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ある少年の話  作者: 雪華 堕
3/3

 夏になった。うだるような暑さの中で、俺らは今日も生きていた。ここ最近ずっと降り続いている雨の影響か、学校の雰囲気もどこか沈んでいた。俺はそんな雨の学校で友達と居残っていた。雨音の響く教室で、騒ぐ俺たち。窓に張り付く水滴。教師に隠れて打つ将棋は、外の様子と打って変わって白熱しきっていた。

「これで王手か?」

 俺は煮詰まった盤面を見つめながらそう言う。板を囲む全員があれでもないこれでもないと、好き勝手に言い合っていた。

「詰みじゃないか?」

「右の方は?」

「角が効いてる」

「後ろに下がれば逃げ切れない?」

「いや、金がいるから無理」

 白熱する議論をよそに、俺は凝り固まった首を回しながら、窓の外を見る。雨足は依然弱まることはなく、窓は水滴で濡れたままだった。冷たい雨が、夕焼けを隠したままに時間は進んでいった。

 まだ少し、煮え切らない俺らの夏が始まるには、時間が必要なようだった。

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