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◆書籍化◆【選書魔法】のおひさま少年、旅に出る。 ~大丈夫、ちっちゃくても魔法使いだから!~  作者: ひつじのはね
第四章

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76/141

76 休日

「――アァ? やるに決まってんだろ! ただ、貢献度がバカ高ぇから、どのくらいになるかはまだわかんねえよ」

「えっ……そ、そっか!」


ちら、と見上げたディアンは、『だろうな』という顔をしている。

分かってたんなら言ってくれても良かったんだよ?! わざわざ強請る必要はないって。

何かあった時のために、と高めていた魔力を霧散させる。


「……圧迫感消えたな? てめえ、なんで臨戦態勢だった?」

「な、なんで分かっ……あっ」

「おいディアン……。お前、もうちょいコイツを躾けとけよ……お前より危ねえじゃねえか」

「俺に言うな」


昨日よりもさらにスムーズになったギルド内で、ギルマスさんが深々と溜め息を吐いた。

すごいな。戦闘に慣れている人って、そういうことも分かるんだね。

バレると思ってなかったもので、申し訳ないことをしてしまった。ちゃんと対応しようとしてくれていたのに。

しゅんと項垂れて頭を下げる。


「ごめんなさい……。僕、もしダメだったら、もう強請――」


ばっしと口を塞がれて、慌ててディアンを見た。


「余計なこと言うんじゃねえ。ああいうのを、マジに取るな」

「え、あれはマジじゃなかったの?」

「ほう……詳しく聞こうか? 何を吹き込まれた?」


わあ怖い。

ぐっと覗き込む好青年が、全然爽やかじゃない顔で笑みを浮かべている。

舌打ちしたディアンが、僕を引きずるようにギルドから脱出した。


「――ごめんね。でも僕、ディアンのことを言ったりしないよ?」

「馬鹿か。お前が言わなくても分かるわ」


なるほど……それは盲点だった。

でも、ひとまず通常以上にランクアップポイントはもらえそう。まさか、こうなるとは思わなかったけれど、結果オーライというやつだろうか。

 

そのまま2人で町を歩きながら、昼食は買って帰るか町で食べるか、なんて話をする。

ディアンと町を歩くのって、久しぶりだ。


「ねえ、今日は討伐に参加しなくていいの?」

「あんだけ連続で駆り出されたんだ、休みくらいある」

 

強制徴集だったもんね……。きっと、脅威度が下がっているってことでもあるだろう。

師匠とヴェルさんのことは、ギルマスさんも知っているから、たまに目撃されるヴェルさんも大丈夫そう。多分、普通にヴェルさんに攻撃が向いてるんじゃないかなと思うけれど、ヴェルさん強いからなあ。

きっと、美味しそうな魔物を物色しては持ち帰ってるんだろう。

全然部屋から動かなかった師匠だけど、きっとヴェルさんに言われてお肉を食べているに違いない。ヴェルさん、怒ったらガブ! っとやるから。


ふふ、と笑った僕を見下ろして、いつものように『変なヤツ』と言わんばかりの顔をされる。


「今のは、ヴェルさんと師匠のことを考えていたから! 何も変じゃなくて!」

「……そうかよ」


あれ? 

ふいと視線を逸らしたディアンが、思ったのと違った。

てっきり、また師匠の話題で舌打ちでもするかと思ったのに。

少し目を見開いたその表情は、『驚き』だったろうか。


「どうかした?」

「はあ? 何もねえよ」


いつも通りのディアンを不思議に思いつつ、にっこり笑う。


「そっか。ディアン、今日お休みなんだね! じゃあ一緒に町歩きできるよね?」

「……まあ」

「やった! じゃあディアン、今日は僕といる日ね?! パーティなのに全然一緒にいないんだから!」


せっかくパーティを組んで、部屋も一緒なのに、思ったよりも顔を合わせる時間がないんだもの!

こんなんじゃ、中々ディアンも僕に慣れてくれないよね。

……なんでだろう。僕はこんなに慣れたのに。


ちょっとばかり不公平を感じつつ、溢れる笑みをそのままに見上げた。

おや、またじっとり見下ろされている。


「あのね! 今は、ディアンと過ごせることを喜んでるけど?! 分かるでしょう?!」

「……そうかよ」


僕、分かりやすいと言われる気がするけれど。そんなに分かりにくい?

首を傾げたところで、ディアンがさっさとお店に入ってしまった。

え、そのお店に決定?

食べ物のお店には違いないだろうけど、入ったことはない。というより、僕は露天以外で食べたことがない。


「ね、ねえディアン、僕が入っても大丈夫なところ? 僕、お店で食べるの初めてなんだけど」

「は? 入ったことねえ?」

「ないよ。だってディアンとこうして食べることって、なかったでしょう」


そわそわしながら見回した店内は、木製の壁と床、木のテーブルとイスが無秩序に並んでいた。

思ったよりたくさんの人が好き勝手話して、ガチャガチャ、ぎしぎし、色んな音といろんな匂いがする。

視覚も聴覚も嗅覚も、全部で『雑多』を訴えてきている。


「うわあ。なんだか、すごくごちゃっとしてるね……」


つい素直な感想が溢れた時、ふっと吹き出した声がした。

え、と見上げたディアンは、いつも通りの不愛想。そしてぐい、と強制的に顔の向きを変えられた。

……そんなに可笑しかったろうか。


大人しくディアンにくっついて空いた席へ着くと、なんだかてらてらしたテーブルを撫でてみた。

最初は平だっただろう表面は、色んな傷ですごくガタガタしている。しているけど、角が取れて滑らかだ。

どうしてこんな、テーブルをナイフ投げの的にしたかのような傷がつくんだろう。


「テーブル見てねえで、食うもん決めろ」

「あ、うん! でも、どうやって? メニュー表は?」


レストランでは、メニュー表があると書いてあった気がするけれど、テーブルの上には何もない。


「そんな上品な店かよ」


肩を竦めたディアンが、長い指でカウンターを指した。

何を指しているんだと視線を彷徨わせ、立てられているボードを発見した。

なるほど、あそこに書いてあるのがメニューか。


「あの、ディアンは何を……?」

「肉とパン」


何それ、と思ってもう一度見たら、本当に書いてあった。

分かりやすいけども。


「じゃあ、僕もそれで……」


言い終わる前に、ディアンが周囲に視線をやった。

途端、お盆にいっぱいお皿を乗せたお兄さんが飛んできた。


「はいよ! 注文は?」


勢いに驚いていると、じっとディアンがこっちを見ている。それを見たお兄さんも、じっと僕を見る。


「あっ?! え、ええと、肉とパンを!」

「俺も」

「はいよぉ、『肉とパン』、2ぁつー!!」


でっ……かい声。

振り返ったお兄さんが厨房へ叫んで、厨房からも怒鳴るような声が響いてくる。戻ってから伝えるんじゃないのか。

僕、こんな大きな声聞くことがなかったから。

びりびりするような声に首を縮こめ、元気に立ち去るお兄さんを見ていた。


「……怖ぇのかよ。垂れてる耳が見えんだけど」

「え?! 怖くないけど! びっくりしただけ」


耳ってなに。

むくれて見上げたディアンの橙は、いつもより少し、柔らかい気がした。

選書魔法、現在火木土更新ですが、次回から火土更新に変更予定です!

もふしら:3日ごと(2日空き)

デジドラ:日曜

選書魔法:火土


という感じになります~! 

あんまり更新多くても……読むのも大変じゃないです??

つまり……全部読んでね!!(笑)

*繁忙に合わせ更新ストップすることもあるかもです。

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とっても可愛いルルアとグリポンをぜひご覧ください!
ディアンかっこいいですよ!師匠もね!!

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― 新着の感想 ―
読むのは全く大変じゃありません! 全部毎日更新でも嬉しいくらいです! でも無理しない続けられる頻度で末永くお願いします(^^)
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