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◆書籍化進行中◆【選書魔法】のおひさま少年、旅に出る。 ~大丈夫、ちっちゃくても魔法使いだから!~  作者: ひつじのはね
第四章

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83 思わぬ獲物?

「えっ? ディ――」


遠くにいたはずのディアンが、振り返ったすぐ先にいて。

こちらへ手を伸ばしたのが――水しぶきの向こうに見えた。


どぷん、と音が消えた。

真っ暗な中、じゅわわと立ち上る泡が場違いなほど静かに耳元に響く。

引きずられる背中で、カチャカチャ鳴る石の音だけが大きく聞こえた。

冷たい、と思った瞬間。

波紋のように体に伝わった鈍い衝撃と、急激な浮上。

ばちゃばちゃと水を滴らせて、身体が掴み上げられた。

かふっと、呼吸が再開される。


「――ッ」


ガッと顔を掴まれ、月明かりの中わずかに浮かぶ橙と視線が合った。

珍しく上下する肩と荒い息を見て、慌てて雫の滴るまつ毛をこする。


「僕、大丈夫! ご、ごめんね……ありがとう」

「は……」


ふっと力を抜いたディアンのせいで、派手に川の中へ落ちて水しぶきと悲鳴を上げた。


「冷たぁっ! うう……もうずぶぬれだね」

「誰のせいだ」

「僕だよ?! ごめん、ディアンも濡れちゃって。グリポンもごめんね、びっくりしたよね」


急に視界から消えたもんだから、グリポンはさぞかし驚いただろう。肩に舞い降りたグリポンが、小さな前脚でぺぺぺ、とほっぺを叩いている。怒ってるのかな。

 

一体、何がどうなったんだろう。ゆらゆらする川の中、立ち上がって袋を確認した。

良かった、無意識に握りしめていた袋は、ちゃんと幽霊茸を閉じ込めている。

僕から手を放したディアンが、川に突き立っていた剣を引っこ抜いて腰に収めた。

あれは魔物……だったのかな。

真っ黒に見える川の中には、何がいるのかさっぱり分からない。ただ、一瞬で結構引きずられたとはいえ、今も僕の太ももまでしか深さがないもの、そんなに大きな魔物がいるわけじゃない……はず。


「早く出ろ」

「うん、あの、それ何?」

「魚」

  

ディアンはその一言だけで、覗き込もうとする僕を足でぐいぐい追い立てた。なんで足! 片手、空いてるよね?!

仕方なく先に河原へ引き返すと、ディアンが何かを引きずりながら上がってきた。


「うわあ……これ、魔物なの? 僕を食べようとしたの?!」


あの時、何かが一気に僕の足を引っ張ってひっくり返した……と思う。

無造作に転がされたのは、脳天を貫かれて息絶えた、ずんぐりした黒っぽい生き物。

鱗はないけれど、足はないしヒレがあるから、やはり魚の一種だろうか。ものすごく口が大きくて、歯はなさそう。ムチのようなヒゲが生えている。

でも、体長は僕と大差ない。魚としては大きいけれど……。


「いくら口が大きくたって、さすがに僕を丸のみは無謀だと思うんだけど」

「どっちにしろ、お前は溺れて死ぬけどな」

「理不尽!!」


そんな無駄死に嫌だ。どうせならちゃんと食べて?!

だけど、あのままだったら。何が起こったか分からないまま、足を咥えられて深みに引きずられてしまったら。本当に……そうなっていたかもしれない。


「浅瀬だからって、油断できないんだね……。こんな魔物がいるなんて」

「魚だっつったろ。魔物じゃねえ」

「え?! 魚が僕を食べようとしたの?!」


さすがにチャレンジ精神が旺盛すぎる。ぼ、僕だって、びっくりはしたけど、溺れてしまうまでにはきっと……きっと魔法を使えたはず。水中だから無詠唱限定だけども。

魚にくらい、勝てたはずだ。


「魔物だったら、最初のひと噛みで足持ってかれてるけどな」

「そ……っか。ごめんね。ありがとう。僕、早く上級の回復魔法覚えるね」

「そっちじゃねえな?!」


目を剥いて怒鳴られ、首を竦めた。

だって……僕が警戒できるようになるより、そっちを習得する方が早そうだし。

ふるりと体が震えて、思わず両腕を擦った。


「ディアン、早く着替えよう。病気になっちゃう! ここで火を焚いてもいい?」

「勝手に着替えてろ。先にコイツを解体する」

「じゃあ、ライトと火をつけるよ?」


ダメとは言わないので、多分OKなんだろう。

いい感じの丸太を取り出して火魔法を使うと、赤々と燃える炎で一気に空気が熱せられた気がする。


「……なんでもかんでも持って来んじゃねえ」

「え? 必要だと思ったんだけど……役にたったでしょう?」


にこっとする僕に、ディアンが深々と溜め息を吐いて解体にかかる。

ダメなんだろうか。だって薪は必要でしょう……。いちいちたくさんの薪を用意するより、手ごろな丸太があればいいと思ったのに。

次は持ち物からディアンと相談しよう、と心に決めながらライトの魔法を浮かべる。

どのくらいあればいいかな。2つ、3つ……と浮かべていくうち、『そんなにいるかよ!』と怒鳴られた。


「お魚の解体ならやったことあるから、僕がやるよ! そんなに固くないよね?」

「てめえに任せたら朝になる」

「うっ……じゃ、じゃあ僕鮮度が落ちないように凍らせようか? あっ、食べるんだよね?」


魔物でもないのに解体するってことは、そうだろうと思って首を傾げる。

初めて手を止めたディアンが、こちらを見た。


「食う。ただこいつは、すぐ鮮度が落ちる。なら、やってみろよ」

「うん! 美味しくなくなったら嫌だもんね!」

 

俄然張り切ってディアンに張り付くと、切り分ける側から氷に閉じ込めていく。このまま収納袋に入れれば、朝まではもつはず。その後はまた僕が凍らせればいい。


「――早いね、あっと言う間だ」

「こんなもんに時間かけてられるか」  

 

剣を使ったざくざく解体で、河原に残されたのは、既に骨と内臓。

これは捨てていくのかな、と思ったら、収納袋がある場合は一応持って帰るらしい。


「何に使うの?」

「知らねえ。料理に使う時もあるし、ギルドで買い取られる時もある」


言いながら内臓を掻きまわし、何かを取り出した。

ひと際大きな臓物は、袋のよう。


「それ何……あ、胃袋? そっか、何か食べてるかもしれないもんね」


頷いたディアンが、ゆっくりと胃袋を絞るように中身を押し出していく。

ある程度膨らんでいたそこから、ぼたぼたと色んなものが絞り出されてくる。


「お魚と、何だろ、魔石? もしかして小型の魔物を食べたの……? 凄いね」


魚自体に魔石はないけど、こんなこともあるんだな。

魔石どころか普通の石も入っていて、なんて悪食なんだろうと見つめる中、ごろりと手の平大のものが出て来た。


「こんな大きな石まで……あれ?」


つん、と触れると弾力がある。

少なくとも石じゃない。水魔法で少し洗ってライトを近づけると、楕円の片方が丸く片方はやや尖って……もしかして卵?


「何の卵だろ? 鳥の巣から落ちて流れて来たのかな?」


さすがに魚の胃袋から出て来た卵は、食べられないよね。

火土更新だったのに!間違えました!!

投稿しちゃってから気付いた!!!!

うう……時間ないのに……( ノД`)シクシク… 

よ、よろしければブクマや感想・評価で応援していただけるととても嬉しいです……

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― 新着の感想 ―
読み手にとってはですが ご褒美更新有難う御座います(o^^o) ルルアの事気になっていたので ホッとできて良かったです☆ ディアンとリトさんは 多分似たような感覚で 保護者会話になる気がします(*…
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