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元大魔導師は、家族のために完璧な姫になりきりたい  作者: ぽよぽよ大魔神
前章 大魔導師エマ
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挨拶

「まず、1週間は見学だって話をしたけど、見学の間にあなたには文字の読み書きを覚えて貰うわ。その目的もあって、私が付きっきりで教えられるっていう理由で同室になってるのよ。それでもこの1週間で完璧に覚えられるなんて思ってないから。1週間を過ぎても覚えられなければ、その先の勉強の時間にはあなた一人で文字の勉強を続けて貰うわ。文字が完璧に覚えられたら私が読み書きのチェック、まあ試験のようなものをするから。それに合格出来ればあなたも晴れて他の子たちと同じように、魔術の授業が受けられるようになるわ。どう?わかった?」


「うん!」

授業中ということも忘れ、私は力強く答えた。

おかげでチラリと振り返った子供たちからは白い目で見られたが、そんなことは気にならなかった。

魔術の事を教えてもらえる!自分も使えるようになる!頭の中はそんな考えで一杯だった。


授業が終わると子供たちはぞくぞくと部屋を出て行った。するとアリアは


「挨拶するわよ。」

とまだ部屋に残るウォーニー目掛けて歩き出した。


「先生、今日からここで働くことになったエマです。」

アリアの言葉に私は慌てて頭を下げた。

ウォーニーはチラリとエマに視線を向けるとかすかに頷き、一言も発する事なく出て行った。その姿を私はぽかんとして見ているとアリアは


「さて、次の授業よ。」

ぼーっと突っ立っている私を急かし席に戻った。

その後の授業は初級、上級と続いたがさすがに上級ともなると試験合格者が少ないようで授業を受ける子供たちはほんの数人だった。その間のアリアによる説明によると、授業は魔術のしくみを勉強する座学と、実際に使ってみる実技とがあるという話だったが、今日はすべてが座学だった。

そんな説明を聞きながらそれぞれの授業を分からないながらも聞き、授業が終わるとそれぞれの先生に挨拶をするという流れで、ウォーニー、ベン、レントの3人の先生への挨拶を終えた。

午前の授業がすべて終わると昼食の時間を迎えており二人は食堂に向かった。

食堂への道中、


「食事の支度も私たちの仕事になるわ。その当番表が来週の予定と一緒に貼られるから、その確認も忘れないで。」

とアリアからの説明があった。

食堂に着くと、ちらほらと食べ始めている子たちが見えた。

彼らが口にしている食事は、決して豪華ではなかったが、パンに野菜に魚に汁物までついており、彩りも豊かで食堂内にふわりと立ち込めるいい香りに、私は腹の虫を抑えるので精一杯だった。

すると突然横にいたアリアに


「ちょっと聞いて頂戴。今日からここで一緒に働くことになったエマよ。」

と大きな声で紹介され、ビクッとして腹の虫が引っ込んだ。

咄嗟の事で、自分に向けられた沢山の目に緊張し、喉がカラカラに張り付いたようだったが、何とか声を絞り出し


「エマです。よろしく。」

と軽く頭を下げた。

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