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背の低い若い老婆の怒り

どうもー、速く主人公達を出したくてウズウズしてます、戦闘描写を書きたいから無理やり入れてしまった事を後悔してます

人々が行き来している大通りから離れ裏通りに入る、とても薄暗く色鮮やかな建物ばかりだった大通りと比べると汚れた薄いクリーム色のような建物が目立ってきた。ペンキで何やら意味不明な絵や文字が書いてある建物も少なくは無くひどいものになると女性の裸体が書いてあるものまであった、それを一瞥すると顔をしかめて通り過ぎ目的の老舗の本屋に向かう。


 「ああもうなんですのここは、いつ来ても不愉快な気持ちにさせられますわ」


 一人そう呟きながら歩いていると後ろからいくつかの視線を感じると背後に殺気を放ち威嚇する、一瞬で気配は消えて追ってきているような感覚も消えて少しばかり気分が楽になるとようやく目的の本屋が視界に入ってきた。

 本来白いペンキで塗装されていたのだろうが剥げ落ちて茶色い木の部分が大半を占めている、赤茶色の床に足を踏み入れて目的の人物を探そうと周りに目を向けると店主と思わしき老人と何やら毎度ながら無表情で話し合っているのが見えた。


 「これ買わせて欲しいんだけど」

 「はいよ、それにしても嬢ちゃん何時も難しい本ばかり買うね…もっと解りやすい歳相応の本は手に取らないのかい?」

 「あら? これも十分子供が読むような絵本だと思うのだけれど………違ったのかしら」


 誰がどう見ても分厚く読書好きの自分ですら読むのを一瞬ためらうような物を絵本と言い放つ童女の肩を叩く。


 「それが絵本なら学園の教師たちが持ってる教材はなんですの? 子供の絵日記か何か?」

 「えっ!? あれって子供の絵日記でしょ!?」


 無表情で声だけは感情を含ませベルナンドの方を見ないで抜け抜けと言い放つ姿に店主は苦笑いしながら本を渡しキュラエスは代金を支払うとベルナンドを無視して店の外に出歩こうとする。


 「ちょっとお待ちになって、私を無視して外に出て行かないでください」


 そういって呼び止めると何故か驚いたようにこちらを振り向き手を震わせて指を指してきた、次に言う言葉が大体予想出来るが違うかもしれないとわずかながら期待して待っていると相変わらず顔色を変えずに体まで震わせる。


 「いたの?」

 「ずっといましたわ! というか会話してましたわ!!!」


 予想通りの答えに怒りのせいで肩を上下させながら怒鳴ると鬱陶しげに分厚い本を脇に挟んで両手で耳を塞ぎ冷たい視線を向けるとやれやれと言いたげに首を左右に振るとこちらに向き直る。


 「それにしても久しぶりね、べ、べ………ホント久しぶりね」

 「貴女本当に人を苛立たせるの上手ですわ………」


 こめかみに一筋の線を作ると頬を引きつらせながら笑顔を作り相手に向けるがキュラエスはそれを無視してまたベルナンドを無視して一人城に向かい歩いて行く、もう呼び止めて会話をすることを諦めてベルナンドも駆け足で追いかけて肩を並べて会話をする。


 「それで? わざわざ貴族あなた達が嫌ってるここに来てまで一体何を話したかったの?」

 「あっ、一応話は聞いてくれますのね…」


 ただ話すだけで何故ここまで疲れないと行けないのかと自問自答しながらこの童女と積極的に会話できる自分の親友の懐の深さを再確認しているとキュラエスから放たれる視線に気付き慌てるような動作をしながら言葉を続ける。


 「パレードが中止されるのは一体何故?」

 「………毎回思うんだけど貴族なのに言い回しとか腹の探り合いとか貴女下手よね」


 下手というよりか自分にはどうせ出来ないからはじめからしないベルナンドに向かい呆れたような視線を向ける。変に探りを入れてくるのよりこういう毎回ド直球で聞いてくる方が扱いに困るキュラエスとしては悩みながら珍しく言葉を選んで口を開く。


 「経費削減って聞いてないの?」

 「そんな子供騙し信じる訳ありませんわ」


 頭のいい正直者ほど面倒な奴はいない、嘗て無謀にも挑んだ最強と言われた男を思い出して考える、よくある嘘と真実を織り交ぜた言葉を吐くのも良いがそれよりも効果的な言葉を口に出す。


 「悪いけど言えないわ」

 「ならしょうがないですわね………まぁ何か裏があると解っただけ良しとしましょう」


 そういうと一人納得して思考に入るベルナンドを見て改めて貴族には向かない人だと思いながら足を進める、あくまでも親友を信じてあまり深入りしないベルナンドの性格を知っていたからのらりくらりとかわせたが思ったよりも速くバレたと思いこれからすることを整理する。


 (これだけ速くバレるという事はやはり協会の内通者がいるか………全く最近変に忙しいわ…)


 金で買収されたかもしくは初めから向こう側だったのか解らないがいずれにしても情報が漏れてそこから貴族連中に出回ったか…自分に話をかけてくるということはなにか怪しいと思える情報はあるが一体それが何を意味しているのかは解らないと言うこと、つまり魔族が生まれたことはバレていないと決定づける。


 「はぁ、アリスもやっぱり教えてくれそうにないですわね」

 「私よりは口を割りやすいと思うわよ、意図的にじゃなくうっかり口に出してしまった程度だと思うけれど」

 「解ってますわ、なんせ親友ですから…それよりキャロルさんはお幾つなんでしょうか、私何時も気になってますの」


 見た目は幼い童女に見えるが姿どうりの歳なわけがなくこの裏通りで一人行き来して無事に帰ってこれる童女などキュラエスぐらいだろう、自分の知らない魔導を知り自分が知り合ってから何時も違った呪術関連の専門書というマニアックな物を好んで読むぐらいなので相当年上だとは気づいていた。


 「そうね、ざっと四千年ぐらいかしら」


 珍しく本当の事を口にするキュラエスだが当たり前か、当然いつもの冗談と受け取られて流れるが特に気になったわけではないがなんとなく思いついた事を口に出した。


 「なんで何時も呪術関連の物ばかりを? 誰かにかける予定でも?」

 「…そうね、それも楽しそうだわ今度アリスにでも試してみようかしら」

 「全力で止めますわよ?」

 「冗談よ、私は呪術だけは誰かにかけることが出来ないのよ」


 意味ありげに言うキュラエスから何か具体的にいうことが出来ない物を感じて追求することを止め別の会話に切り替えようとする。


 「あの、アリスに会いたいから城に入れてくれるように門番の人に言ってくれたら助かりますわ」

 「…本当に貴族らしく無いわね、貴女が入りたいと駄々をこねたら無理にでも入れるでしょうに」


 大通りに出て城まで後もう少しという狙ったのかどうか解らない絶妙なタイミングで頼み込んでくるベルナンドに対して本当に強運と思い直した、そんな駆け引きが出来るような性分ではないと解っているからあえて口には出さないでいるが。


 「そんなみっともないこと出来ませんわ、私これでもグラン家としての誇りを持ってますの」


 一瞬脱力感から無表情を崩しそうになるが顔に力を入れてそれを防ぎ城の門番をしている騎士達にことわりを入れて城に招き入れると胸元が白く赤色が目立つ鮮やかな服のスカートの端と端を掴んで優雅にお辞儀をして自分から遠ざかるベルナンドを見てキュラエスは常々思う、超劣化版のクロウベルだと、恐らくアレが普通の人としての感性を持っていればあんな感じに出来上がるのだろう、一度だけだが対話をしたキュラエスはそう思い自分の仕事をするために自分の部屋に戻るキュラエスを振り返ることもせずにそこら辺を探そうとして歩こうとしているベルナンドに声が掛かる、聞き覚えのある声で一体誰の声だろうと振り向くとそこには自分の親友の一人であるアリスがいた、こちらに向かいにこやかに笑いながら片手を振って歩いて目の前に止まるとベルナンドに向けて問いかける。


 「久しぶりだなメリィ、どうしたお前がここにいるなんて珍しい」

 「ええちょっと用事がありまして、キャロルさんに無理を言って入れてもらいましたわ」


 そう言うと何か考えるように顎の先を右手を鎧を着たままさわり押し黙る、そして何か思いついたようにベルナンドを見据えると言葉を続ける。


 「用事? 貴族のお前が城に用事か………もし良かったら教えてくれないか?」

 「パレードが何故中止になったのか貴女にお聞きしに来ました」

 「そういうところは友人として美徳に思うが、時と場所を選んでくれ…私が言えるわけ無いだろう」


 想像通りの言葉が返って来たからか特に落胆もせずにアリスの目を見つめるベルナンドに対しため息が漏れる、そして仕方がないと言いたげに踵を返して歩き出す。


 「ついて来てくれ、ちょうど暇になっていたところだ私と練習試合をしてくれ」

 「ええ別に構いませんわ…ただひとつ言いたいんですけど私は親友として貴女が心配なんです、いつでも頼ってください」

 (聞いてるこっちのほうが恥ずかしい…)


 恥ずかしげもなくそう語りかけてくるベルナンドからは見られないが羞恥で顔を赤くするアリスは時々通りすぎる騎士たちを睨みけん制する、面白そうに見てくる奴が悪いのだ、そう思いながら歩き普段騎士達が練習している中庭に付く、緊急事態の今普段のように練習をしている者はごくわずかで数えるほどしか見かけることが出来ない、そんな騎士達を無視して少し離れた所に立ち止まり自分の腰から剣を抜き手に持ち構える。


 「えっ? アリスその剣で練習試合を致しますの?」

 「………寸止めはするさ、それよりメリィ、教えて欲しいと言っていたな…私個人としてもお前に頼みたい事ではあるんだ………でも私にはそれを言うことが出来ない、だから今私は凄く迷っている、騎士にあらざる姿だという自覚もある」


 突然一人で語りだすアリスの言葉を何も言わずに聞き入るベルナンド、痛々しい笑みを零すアリスは自分の剣に目をやる、陽の光を反射して白く輝く無骨な剣、特に装飾を施されている訳でもないが自分にはこれぐらいがちょうどいいと思い手にとった剣から目を外しベルナンドを睨みつける。


 「もしも、もしもだが私が負けたらお前に事情を話そうと思っている、後でキャロルにしぼられるだろうがな」

 「………それは、お互いに傷つかない程度で本気を出して戦いたい…そうおっしゃってるんですの?」

 「私も不器用でな、こうでもしないと素直に人に頼めないんだ」


 電気が迸る音がベルナンドから発せられ全身から四方八方に微力な電撃が流れる、今から戦いを起こす者とは思えないような表情をアリスに向ける。


 「解ってますわ、なんせ親友ですから」





 青白い色とりどりの武器がアリスの足元から現れてその身を襲うが後ろに素早く跳躍し前方から迫り来る獲物を剣一本で全て薙ぎ払う、そうしていると左右から同時に白い色の雷で出来た長い胴体を持つ龍が突撃してくる、人一人簡単に飲み込んでしまえる大きさで含まれている魔力も相当の量だと一瞬で悟れる物が迫ってきていた。


 「っ! 甘く見るな!」


 全身から赤色に近いオレンジ色の気を放出すると右手に持っていた剣を前方に全力で振り迫っていた武器の数々を砕き壊すと前に走りぬけそれを回避する、あまりにでかい魔力のぶつかり合いで魔力が拡散し自分の着ている鎧に数箇所ひび割れが生まれる。


 「…甘く見ているのはどちらですか、私程度に苦戦する貴女じゃないはずですわ、アトラス最強の騎士の称号はそれ程に軽いのでしょうか」


 あからさまな挑発に乗らずに接近戦を仕掛けずに距離を保ったまま剣を構える、親友だからこそ相手のやり方が分かる、接近戦はこちらも得意ではあるがベルナンド相手にするには半端な手加減で突っ込めないのもあった。


 「…忘れていたよお前を相手に手加減をして戦うことの難しさを」


 軽口を叩きながら相手に剣撃を浴びせに行く、近、中、遠距離どこからでも攻撃をすることが出来る相手に遠ざかったままでは勝てるものも勝てない、そう思いながらベルナンドの両手に注意しながら攻撃するが手から青白いハルバートを出しこちらに交戦する、青白いハルバートから電気がこちらに向かうが自分に届きそうになったら全て距離をとって回避してまた突貫して一撃だけ斬りつける、ベルナンドはその威力からハルバートを手から離すがあえて攻撃せずに遠ざかる。


 「中々引っかかってくれませんのね」

 「当たり前だ、お前のアレを食らったら終わるからな」

 「何カッコつけあってるのよ」


 部外者からの声に反応してそちらを見るとキュラエスがため息をつきながらこちらに歩いてくる。


 「………ただでさえ忙しい時に変な騒ぎを起こさないで頂戴、昼寝も出来やしないんだから」

 「キャロルか、悪いが邪魔をしないでくれ巻き込んでしまうかもしれない」

 「死にたいの?」


 瞬間的にふたりともキュラエスから遠く距離を取る、今まで感じたことのない殺気を当てられて体が勝手に反応した結果だった、殺される。理由はなくそうとしか思えない二人を知ってか知らずか話を続ける。


 「…私が、この私が珍しくふざけもせずに自主的に仕事をしているというのに何を遊んでいるの? 危機感を持ちなさい」


 蛇に睨まれたカエルのように微動だにしない二人を見て苛立ちから少量の殺気を無意識ながら向けてしまったことに気づいがキュラエスはすぐにそれを収めると顔は無表情のままか確かめる為に手で少し触り変わっていない事を確認したら鬱陶しげに注意を再開させる。


 「ここで暴れたらどうなるかぐらい考えられるでしょ、何を物語の人物みたいに変な雰囲気出してるのよ、そういうものは子供のうちに卒業しなさい」

 「あ、ああすまない………」


 今までにないほどの剣幕で怒りを露わにするキュラエスに呆然としながら気の抜けた表情で謝るアリスを見てまるで悪戯がバレだ子供の用だと思いながら話を続ける。


 「…まぁ私が結界を貼っておいたから貴方達の暴走はここにいる人たちにしか知られていないわ、これに懲りたら速く仕事をして私を休ませて頂戴………全く、ここまで感情を表に出すなんて何年ぶりかしら」


 一人でブツブツ言いながらここを離れようとするキュラエスに今まで黙っていたベルナンドが謝罪を仕様と口を開く。


 「あの、キャロルさんすいませんでした…」

 「別に良いのよ、若者を叱るのも年寄りの仕事だわ…ほらアリス速く来なさい、貴女にもしてもらうことは山ほどあるのよ」


 言われるがままにキュラエスのそばに走って駆け寄るアリスを視界から外して悲しそうな表情をするベルナンドに一枚の封筒を渡す。


 「悪いんだけど仕事があるわ、かなり田舎の街で名前はギタルドという場所なのだけれどそこの近くのハイエルフの森にこれを持って行って、言っておくけど中は覗いちゃ駄目よ」


 そう言うとキュラエスはベルナンドに地下より無理矢理に近い形でそれを手渡す。


 「いえ、私はパレードが中止になった理由をですね…」

 「………恐らくそれに関係あるから速く行きなさい」


 口では恐らくと言っていたが少し前にハイエルフが襲われたと聞かされていたのでまず間違いなくいるだろうと思いながら言葉を付け足す。


 「なっ、聞いてないぞキャロル」

 「私は私で独自に動いてるのよ、どこかの誰かと違って」


 そう嫌味を言うと黙りこみ落ち込むアリスを無視してベルナンドに用事を頼む、実際人手不足であり先ほどのベルナンドとのやり取りで内通者がいる可能性が高くなったため外部の協力者が欲しかったところではある、ある程度自分に対しての危険を自力で振り払うことができ、口が固く信用できて不当な様々な圧力を受けず金で動かずある程度知恵が回る者、本来ならハイエルフの中で優秀な者達に任せるつもりであったが渡船として活用することにした、実際ハイエルフでは色々と目立つことがあるのでうまく事が運んだ結果になった。


 「なんでギルドに頼ったりしませんの?」

 「………貴女頭は良いのに物事を察する事が出来ないわよね…どこかの口下手な誰かに変わって貴女にヒントを上げてるのよ」

 「さっきから酷くないか? 私は私なりに悩んでいたんだ…」


 そう言いながら顔を伏せる、アリス自身今のままで問題を解決することが難しい事は理解していたのでベルナンドに頼ろうとしていた、だが立場上そう簡単に頼める事でもなく途方に暮れていた所に運が良いのか悪いのか、まず間違いなくベルナンドにしてみればタイミングがいい時にこの場を訪れたため冷静な思考が取れなかったと一人頭のなかで王に対して謝罪の言葉を長々と一人で語り続ける。


 「何回言わせるつもりなの、貴女は悩まないほうが良いのよ」


 先ほどまでの殺伐とした雰囲気は消えていつものようなやり取り二人がしだすとベルナンドはキュラエスに向かい先ほどまでの優雅な動作ではなくごく一般的な形で頭を下げて自分たちの目の前から走り去っていった。


 「………さっき言ってたのは本当なのか?」

 「ええ本当よ、まぁここから向こうにつくには2週間ほどかかるでしょうけど…」


 そういうと二人も仕事をするために部屋に戻る、ベルナンドは笑顔で家まで走って行く、白紙の紙を入れた封筒を持って。

なんか自分でも読みにくいなぁと思います、ゴチャゴチャしてますよね色々な事が絡みあいすぎて、もっと読みやすいようにしようと思ってるんですけど地の文も終盤に連れて明らかに少なくなって来てますし、やっぱ長い文章を書いてると根気が無くなって来ます…

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