表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆書籍化◆【選書魔法】のおひさま少年、旅に出る。 ~大丈夫、ちっちゃくても魔法使いだから!~  作者: ひつじのはね
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/78

76 休日

「――アァ? やるに決まってんだろ! ただ、貢献度がバカ高ぇから、どのくらいになるかはまだわかんねえよ」

「えっ……そ、そっか!」


ちら、と見上げたディアンは、『だろうな』という顔をしている。

分かってたんなら言ってくれても良かったんだよ?! わざわざ強請る必要はないって。

何かあった時のために、と高めていた魔力を霧散させる。


「……圧迫感消えたな? てめえ、なんで臨戦態勢だった?」

「な、なんで分かっ……あっ」

「おいディアン……。お前、もうちょいコイツを躾けとけよ……お前より危ねえじゃねえか」

「俺に言うな」


昨日よりもさらにスムーズになったギルド内で、ギルマスさんが深々と溜め息を吐いた。

すごいな。戦闘に慣れている人って、そういうことも分かるんだね。

バレると思ってなかったもので、申し訳ないことをしてしまった。ちゃんと対応しようとしてくれていたのに。

しゅんと項垂れて頭を下げる。


「ごめんなさい……。僕、もしダメだったら、もう強請――」


ばっしと口を塞がれて、慌ててディアンを見た。


「余計なこと言うんじゃねえ。ああいうのを、マジに取るな」

「え、あれはマジじゃなかったの?」

「ほう……詳しく聞こうか? 何を吹き込まれた?」


わあ怖い。

ぐっと覗き込む好青年が、全然爽やかじゃない顔で笑みを浮かべている。

舌打ちしたディアンが、僕を引きずるようにギルドから脱出した。


「――ごめんね。でも僕、ディアンのことを言ったりしないよ?」

「馬鹿か。お前が言わなくても分かるわ」


なるほど……それは盲点だった。

でも、ひとまず通常以上にランクアップポイントはもらえそう。まさか、こうなるとは思わなかったけれど、結果オーライというやつだろうか。

 

そのまま2人で町を歩きながら、昼食は買って帰るか町で食べるか、なんて話をする。

ディアンと町を歩くのって、久しぶりだ。


「ねえ、今日は討伐に参加しなくていいの?」

「あんだけ連続で駆り出されたんだ、休みくらいある」

 

強制徴集だったもんね……。きっと、脅威度が下がっているってことでもあるだろう。

師匠とヴェルさんのことは、ギルマスさんも知っているから、たまに目撃されるヴェルさんも大丈夫そう。多分、普通にヴェルさんに攻撃が向いてるんじゃないかなと思うけれど、ヴェルさん強いからなあ。

きっと、美味しそうな魔物を物色しては持ち帰ってるんだろう。

全然部屋から動かなかった師匠だけど、きっとヴェルさんに言われてお肉を食べているに違いない。ヴェルさん、怒ったらガブ! っとやるから。


ふふ、と笑った僕を見下ろして、いつものように『変なヤツ』と言わんばかりの顔をされる。


「今のは、ヴェルさんと師匠のことを考えていたから! 何も変じゃなくて!」

「……そうかよ」


あれ? 

ふいと視線を逸らしたディアンが、思ったのと違った。

てっきり、また師匠の話題で舌打ちでもするかと思ったのに。

少し目を見開いたその表情は、『驚き』だったろうか。


「どうかした?」

「はあ? 何もねえよ」


いつも通りのディアンを不思議に思いつつ、にっこり笑う。


「そっか。ディアン、今日お休みなんだね! じゃあ一緒に町歩きできるよね?」

「……まあ」

「やった! じゃあディアン、今日は僕といる日ね?! パーティなのに全然一緒にいないんだから!」


せっかくパーティを組んで、部屋も一緒なのに、思ったよりも顔を合わせる時間がないんだもの!

こんなんじゃ、中々ディアンも僕に慣れてくれないよね。

……なんでだろう。僕はこんなに慣れたのに。


ちょっとばかり不公平を感じつつ、溢れる笑みをそのままに見上げた。

おや、またじっとり見下ろされている。


「あのね! 今は、ディアンと過ごせることを喜んでるけど?! 分かるでしょう?!」

「……そうかよ」


僕、分かりやすいと言われる気がするけれど。そんなに分かりにくい?

首を傾げたところで、ディアンがさっさとお店に入ってしまった。

え、そのお店に決定?

食べ物のお店には違いないだろうけど、入ったことはない。というより、僕は露天以外で食べたことがない。


「ね、ねえディアン、僕が入っても大丈夫なところ? 僕、お店で食べるの始めてなんだけど」

「は? 入ったことねえ?」

「ないよ。だってディアンとこうして食べることって、なかったでしょう」


そわそわしながら見回した店内は、木製の壁と床、木のテーブルとイスが無秩序に並んでいた。

思ったよりたくさんの人が好き勝手話して、ガチャガチャ、ぎしぎし、色んな音といろんな匂いがする。

視覚も聴覚も嗅覚も、全部で『雑多』を訴えてきている。


「うわあ。なんだか、すごくごちゃっとしてるね……」


つい素直な感想が溢れた時、ふっと吹き出した声がした。

え、と見上げたディアンは、いつも通りの不愛想。そしてぐい、と強制的に顔の向きを変えられた。

……そんなに可笑しかったろうか。


大人しくディアンにくっついて空いた席へ着くと、なんだかてらてらしたテーブルを撫でてみた。

最初は平だっただろう表面は、色んな傷ですごくガタガタしている。しているけど、角が取れて滑らかだ。

どうしてこんな、テーブルをナイフ投げの的にしたかのような傷がつくんだろう。


「テーブル見てねえで、食うもん決めろ」

「あ、うん! でも、どうやって? メニュー表は?」


レストランでは、メニュー表があると書いてあった気がするけれど、テーブルの上には何もない。


「そんな上品な店かよ」


肩を竦めたディアンが、長い指でカウンターを指した。

何を指しているんだと視線を彷徨わせ、立てられているボードを発見した。

なるほど、あそこに書いてあるのがメニューか。


「あの、ディアンは何を……?」

「肉とパン」


何それ、と思ってもう一度見たら、本当に書いてあった。

分かりやすいけども。


「じゃあ、僕もそれで……」


言い終わる前に、ディアンが周囲に視線をやった。

途端、お盆にいっぱいお皿を乗せたお兄さんが飛んできた。


「はいよ! 注文は?」


勢いに驚いていると、じっとディアンがこっちを見ている。それを見たお兄さんも、じっと僕を見る。


「あっ?! え、ええと、肉とパンを!」

「俺も」

「はいよぉ、『肉とパン』、2ぁつー!!」


でっ……かい声。

振り返ったお兄さんが厨房へ叫んで、厨房からも怒鳴るような声が響いてくる。戻ってから伝えるんじゃないのか。

僕、こんな大きな声聞くことがなかったから。

びりびりするような声に首を縮こめ、元気に立ち去るお兄さんを見ていた。


「……怖ぇのかよ。垂れてる耳が見えんだけど」

「え?! 怖くないけど! びっくりしただけ」


耳ってなに。

むくれて見上げたディアンの橙は、いつもより少し、柔らかい気がした。

選書魔法、現在火木土更新ですが、次回から火土更新に変更予定です!

もふしら:3日ごと(2日空き)

デジドラ:日曜

選書魔法:火土


という感じになります~! 

あんまり更新多くても……読むのも大変じゃないです??

つまり……全部読んでね!!(笑)

*繁忙に合わせ更新ストップすることもあるかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読むのは全く大変じゃありません! 全部毎日更新でも嬉しいくらいです! でも無理しない続けられる頻度で末永くお願いします(^^)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ