ゾンビ化少女が助けた女の子に好かれる話
この世界は地獄だ。
血湧き肉躍るの本当の意味とは違うが、この光景を見ればそう言いたくもなる。
血飛沫、臓器を喰いちぎる踊る死体たち、断末魔の叫びをあげながら喰われる人間たち。
どれだけ己の無力さを嘆いても助けられない
……最期に考えることが家族じゃなくてこれって終わってんなぁ私
「うぐ、あがががが」
バギグギバギバギ
「起き上がるぞ、殺せ!!」
「……ア、アァ……ヴェ?」
身体が思うように動く、なんで……これなら人間を食べなくて良いんじゃ!?
まずは急いで声を出さないと殺される、もう死ぬのは嫌だ
「ころざないで!!」
さすがに起きたばかりで、まだ上手く声が出ないか
「こいつ喋りやがって人間気取りかゾンビ」
「殺すのは待て、こいつは利用できそうだ」
「あ……ありが……とう」
一応感謝は伝えたが、この人たち私を利用するだけ利用して殺すつもりだ。
どうせ利用されるならゾンビ化を治す薬のために研究者に利用されたい。
「わ、私がこの辺りのゾンビを殺す。だからあなたたちは邪魔をしないで」
「ゾンビがいい気になってんじゃねえ!! 今すぐ殺され……」
バァン!!
「やかましい奴がすみませんね。そうしてくれるとこっちとしても助かります、お願いしますね」
私は外にいるゾンビを殺す。助かるためには今は仕方ない。
「ヴヴァァルルルル!!」
ゾンビたちは私を狙わず、近くにいた人間を狙った。
「いやだ、来ないでよ。いやぁぁぁぁ」
ガブリ
「大丈夫……ですか」
「ありがとうございます?」
そりゃあゾンビに助けられたら疑問形にもなるよね。
「お礼はいいから早く逃げろ!!」
逃した人はすぐに喰われてしまった。
「少しぐらい待ってやれよ、お前らも元々は人間だろうが」
あの身体じゃゾンビ化せずただ死ぬだけだな。
せめて使える部位は使わせてもらうよ。
少しでも関わりが持ててよかったよ
「ありがとな、安らかに眠ってくれ」
絶望の表情で死んでいる人間に安らかに眠ってくれ……か、何言ってんだろうな私は。
どうせゾンビになるならアイツらみたいに延々と同じ行動を繰り返す壊れた機械みたいになりたかったよ。
どうして私だけ人間みたいになっちまったんだか……こんな地獄、早く終わらないかな。
また昔みたいにみんなで笑ってご飯を……って知り合い誰も生き残ってないんだった。
「あははははは……私だけ仲間はずれか、ゾンビからも人間からも……なんで、なんで私だけ!!」
「あらあら、間違えちゃったみたいね。ごめんなさいね」
「誰だアンタ」
「私? 私は人間たちのいうところの神様ってやつかしら」
「その神様が何のようだよ」
「いやぁね、元々このウイルスを落とす世界を間違えちゃったのよ。ごめんなさいね。だから偶然自我のある貴女を転生させてあげようと思ってね来ちゃった」
「はぁ? 何言ってんだこのボケナスは、私たちみたいに頭腐ってんのかよ」
「そういうこと言っちゃ、メッなんだから…………口の聞き方気をつけろよ滅ぼすぞ塵芥が。あらやだ私ったら、オホホホ」
こいつ間違えたんじゃなくて滅ぼす気でわざとだったんじゃ
「貴女を転生させましょう。そ〜れ」
「ちょっと待って私、何も言って…………」
「貴女に拒否権はなくってよ……なんかちげぇけど、まあいいか」
パチン
「なんでこんなところに魔物が!?」
「私は魔物じゃない……って言ってもこの身体じゃ信用できないだろうけど」
私が弁明しているとものすごい勢いで走ってきている子が突然三角定規みたいにお辞儀してきた。
「……先日は助けていただきありがとうございました!!」
「魔物に頭を下げないでください勇者様!!」
「もしかしてすぐ喰われたあの子」
「……はい、あなたに助けていただいたのにすぐに喰われて殺された私です」
あの子が生きてるなら無理やり連れてこられた甲斐もあった……のか?
「勇者様を助けた魔物ですか、一体どう接すれば良いのか」
「別に私のことは気にしなくていいから」
私はそういって町から出た。
まあ、あの子が私を追いかけてきたのは言うまでもないんだけど。
「私はあなたと旅がしたいんです、置いていかないでください!!」
「なんでそんなに私に執着するんだ、あの一時しか関わってないだろ」
「私が死んだ後祈ってくれた光景をみたので落ちちゃいました」
「何に」
「……言わせないでください」
「まさか恋か、嘘だろそれだけで落ちたのかチョロすぎないか!?」
ガーン……しゅん
「なんか耳と尻尾が見える」
「ダメですか」
「驚きはしたけど、好いてくれたことは正直言って嬉しい。だけど私はゾンビだぞ、ゾンビと人間が上手くいくわけないだろ」
「ゾンビはこっちでいうアンデッドです。ならば人間に戻せる方法が必ずあるはずです!! それを一緒に見つけましょう」
これは何を言ってもついてくるやつだな、仕方ない
「分かった、ついてこい……名前は何だ」
「ありがとうございます!! 私はリエです。それならあなたの名前も…………」
この物語はゾンビになった私と人間のリエの恋物語……になるのか?
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
ゾンビの女の子の話が思いついたので書きました




