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元大魔導師は、家族のために完璧な姫になりきりたい  作者: ぽよぽよ大魔神
前章 大魔導師エマ
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実技

エマとリリーが話しているといつの間にか授業開始時刻になり、レントが入ってきた。


「じゃあ今日の授業を始める。今日は何からだったか…。」


「初級からです先生。」

手元の資料をガサゴソと漁り悩むレントに子供達の誰かが口を挟むと


「ああ、初級からね、はいはい。」

と気だるげな様子で授業を始めた。


「レント先生かー…残念だね。」

そんな様子を見ながらリリーがぼそりと呟いた。

何が残念なのか聞きたかったが、とりあえず授業に集中することにした。

文字の勉強では、アリアに貸してもらったノートと本を使っており、あくまでも借りていただけだったが、魔術の授業を受けるにあたり、難易度に合わせた指南書と1人1人の為のノートが与えられた。

そんな初めての新品の私物に、なんだか汚したくなくて最初の一文字を書くのすらも躊躇われたが、リリーの


「何してるの?」

という声で我に返り、とうとう一文字目を書き始めた。


「今日の初級は実技だね。エマお姉ちゃんは座学もまだだから、今日は聞いてるだけで良いと思うよ。」

そんなリリーの言葉通り、座学で魔術理論の学習を済ませていない私には到底難しい内容だった。

だがずっと魔術の授業を楽しみにしていた私は、レントの話を食い入るように聞いていた。


「魔術理論で習った事だと思うが、一応おさらいがてら説明しておく。魔術には属性というものが存在している。基本属性は火・水・風・土・木の5属性となり、その応用で雷や氷魔術が発動出来る。この基本の5属性であれば基本的には誰でも使える。そして5大属性の他に光・闇という2つの属性があるが、これらに関しては適正があり、尚且つ条件を満たした者でないと使う事が出来ない為、現在の皇宮魔術師にも使える者は数える程だと言われている。さて、そんなわけで初級の君らには誰でも使える4大属性の魔術を練習してもらう。」

話を続けながらレントは、子供達に背を向け、壁に模様が描かれた紙を貼りだした。


「座学で教えたこの魔術式を自分の魔力で描く事により、魔術は行使される。左から、¨ファイア¨、¨ウォーター¨、¨ウィンド¨、¨アース¨、¨ウッド¨の魔術式だ。さて、では各々魔術式を綺麗に描けるようになるまで練習始め。完全に形を覚えられるまでノートに書いて練習するといい。そして覚えられたら自分の魔力で魔術式を書き上げる。あと、魔力の練り上げ方は教わったとは思うが、魔力で蝋燭を灯すイメージだ、忘れないように。発動には魔術式の正確性も必要だが、魔術の想像も大事になってくる。例えば、ファイアであれば自分の内から燃え上がってくる炎を、ボッと火が付くその様を、イメージするんだ。じゃあ後は個人で頑張ってくれ。 」

説明し終わるとレントは部屋から出て行ってしまった。

完全に部屋から出ていくのを見計らうと、すかさずリリーに話しかけられる。


「やっぱりね。レント先生ってあんまりやる気ないのか、説明だけして出て行っちゃう事が多いんだー。質問したい事があってもいないから出来ない事が多いの。だからさっき残念だねって言ったんだー。他の先生だったら質問も出来たりするんだけどね。」

話をしながらもリリーは壁に貼りだされた魔術式を、ノートに写す手を止める事はなかった。


「やっぱり難しいねー。あたし時間かかるかも。」

一旦手を止め、隣の私のノートを覗き込むと


「エマお姉ちゃんすごい!」

出来るだけ抑えながらもリリーは、私のノートにスラスラと出来上がっていく魔術式の完成度に驚きの声を上げた。

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