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元大魔導師は、家族のために完璧な姫になりきりたい  作者: ぽよぽよ大魔神
前章 大魔導師エマ
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謝罪

夕食を食べに食堂へ向かうと、子供達がまばらに座っていた。昼食の時間は1時間と限られているが、夕食は3時間程時間が設けられており、自分の好きなタイミングで行く仕組みだ。その間に入浴を済ませたり、仕事の残っている子供達はそれを片付けたり、掃除当番に割り振られれば掃除を済ませる事もあるようだ。

掃除当番に関しても食事当番と同じように掲示板に当番表が貼りだされる為、都度確認するようにとアリアの話があった。

昼食と遜色のない夕食を食べ終わると二人はまた自室へ戻った。

夕食から消灯時間までは自由に過ごして良い時間となった。

自室に戻るとすぐにアリアは


「じゃあ私、お風呂へ行ってくるから。」

とスタスタと先に行ってしまった。

止める間もなく行ってしまったアリアを見送った私は、せっかく時間があるのならばと、先程の文字の勉強の続きを始めた。ほんの数分のつもりが時間を忘れるほど集中し、見かねたアリアについには怒られるまで勉強を続けた。


「さっきから何度声を掛けてもうんともすんとも言わないし!明日も早いのよ!起きれなかったら私が困るんだから!もういい加減やめてお風呂に入って来て頂戴!ちゃんと休憩することも大事なんだから!」

アリアにせっつかれ急いで入浴を済ませ、やっと二人が就寝出来たのは消灯ギリギリの時間だった。


「まったく、何事にも頑張るのにはペース配分っていうものが必要なのよ。頑張りすぎは良くないの。そもそもあなたたまに人の話を聞いてないけどねぇ……」

アリアにくどくどと長いお説教をされてしまい私は反省しながら床に就いたのだった。

翌朝目を覚ますと、既に起きていたアリアが椅子に座り、じぃーっとこちらを見ていた。

驚いた私の身体がビクッと跳ねると


「起きたわね。」

とフンと鼻を鳴らしながら身支度を始めた。


「はは、ごめん。おはよう。」

これ以上アリアを怒らせない様にと、急いで準備を始めた。

身支度をし、朝食を済ませると、勉強部屋へと向かった。昨日と同じく午前の最初は中級の授業となっていた。授業前の勉強部屋には子供達がまばらに5~6人程しか集まっていなかった。

私は勉強部屋を見渡し、ジョシュアと同じ栗色の髪の少年を見つけると、頬にそばかすがあるのを確認し、一目散に近づいて行った。


「ジョシュア!だよね!」

最前列の席に座る彼に声を掛けた。

机上のノートを見ていたジョシュアはゆっくりと顔を上げると、


「そうだけど、何?」

と気だるげに返した。


「昨日はごめん!あれから考えたの。本当に皆に迷惑かけちゃったなって。ジョシュアが言ってくれなきゃ分かんなかった。ごめんね。言ってくれてありがとう。」

私の謝罪に驚いた様子のジョシュアは、一瞬言葉に詰まったが、


「…いいよ。次から気を付けてくれればそれで。」

とすぐに目線をノートに戻した。


「うん、ありがとう。本当にごめんね。」

ジョシュアへの謝罪が終わると、私は他の子供達にも一人一人謝罪して回った。皆最初は驚いたような様子だったが、戸惑いながらも謝罪を受け入れていた。その間にも授業を受ける子供達がちらほらと集まり、授業が始まる前にはなんとか全員への謝罪を終えた。

最後に私は、先生の立つ背の高い机の前まで行くと、


「これからも迷惑かけるかもしれないけど、よろしくお願いします。」

と頭を下げた。


「よろしく」 「よろしくね」

昨日の食堂とは違いパラパラと帰ってきた返事に、嬉しさを綻ばせ、笑顔で勉強部屋を後にした。


「さあ、これで心置きなく勉強が出来るわね。昨日も言ったけど、遅れた分は自分で取り返して貰うわよ。」


「うん。付き合ってくれてありがとう。アリアにも迷惑かけてごめんね。」


「ふん、次はごめんだわ。」


鼻を鳴らし、スタスタと前を歩くアリアが、面倒見の良いお姉さんのような存在に思えて、何だかそれがくすぐったくて、またバレない様にとこっそり笑った。

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