうかと思い直すとゆっくりと後ろに体ごと振り返る。
「動かないで!!!」
先ほどと同じ言葉だったが切羽詰まった声でどちらが追い込まれているのか解らないほどの声でそれは叫び声に近かった、それを受けて振り向き掛けてた体を一瞬止めると少しおどけたような表情を作る。
「お、オレ一応命の恩人なんだけどなー………なんて」
「えっ…?」
ナイフをおろしたのを感じて後ろを振り返る、空を溶かしたような瞳に涙をためている顔を見てほんの一瞬だが自分の妹のメリアを思い出し驚いた表情を作るがそんなカリナよりも驚いた表情をする目の前の女性は口を開くが何か言い出す前に口を閉じ、再度口を開くがまた口を閉じると言った事を繰り返していたのを業を煮やしたカリナは先程までナイフで脅されていたことを忘れて自分よりも背の高い女性に詰め寄る。
「ああもう! 何か言いたいことがあるなら言えよ!!!」
「ひっ! じ…じゃあ聞くけどなんで私を助けたの…?」
急に迫ってきたカリナに怯えた女性は声を上ずらせながらカリナに聞く、こんな相手に脅されていたのかとカリナは呆れるが特に考えもせずに彼女らしい答えを返す。
「血だらけになってる人を見たら普通助けるだろ?」
「ふ、不審に思って近づかないと思うけど………」
事実あそこにいたのがメリアやカリナ以外の子供に大人なら近寄らず不審人物かと思い疑うかそのまま通り過ぎるだろう、ハイエルフは多種族に興味が無い、良くも悪くも不干渉でありそういう性格をしている者達が多い、何事にも例外はあるが。
「ああそうだよ………どうせオレは変わり者だよ」
「え? えっ? なんで少し怒ってるの?」
「うるさいな! 怒ってないよ!!!」
「お、怒ってるよ…」
魔物から魔族になりたての女性にはまだ物事を察するだけの経験が足りていなかったので地雷を踏み込んだ事を理解できずに頭の中で慌て出す、目の前の自分よりも明らかに年上の癖に慌ただしく落ち着きがなく怯えながら視線を右に向けたり左に向けたりとする女性にため息を付くと女性に思っていたことを聞く。
「ねぇ姉ちゃんはどこから来たの? なんていうかさ…里でも話題に出てたからすぐにここから離れた方が良いよ」
それを聞くと先ほどまでの慌てていた表情を変えて少し困ったように微笑むとカリナの頭を優しく撫で始めた。
「私も速く離れたいんだけど警戒されてて下手に動けないの…後どこから来たかは言えないの、ごめんね?」
そう寂しげに言うと何かを思い出したようにまた慌て出す女性を見て凄く慌ただしい人だなぁをカリナは思うと突然自分と同じ目線までしゃがみこんで手を合わせて頼んでくる少女に驚き後ずさる。
「そ、その私のことは黙っていて欲しいんだけど…駄目かな」
「…んー、どうしよっかな~」
とても嫌らしく憎たらしい笑みを浮かべながら女性にすると突然涙を流し押し殺したような嗚咽を出し始めたので意地悪をやめて女性に訂正する。
「冗談! 冗談だから!!! ごめんなさい!」
「うっ………うっ…ほ、本当に? 嘘じゃない?」
「嘘じゃないよ、ごめんごめん」
軽く頭を書きながら反省するカリナに「良かったぁ…」と雨が降った後の満開に咲いた花ような笑顔に見とれるカリナを無視して両手を上に向けて魔術を唱えるとその体から黒い魔力が流れだす、驚き目を丸くしていると自分が出していた光の球体が周りを包み込み外と遮断する、それに目を奪われているといつの間にか何もない両手の上に黒い指輪が出てきた。魔術を唱え終えると周りを包んでいた白い空間は丸い球体に形を戻していく。
「うわっ! な、なにこれ…!」
「何って言われても………言わないでくれるお礼みたいな物だよ、そんな大したものじゃ無くてごめんね…」
そう言いながら見たこともない黒い魔鉱石で出来た指輪を右手の中指にとても喜びながらはめるカリナを見てとても穏やかな女神のような笑みを向ける。
「お、オレも魔術とか魔法がんばればこういうの作れる用になる!?」
「で、出来ると思うよ? ただ黒色のは出来ないと思うけどね…」
食って掛かるカリナに先ほどのように引き気味になり答える女性の言葉を聞いて喜ぶカリナを見ていると歳相応の少女のようだと笑い声を漏らす。
(言動は男の子っぽいけど、やっぱり女の子なんだなぁ…)
「姉ちゃん凄いね! 魔導とか得意なんだ!」
「えーと、私は得意な方じゃ無いんだけどなぁ…」
言葉通り種族的に苦手とも得意とも言えない微妙なもので困惑する、ハイエルフに言われても嫌味を言われているとしか受け取れないが目の前の少女はそういったたぐいのことを口にすることはないだろうと思う女性にカリナは興奮したように言葉を続ける。
「ねぇ姉ちゃん、オレに魔法とか教えてよ! オレもこういうの作れるようになりたいから!!!」
「えっ!? わ、私より里の大人の人に聞いたほうが確実だと思うよ…?」
「駄目だよ…皆オレには才能がないとか言うんだ………それにオレ勉強とか嫌いだしさ」
(才能がない? こんな魔法を出しておいて?)
カリナの言葉に困惑を女性は覚える、未だに自分達の真上を彷徨っている光の球体を見て思うが、明らかに現段階の自分に出せるものではなく、後数ヶ月はかかるだろう、攻撃などの戦闘に使うものではないが索敵に使える魔法で、しかも自分の知っている中に存在しないことからオリジナルの魔法だろう、それを出しておいて才能がない、見る目のないものしかいないのかそれともカリナが普段真面目に授業などを受けていないから誤ったレッテルを貼られたのか一人で考える、実際後者であるがそれを二人が知ることはない。
「…わ、私でいいなら教えようか? 里の人たちが警戒を解くまでで良いなら」
「うん! それで良いよ!!!」
そう元気に笑うカリナを優しい笑みで見つめる女性は魔族になって初めて落ち着いた気持ちを持てた。
最近妙に暑くなってキツイです…春なのか夏なのか微妙なこの時期は毎年思うんですけど本当に嫌いです、一番嫌いなのは真夏ですね、私は熱いの本当に我慢出来ませんから