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羊の皮を被った女性

どうも、いやーこの森で襲われるって展開王道で、しかも一回使ったのでなんか申し訳ないです…でも多分森が舞台になる事多いと思います、すいません

『リティ、もう薬草は十分摘んだと思うのが』

「もっと摘まないといけないんですけど、ここらへんにありませんね…」


 そう呟いて布袋に入れた薬草を見つめる、実際結構な量に達しているが、少しまだ足りない、この程度の誤差なら大目に見てもらう事はできるが、この程度で妥協したくないと思う気持ちが湧きあがる。

 しかし周りにある薬草は全て摘んでしまったので少し遠くに行かなければいけない、普段はもっと生えているが、ここ最近雨が降っていないせいで量が少ないのだ、元々特別雨が多い地方ではないが最近は晴ればかりだったのを思い出し悩む、これならもう少し時期を開けた方が良かったんじゃないかと思うが依頼主であるカルミィもそのことを解った上での依頼だと認識し直し頭を軽く拳とつくり殴るとグランディアから何時ものように声が発せられる。


 『ふむ、どうせならもう少し奥に行ったらどうだ? 一人人がいるようだがさして問題あるまい』

 「えっ、人がいるんですか? 珍しいですねここらに人がいるなんて…」


 実際ここらへんに人が来るようなことはそうそうない、町から少し離れている森ではあるが周りは木でおおわれており気を抜いたら迷子になる可能性も十分ある、子供が遊びに来て良い場所でもないし大人が立ち入るには理由がないため自分の様に薬草を摘みに来る以外では本当に意味が無い場所である、魔物も出ないため活用性が少ないのだ、ここに人がいるなら盗賊などと言った世間的に人と一緒に暮らすには問題がある者達だけだろう。


 『どうした進まないのか』

 「…そうですね、少し怖いけど行きましょう」


 少しオドオドしながら進むリティに対し何故怯えているのか解らないが口に出さず黙る、敢えて口にすることでもないし口に出したところでテンパるだけなのが目に見えているからだ。

 少し奥に進むと人が見えてきた、綺麗な通常ほどの長さの剣を腰に掛けた人物が茶色い長い髪を地面に垂らしながら何かを探している、後ろからなので良くわからないが自分と同じギルドの依頼で薬草を摘みに来たと判断したリティは後ろから声をかける。


 「あのー、何か探してるんですか?」


 声をかけると同時に後ろに跳びこっちに向かい剣を抜き構える、その眼は明らかに殺意が込められておりこちらを睨んでいる、どうやら後ろから声をかけたせいで警戒させてしまったようだ、盗賊と勘違いさせてしまったと思い顔を青ざめながら大きな声で謝る。


 「あ、あのすすすすすいません!」


 そう大声を出すと自身の顔に血が集まるのを感じ、深々と頭を下げる、先程までの殺伐とした空気が消え、女性が近づいてくる足音がする、草を踏み心地い音を立てながら自分に向かってくることを自覚するリティは体をこわばらせる、殴られるかもと考え目を瞑り歯を食いしばる、クロウベルが何か言っているが彼女の頭はそれどころではなく聞こえていないので無視をする形になっている、肩に手を乗せられる感触があり覚悟を決め顔に力を入れる。


 「………あー、えっと、そこまで謝らなくても良いよ?」


 そう頭上から聞こえる声には戸惑いが感じられ顔を上げると苦笑いしている女性の顔があった、髪と同じ茶色い瞳を力強くこちらに向け、自分と同じ白色の頬を引き攣らせている、その瞳を見て今まで気付かなかったがかなりの実力を持っていると自覚できた、何故なら雰囲気がクロウベルと少し似ていたから。


 「驚かせてすいませんでした………」

 「もう良いって…謝罪って言うのはしすぎると相手が困るからやめよう!」


 そう力強く言うと笑いながら自分の頭に手を乗せて力強くなで始める、ごつごつとした触感が伝わるのと同時にそれが掌にできたマメだと解ると同時にかなりの実力者だと悟る。


 「あの、な、何か探してるようでしたけどよかったんですか?」


 そう怯えながら聞いてくるリティに対し女性は豪快に笑いながらもう見つかったと言いながら手に持っていた指輪を見せてきた、相当の値が付くと想像できる光を見て極めて純度が高い魔鉱石だと認識することができた。


 魔鉱石は安い物から高い物があり、その質によって需要が変わる、質が低い物は電燈などの光を発する物や日常的に使用する家具に道具に使われている、質が高い物は職人の手によってアクセサリーに形を変え、形を変える構造で職人の魔力により様々な効力が生まれそれを身に着けていると魔法が使えないものが魔法を使えたり、自身の存在を薄くできたりなどの効力を持つ。

 彼女が指に嵌めている指輪は間違いなく後者であり、かなりの効力を持っている事がうかがいしれた。


 「た、大変でしたねそんな大切な物を無くすなんて…」


 そう聞くと少し困った笑顔をして、そうだねぇと言いながら肯定する、リティが一生稼いだ金額より高い指輪なのだ、そんな軽い態度で居られるのが信じられなかった。


 「すごいです! そんな指輪そうそう見た事ないですよ!」


 目を爛々と輝かせながら聞いてくるリティの目は尊敬の二文字が浮かび上がっており、女性が軽く引いているような態度であった、何時か欲しいと思っていた純度が極めて高い魔鉱石のアクセサリー、その輝きに目を奪われる様は年頃の少女そのものだ。


 「そう興奮しないで、まぁ私も赤色好きだから気に入ってるんだよね」


 そういうと手嵌めている指輪を見ると赤い魔鉱石から淡い光が漏れていた、恐らく何かしらの効力を発動させているのだろう、それを見ながら顔を渋らせる女性がリティに向かって質問をする。


 「その袋から漏れてる匂いから察するに薬草を取りにきたみたいだね、この先に生えてる場所あるから特別に連れて行ってあげちゃおう」

 「えっ、それは悪いと思うんですけど…」


 あの指輪から察せられるに腕に覚えのある人なのだろう、ギルドに所属している形跡がないため傭兵だと認識すると同時に断りをいれてしまう、傭兵は教会やギルドに属していないが、それ故に危険な依頼を受けそれを成功させる猛者たちである、何もない場所ではあるがこの付近の近くにいる盗賊団を潰しにでも来たのかもしれないと思いそう告げる。


 「実は少し暇でさー…私の暇つぶしに付き合ってくれるって事で一つ」

 「………え、ええっと、ならお願いします」

 「それからもっと笑った方が良いよ、君凄く可愛らしい顔してるんだから、ほらスマイルスマイル!」


 そういうと女性はじゃあ行こうかと言いながらこちらに背を向けて歩きだした、その背中を苦笑いしながらとても元気な人だと思いながらついて歩く、先ほど構えられた腰に掛けられている剣を見つめる、どう考えてもそこらで売ってあるような代物ではなく装飾はこれといって施されていないがその抜身の刃から反射される光を見るに明らかに業物、その剣からは自身が背負っているグランディアのような力は感じないがそこらの武器とは違う力強さがあった。


 『ふむ…リティよ、どうやら私達は少なからず警戒されているようだぞ?』

 「警戒してる?」


 思わず口から出てきた言葉に気付いて口に手を当てるが当然意味は無く、少し前を歩いていた女性が立ち止る。


 「………見抜かれるとは思わなかったなぁ」


 こちらを振り向き本当に驚いた表情を見せる女性にリティは申し訳ない気持ちになる、本来ならばクロウベルがいなければ解らない事であるが、彼の事は人に軽々しく言えることではない、よって無言という選択肢を取るしかないがそれでまた警戒させてしまうのではと頭を過る。


 「ほ、ほら私気が弱いからそういうのに敏感なんです!」


 若干声を震わせながら答えるが女性の瞳に疑いの色が宿る、だがそれで納得でもしたように小さくため息を吐いて前を歩きだした。

 それに安心し道を歩き出すとあることを思い出し、歩きながら目の前の女性に声をかける。


 「あ、あの………すいません、自己紹介がまだでした、私リティ・ヘルツって言います」


 目の前を歩きながらこちらを先導している女性は少しの間無言になり、幾らかの間が空いてから声を発した。


 「私の事はスレディで良いよ」

 「そ、そうですか………、スレディさんは盗賊団を倒しにここに?」

 「…んー、まぁ似たような事かな」


 そういうと付いたよ、と言い薬草の在処に到着した、川が近くに流れているせいか薬草がふんだんに生えており依頼の内容の通りの量が詰める事は明らかだ。


 「ありがとうございます、スレディさん」

 「良いよ良いよ、さっきも言ったけど私暇だったからさ」


 早速薬草を摘もうとしたリティだが足が動かすことができない、意味が解らず呆けているとクロウベルが呼びかけてくる。


 『グランディアを手に持って構えた方が良いぞリティよ、盗賊が潜んでいる』

 (と、盗賊!?)


 盗賊が隠れていると聞いて内心焦っているリティだがそれを表情は体で表現できない事実に恐怖を感じるが、それと同時に声が響く。


『私もお前の体をある程度操る事ができるから動きを止めた、今は慌てず、ゆっくり構える事だ』

(は、はい!)


 顔の自由がきくようになり真剣な表情をしながらグランディアを右手に持ち、周りに呼び掛けた。


 「い、いるのは解ってます! 出てきたらどうですか!?」


 声を震わせて明らかに怯えていると解る態度を出しながら周りに威嚇するリティにクロウベルは内心軽くため息を付く、それから数秒してから木の陰から人が数人顔を出しこちらに歩いてくる。


 「まさか気づかれるとは思わなかったなぁ、嬢ちゃん見た目の割に中々やるみたいだ」


 盗賊の一人が軽く笑みを浮かべながらこちらに語りかけてくる、全員で7人の人数に囲まれて緊張に恐怖で手汗がグランディアを掴んでいる手からにじみ出てくる、背中にも汗が大量にあふれ出てきて顔色も悪くなっていると自覚できる程だった。

 通常ならば、そんな小娘一人ならば一斉に飛びかかっているだろう、実際に何時もそうしている、だが今回はそれが盗賊達にはできないでいた。


 「………本当に不思議だなぁ、戦い慣れてるのに戦い慣れてないなんてさ」


 小さく笑いながら膨大な殺気を噴き出している者がいるからだ、スレディから発せられる殺気はまさに一瞬で触れてはいけない人物だと認識するには十分であった、だからこそ、隣にいるリティの異常性がこの場にいるリティにクロウベル以外には認識できた。

 通常ならば間違いなく卒倒しかけている殺気、現に多少腕に覚えのある盗賊達ではあるが顔が青ざめ体を動かすことができていない、それに対し真横にいるリティは幾らか緊張してはいるがその程度ですんでいるのだ、それこそが異常に思えた、年端もいかないただの少女に見えて、大の男立ちをひかせるほどの殺気を浴びてなお普通でいるのだから。


 もっとも、クロウベルが緩和していなければ間違いなく気絶しているのだがそれは誰も知らない事である。


 「………? こ、ここ、来ないんですか?」


 声を上ずらせ度盛ながら呼びかける少女に対し盗賊の一人がしびれを切らしとびかかる、隣にいた仲間が止めに入る声すら無視し少女に突撃するが、その体は鮮やかな抜刀による一閃により切断された。


 「まぁ、ね、実力差が解ってくれたら嬉しいんだけど?」


 そういいながら楽しそうに笑うスレディに恐れをなして全員が一斉に後ずさる、仲間だった者を見ると動体が真っ二つに綺麗に分かれており決して力技だけでわなく長年かけて培ってきた技量が知れる、仲間がものいわぬ肉になる瞬間すらもこの場にいるクロウベル以外には認識することができない、明らかに常軌を逸脱している業、神速と言える速度に冒険者から奪ってきた鎧をいとも簡単に、バターのように切り裂くほどの筋力、全てが規格外だとしれた。


 『ふむ、あの者が敵でなくてよかったな、今のお前では手も足もだせまい』

 (言われなくても解ってますよ!)

『恐らく私が生きていた時代でもそれなりに名が通っていただろう』


 そうクロウベルと頭の中で話し合っていると盗賊達が一斉に背後を見せ走り去って行く、その瞬間でこちらに盗賊の一人が小型ナイフを投影してくる、咄嗟の事で何も反応ができないリティは思わず瞼を強く閉じてしまう、だがいくら待っても痛みはやってこない、恐る恐る瞼を開いてみると自身の左手の薬指と中指の間に小型のナイフが挟まっていた。


 『投影の基本ができていない、隙をついて投げる速度も技量も妥協点だ………が、殺気がまるで隠せていない、これではどこに、どのタイミングで投げるか相手に親切に教えているようなものだぞ?』

 (そんなこと言われても私にはわかりませんでしたよ…)


 そう頭の中でクロウベルに愚痴ると隣のスレディと目が合う、その眼には好戦的な色が宿っておりこの類の瞳をリティは前に見たことがあった、そうちょうどヘクトルが楽しそうに強い魔物と戦ったという話をしていた時に似ているのだ。


 「リティ、君見た目のわりになかなかやるねぇ、どう? 私と軽く汗でも流さない?」


 その身からあふれる絶大な気が明確な力を醸し出していた、それと同時に恐怖が体を襲う、先程の戦いを見ていてもどう考えても自分がまともにやりあえる相手ではなく、むしろまともに戦えると思う物がいるならそれは死にたがりにすぎないだろう、口調こそ練習試合のように受け取れるが場に浸透している空気が否定する、これから始まるのは紛れもない殺し合いなのだと。


 「す、スレディさん、私と貴女が戦う理由がないじゃないですか!」


 それを聞くととても楽しそうに笑うスレディ、クロウベルは経験上この手のタイプは話で説得するにはかなりの情報に知略を巡りあわさなければいけない事を知っているが、経験が皆無に等しいリティにそれを悟れというのも酷な話でもあると敢えて黙っているとスレディが軽く笑いながら楽しそうに語りかけてくる。


 「リティ、私本当はスレイヤ・ゾルディーって言うんだけどさ、流石にギルドに入ってるなら知ってるよね?」

 「えっ………!?」


 驚愕をすると同時に避けられない戦いだと悟る、盗賊で強者や金持ちからしか盗みを働かないと言われる変わり者、だが狙われた者は確実に盗まれると言われる程の強者であり、隣のメイジス帝国の騎士団と互角の戦いを演じたと言われる女。


 「じゃあ、そろそろ始めようかな!!!」


 そういうと共にスレイヤは自身の体を気で強化する、目で見えるほどの高密度な気をまさにまんべんなく、そして無駄なく強化を施し手に持っている剣をこちらに向け抜き放つ、本来リティには捉えられないスピードではあるが何故か知覚できると同時に走馬灯が頭の中を駆け巡る。


 (―――あっ、死んじゃう)


そうあっけなく思うと同時に空気の激しい抵抗を受けながら白く美しい抜身の刃はリティに向かう。

今日は私の好きなオレンジ味の飴を食べながらだったから楽しかったです、普通はパイン味だけの種類の飴なんですが、あるスーパーにしかオレンジ味バージョン売ってないからそうそう食べれないんですよね………

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