ペキリーブルーガーネットの秘密
1月の貴石。
ガーネット。
柘榴石とも。
珪酸塩 Fe3Al2(SiO4)3
「ね。お祖父さん、不思議な話でしょう?」
僕は、尊敬する祖父に冬休みに行ったロンドンでの出来事を話した。
「クリスマスシーズンのヨーロッパって本格的で、雰囲気すごいな」
街中イルミネーションで輝き、露店ではツリーに飾る様な小物たちが華やかに。
そんな中で、仲間内のパーティー用ターキーを探してたんだ。
もちろんソレは、あっという間に見つかったから、周辺をブラブラ冷やかしていた。
騒然としたのは、小さな衛兵の人形を手に取ったとき。
楽しい雰囲気をガラッと壊す揃いの制服は、警察のものらしかった。
「宝石泥棒らしい」
「ちょっと先の小さな店がやられたってさ」
「なんでも、犯人らしき人物がこっちにきたんだって」
「街全体が浮かれてるからなあ」
なんて言葉が飛び交う。
僕は、つい手にした衛兵を買ってしまった。
「兄さん、ジャパニーズかね? それ人気だよ。ジャパニーズは兵隊が好きなのかねぇ」
店主のおじさんが言うんだ。
兵隊が好きなわけじゃなくて、ロンドン感があるからだと思うけど。
と、僕は思ったけど肯いておいた。
そしたら、警察が店の中を一軒一軒調べ出して。
客のボディーチェックまでするんだよ。
もぅ、雰囲気台無しだった。
だから、帰ろうと思って、チェックしておいたターキーの店に行ったんだ。
ところが、僕は買うことが出来なかった。
だって、全てのターキーに『sold out』の札が。
どこの金持ちが買い占めたんだよって思わない?
ちょっと離れてただけで、山積みの鳥が売り切れって。
結局、デパートで買ったんだけどね。
あの宝石泥棒捕まってないんじゃないかな。
紛れ込んだはずの露店のどこにもにいなかったんだから。
宝石ってすっごく高いよね。
ダイアモンドにルビー、サファイア。
キラキラしてて目立つような気がするけど。
「ね? どう思う?」
話し終わって、祖父の言葉を待つ。
「イギリスなら、もう解決しているだろう。一弥は、コナン・ドイルの青いガーネットという本を読んだことがないんだね。かの有名なホームズのだよ。本当に出来るかどうかは、実践してみないとなんとも言えんが、なかなか面白い流れだった覚えがある。読んでみるといい」