丘の下のブラッドストーン
3月の貴石。
ブラッドストーン。
SiO2 血石。
春を感じさせる日射しを背に、今日も尊敬する祖父に話をする。
「イギリスってミステリスポットすぎると思わない?」
イギリスから連絡があってね。
ペンフレンド? なにそれ。
昨日のSNSでの会話だよ。
とにかく怖かったって、テンション高かったな。
石の柱に囲まれた場所に、黒をベースにした点々と赤い色がまかれてるような石があって。
その上にある死体を見つけたんだって。
すぐに死体ってわかったのは、赤い点々じゃなくて真っ直ぐナイフが刺さってるのが見えたから。
あわてて、近所の家に走り込んで事情を説明したら「ドルイドが……」とかなんとか言ってて、全然警察に連絡してくれなくて。
焦ったいって思ったらしいけど、やっと気づいたんだよね。自分のスマホですればいいってことに。
で、警察が来たんだけどなんか大袈裟なことらしくって。
まあ、人が死んでるんだから大袈裟なんだけど。
検死官っていうのかな。
「この人、他の場所で殺されてから石の上に置かれたみたい。それから、ナイフを突き立てられたのね」
って言うんだ。
これが、いち地方の警察官では手に負えないとかで。
あ、田舎町だったんだよ、そこ。
とりあえず現場保存だけしようとして、そのままにしておけないから、ご遺体だけ運んで。
よく見るキープアウトのテープで入れないようにして、日常に戻ったんだ。
翌日には、都市から有名な刑事さんが来たんだけど遅かった。
同じ石の上で、また人が死んでたって。
ケルト教がどうとかっていう言葉を耳にしたらしいけど、意味が分からなくてさ。
みんなが口をつむぐから、じゃないや、口をつぐむから、友人はなんだか居心地悪く感じてたらしい。
田舎町って、閉塞感? あるなあってぼやいてた。
でも、さすが刑事さんだよね。
行動力があるっていうか。
友人もコッソリついてっちゃったみたいだけど。
「行くぞ」
って、急に刑事さんが犯人は現場に戻るとか言い出して、夜中もずっと見張ってたらしい。
そしたら、フードを深くかぶった人物が現れて、赤い点の石がある場所で何か探し物なのか、屈んだりキョロキョロしたりしてたんだ。
刑事さんと一緒に飛び出したら、フードの人物は逃げ出したって。
当然だよね。
見失わないように追いかけたら、1軒の家に飛び込んだ。
間違いなく同じ家に入ったのに、フードの人物がいなかったんだって。
家の中は暗くて、誰もいなくて。
もうフードの人物が犯人なのは、間違いないよね。
犯人はどこに行って、誰だったんだろう?
「ね。ヘンテコな石があるんだね。きっと関係してるんだよ」
「イエス・キリストの血だという話もあるが。一弥は、バーナビー警部のドラマも観てないのかね。シリーズもので人気があると思ってたよ。『丘』とか『眠る者』などという単語は、なかなか心を惹かれる言葉だね。観てみるといい」