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勇者  作者: 海目 愚丸
なんやかんや
32/76

第三十話「片鱗」

 直ぐに野営地に戻ると、

 そこは戦場と化していた。


 入り乱れている中、キヨマルの姿が見えた。

 剣を抜いて3人と対峙している。


 キヨマルは3人と互角に撃ち合っている。

 あ! ちょっと不利か?

 今体勢が崩れたように見える。

 1人がキヨマルの背後に回り込み、右手の剣を振り上げる。


 そこに駆けつけた僕。


「ハッ!」


 剣を引き抜いて、そのままがら空きになった脇に、後ろから剣を横に振って吹っ飛ばす。


 とりあえずあと2人

 

「助かりました!」

「片方は僕が引き受ける!」

「分かりました!」


 キヨマルと短いやり取りをして、目の前の敵に盾を向ける。


 目の前の奴は……だけじゃないな、敵集団全員が布で顔を覆っている。

 左右どちらかの片目以外をだ。


 ウルスの兵士って感じじゃない、いかにも盗賊って感じだな。

 そして刀身が黒い剣を手にしている。

 

 一瞬キヨマルと撃ち合ってるのを見てたから分かる。

 相手の動きはそこまで速くない。

 大丈夫だ、

 いつも通りに盾でいなしてカウンターすれば倒せる相手だ。

 

 僕は半身で盾を構えつつ、ジリジリと間合いを詰める。


 だがいきなり視界が暗くなった。

 なんだ、と、横目で周りをキョロキョロと見回す。

 そこらにあった篝火が全部消えている。

 他の賊が消したのか?


「やっとかよ……遅せぇんだよ」


 目の前の賊は小さくボヤいたと同時に、後ずさりをした。

 途端、姿が見えなくなってしまう。


 上をチラリと見ると、月は雲の後ろに隠れてしまっている。

 雲の輪郭が薄らと光っているが、その光は地上までは届いていない。

 

 辺りが暗く、1歩先も見えない。

 

 周りから聞こえてくる喧騒のせいで、音も頼りにならない。


 どうしよ!

 さっきまで落ち着いていたのに、急に焦って来た。

 こういう時は、えーと、えーと。

 動いた方が良いのか、それとも動かないでいるか。

 分からない!


 落ち着こう!

 深呼吸だ。

 状況だ整理しよう。


 まず、相手も同じ状況だ、思うように攻められないはず。

 いや待てよ、直前に賊は『やっとかよ』って言った。

 ならこの暗闇は相手の得意な状況という事になる。

 賊はこの暗闇で攻撃できる手段があるに違いない。


 痛っ!


 右太ももに痛みが走った。

 斬られたという感じでは無い。

 

 剣を握りながら小指だけを立てて、痛みがあった箇所を手探りする。

 これは……短剣か?

 うん、短剣が刺さっている。


 もしや、相手もちゃんと僕が見えてる訳では無いのか?

 頭を狙えば1発だ。

 それをして来なかったなら、完全には見えて無い。

 位置が分かってる程度、

 多分そうだ。


 まぁ、だからと言って僕にできる事は無いんだけど。


 ウッ!

 

 僕の背中にさっきと同じ痛みが2箇所。

 背中に短剣が刺さったようだ。


 やっぱり見えているのか!?

 右、後ろと攻撃が来ている。

 ぐるりと僕の周りを回っている。

 なら次は左から来るか気がする。


 そう思い、盾を僕の左側に構える。

 致命傷なり得る頭と首、そして上半身を守るように。


 フュンーー


 確実に聞こえた何かが空を切り裂くような音ともに、今度は僕の右脇腹に短剣が突き刺さる。

 

 ダメだ、ガードも、避けることもできない。

 

 お坊さんは言っていた。

 戦いはいかに自分の得意な状況に持っていくかが肝だと。

 

 今が僕の得意な1対1で、相手から仕掛けてくれる状況なのに。

 暗闇で全てがひっくり返された。




 必要なのは明かりだ。

 明かりさえあれば遅れを取ることはない!


 僕の願いが通じたのか、いきなり僕の目の前に光源が発生した。

 

 

 目の前というか、僕の左腕に装着された(ヤタくん)からだ!

 盾の表面が光り輝いている。

 

 一瞬にして周りが照らされた。


「なんだ!?」


 見える!

 目の前に賊がいる!

 十分弱らせた相手を最後に止めを刺すかのように、自ら斬りかかって来ている!

 そして、光り輝く僕の盾を直に目に収めたのか、思わず怯んで瞼を閉じようとしている!

 ここだ!


「はァっ!」


 地面を1歩強く蹴って、一気に間合いを詰める。

 降り掛かってくる剣を盾で上に弾き、身体を右回転に捻り、剣を右へ振り抜く。




 賊を吹っ飛ばし、僕は1対1の勝利を収めた。

 それと同時に盾の輝きは失われていた。


 

 

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