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元大魔導師は、家族のために完璧な姫になりきりたい  作者: ぽよぽよ大魔神
前章 大魔導師エマ
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起床





お..あ...おぎゃ..あ..おぎゃあ



遠くで赤ん坊の泣き声がする。

泣き止ませるのはノアが得意なのにどうしたんだ?いつもであれば子供の泣き声には飛んで向かうのに。

そんな事を考えながら身体を捩らせる。



それにしても今日はずいぶん身体が重い。もう眠くもないのに瞼は上手く開かないし、身体に力も入らずとても起こせそうにない。一体どうしたんだ。魔力も嘘みたいに感じられないし...。そうだ!魔力!

ハッと気づき、すかさず身体に魔力を巡らせてみる事にする。


まずは身体の中心にある魔力に意識を向け集中させる。そしてその魔力で蝋燭に火を灯すイメージで力を込める。その火を一定の強さに保ったまま身体の中心から末端へと徐々に流していく。じわじわと魔力が流れた所から体が温まり、魔力が身体を伝うのを感じる。すると部屋の空気が変わり、風がふわりと私の髪を持ち上げる。ゆっくりと時間をかけ、やっと魔力が全身に生き渡った所で、パッと視界が開けた。

すると先程まで鉛のように重かった瞼が嘘のように軽くなり、ようやく瞳を開くことが出来た。


開けた視界で確認出来たのは、豪奢な照明が付けられた高い天井、細部にまで意匠のこらされた家具、なぜかまだ身体は上手く動かない為、頭頂部のものは確認は出来ないが、おそらくベッドの四隅を囲っているであろう柵、と私にとってはどれも見覚えのないものだった。



(ここは、どこだ?)

間違いなく声に出したはずのそれは、この見覚えの無い部屋に響く事無く、代わりに力ない


「あー、だー。」

という赤ん坊の声が微かに聞こえた。


どうゆういことだ・・・。状況を整理してみよう。

自由に動かない身体、巡っていなかった魔力、見覚えのない天井、なぜだか聞こえる赤ん坊の声、だんだんと良くない考えに引っ張られて行く。


ぷにっっっっ


その時ふと思い掛けない柔らかい感触に襲われた。

物思いに耽る時、顎のあたりを指で触ったり、つまんだりするのは私の癖だ。

そしていつも通り、何の気なしに触っただけ。 だというのに普段の自分のものとは違う感触に驚きを隠せない。

嫌な予感がして、パッと両手を見るとそこには、小さなな紅葉が二つあった。


(な、なんだこれ!!!!!!!)

「あ、あーーーーえ!!!!!!」


私の言葉の代わりに赤ん坊の驚愕の声が高い天井に吸い込まれて消えていった。

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