青年が消えた後の世界状態
はじめまして。
「おじいちゃんの、嘘吐き」
「……」
かつて、柱のことを間違って認識してきた今の老人たち。彼らは今の若者たちにこれでもかというほど責められている。だが、それが正しい行動でもあり、また、間違った行動でもあった。柱のことを分かっていないことに年は関係ない。時代も関係ない。関係あるのは、ヒトそのものだから。
「そうして、人と人の関係はどんどんねじれていきました。おしまい、おしまい」
「そんなことがあったんだね」
市場に近い家に住む三人家族。彼らは、ある程度、頭の回転が速くなってきた愛しい我が子に柱のことを教えていた。それは間違いではなく、真実。
「あんたは幸せなんだよ? 柱のことが分かってから生まれたんだから」
「そうだぞ。いいか? 目に見えていることだけが真実だけじゃないってことだ。しっかり、細かいところまで見ないといけないっていうこと」
「うん」
これは、青年が消えた後の人々の会話。
そういうこと。