開幕前
モブ視点です。3人の普段を書きたくて投稿しました。
時間軸的には1・2話あたりです。
「じゃあ、ちか また放課後ね」
「ああ、迎えに来る。」
この声は!はる 君だ!
「しゅん おはよ〜」
今日も はる 君は美人だな〜。
不自然にならない程度に はる 君を見つめる。
よく漫画とかドラマとかで美人が現れると周囲がざわつくとかって表現あるけど今までは信じてなかった。
でも本当はざわつくどころか一瞬静かになるんだ。
はる 君は覚えていないだろうけど僕と はる 君は1年の時からクラスが一緒である。だから入学初日のことをよく覚えている。
はる 君が教室に入って来た時の事だ。
それまでは話をしている人、外を見ている人、入学案内を読んでいる人など様々いたが、その時ばかりはみんなが はる 君を見た。
うつむきがちに扉を開けて、こちらを見ずにゆっくりと自分の席に着く。
透き通った綺麗な白い肌をして、ほっそりとした体つきをしていた。
はる 君が入って来た後すぐに先生が入室してきたからたぶん不自然ではなかったが、教室があまりにも静かになったのを覚えている。
連続して先生が入って来た事も相まって、お忍びでの入学なのかと思ったぐらい。
簡単なホームルームが終わって はる 君に真っ先に話しかけたのが しゅん 君だった。
そっからはもう はる 君とは業務連絡ぐらいしか話ができなくなった。
はる 君の後ろで、横で、時には はる 君を庇うように はる 君に話しかける相手を威嚇する。
これは俺のだ、ってね。
そんなだけど、なんと はる 君が僕に向かって話しかけてくれた事がある。
次の授業が何か、ってね。その時はテンパりすぎて何にも答えられなかったんだけど代わりに しゅん 君がしっかり答えてた。僕に威嚇する事も忘れずに。
僕なんかが しゅん 君みたいなハイスペックイケメンに敵うはずないのにね。
でも しゅん 君は自覚ありだからまだいいと思うんだ。
問題なのは違うクラスの ちか って言う人。
はる 君をクラスまで送り迎えしてる姿しか知らなかったから普通にさわやかイケメンなのかなって思ってたけどどうやら違うらしい。
なんでも、はる 君がいない時は不機嫌オーラが凄いらしい。何事にも無関心でムスッとしてて。めげずに話しかけた人もいたらしいけど、当然相手にされなかったらしい。
それが はる 君と一緒になると急にさわやかイケメンになるんだから凄いよね。
もちろん、顔がいい二人だから告白される事もザラにあるだろう。でも噂じゃあ手紙は差出人に返したり呼び出しには応じなかったり散々らしい。まぁろくに会話もした事ないのに はる 君に勝てると思ってる人たちも凄いけどね。
「大丈夫?」
へ?
「ホームルーム終わったよ?ぼーっとしてたの?珍しいね」
「め、珍しい?」
「うん、君、1年の時からクラス一緒だよね?」
「えっ、あっ、うん、一緒…」
「そんなぼーっとしてるところあんまり見ないから心配しちゃって。」
「ご、ごめん、」
「ふふ、なんで謝ってるの?ぼーっとしちゃうの僕と一緒だね?次移動だし、一緒に行く?」
「あ、えっと「いや、彼には彼で一緒に行く人がいるだろうし大丈夫だよ はる 」
「?そうなの?」
「あ、えっと、う、うん、大丈夫、」
「そっか、じゃあ遅れないように気を付けてね。」
「う、うん、ありが…とう……」
ななななななななななななななんか僕、今、はる 君と話した?
これ現実?
凄い美人だった…びっくりした……
しっかり しゅん 君に睨まれたし、一緒に行こうの返答に関しては言葉遮られたしな。たぶん現実だろう。
それにしてもやっぱり凄いな はる 君。
無自覚たらしとはこの事だろうな。
僕が はる 君と同じクラスなの はる 君知ってたし。
ふんわりと微笑まれながら僕と一緒だねって…昇天レベルだぞ。
こりゃあ過保護にもなるな。僕だって独り占めしたくなる。
独り占めといえば、 はる 君は誰かに告白されたりとかするのかな。手紙もらったり呼び出しされたり。
………………まさか、まさかな。でも、あり得るか。
あの二人ならやりかねないか。
お〜怖いとか思ってたらチャイムが聞こえた気がした。
これは、完全に遅刻。現実か?
そのまさかで、手紙や呼び出しは はる の元へ届く前に二人のどちらかによって抹消されます。