Episode5:私の思い
【もなか。パート】
※今回は、いつも以上に書き加えてしまった部分が多くなります。ご了承ください。
<アザミ視点>
そのころ、CW-79が小鳥遊博士と大事な資料を回収しに出発してから30分がたっていた。なぜか私にもわかっていないが、トラックにおいてある、ELSFYとの通信用のポータブルを身の近くに置いていた。ポータブルというものがあるだけで、だれかとつながっているような気がするかもしれないからだろうか。
そして私は、あの時のことを思い出す。今思うと、もし自分のトラックがやられていたら、きっと彼女は目覚めなかったかもしれない。というより、なんで目覚めたのだろうか…。それに、例え彼女が人造人間であっても生きていることには変わりがない。博士のこともそうだが、無事なのだろうか。私は、不安に襲われる。
少しノイズのような音がする。耳鳴りなのだろうか…。
「あの、アザミさんの位置データの近くにポータブル反応があったので連絡してみたのですが…。聞こえていますか?」
「BY-76くん…。CW-79のサポートは、大丈夫なんですか?違反ロボットとして、処分しますよ?」
「ひぃぃ!やめてください!んて、そんなことじゃないんです。CW-79さんに、『アザミのケアも行っておいて。 』ってことでこっちに通信を飛ばしているんです。」
この一言を聞いて、私は少しほっとした。CW-79が生きていることが分かったのだ。
「あの、CW-79が帰ってくるか心配なんですが…。」
「彼女は大丈夫ですよ。きっと戻ってきますって。」
戻ってくる…。か。きっと小鳥遊さんが作った人だから大丈夫。きっと。
「心配しないでください。僕の専属なんですから、絶対に戻ってきますよ。あ、そうだ。シャトルセンターのほうにあるものを置いておくように職員に伝えておいたので、楽しみにしておいてくださいね。それじゃあ、また。」
「あ、ちょっと待ってください。あの、ひとつ聞きたいことがあります。」
「なんでしょう?」
私は、ひとつ深呼吸をする。彼がなぜそうしたのかという顔をしていた。
「人造人間は、私たちと同じで生きている。だから、彼女やあなたも私たちのように感情を覚えていくのでしょうか?」
もちろん、その答えはすぐに出てこなかったが、BY-76はこういった。
「それは、人造人間である僕にもわかりません。でも僕の考えは、彼女自身なんだと思いますよ。感情を覚える、体験をする、その中で彼女も変わっていくと思います。まぁ、これはあくまで僕自身の考えです。」
彼の考えは、確かにあっていると私は考えた。彼ももう生き始めて、今年で1年目であるだけだと、私は思う。
「そうですよね、こんな時なのにありがとうございました。CW-79の健闘を祈りましょう。」
そうして、通信を切り私はシャトルセンターへと向かった。
「アザミさん、お疲れ様です。これ、BY-76から。コーヒーっていう飲み物らしいです。」
コーヒー。私が一番好きな飲み物だ。彼のあたたかさに感じながら、CW-79のことを思ふ。
次回【Episode6:光を探せ】
<おしらせ>
次回から、チーム月下美人メンバー紹介をchisha後書きにて連載していこうと思います。
割り当ては、こちら↓
Episode6⇒みれな
Episode7⇒ワタデ
Episode8⇒もなか。
お楽しみに!