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Until the end of life~転移傭兵と種族少女達の物語~  作者: I am Human
一章 ビースト(獣人)の国
8/15

EP6 デシャブ、 鼻血


...To change...To change...To change

 

 いつものような朝、私は久遠を追って森に行った、アペルという大獣に襲われて抗戦していたが戦技が切れて気を失った。気を失う瞬間久遠が現れて...

 そこまで考えて私は手に伝わる暖かな温もりを感じる。

 そこには、私が彼を助けたときのように、私の手を握り、ベットに突っ伏して眠っている彼の姿が目に入った。

 いろいろ文句が、言いたかったが、安らかに眠る彼を見て安心と、どうしようもない愛おしさに、怒りなど忘れてしまう。

 

 「久遠、寝ているのか?」

 

 ...

 

 返事はない、ほとんど爆睡に近い状態のようだった。

 

 「...今なら、少し触れてもばれないだろうか。」

 

 私は前髪をたくしあげると久遠の顔に自分の顔を近づけていく、少し濡れた唇を彼の口元まで持っていく。

 そしてそこまで行ってなんともタイミングよく久遠の目蓋が上がる。

 

 起きた!!?

 

 慌てて元の位置に戻ろうとするが久遠に握られている手を引っ張られそのままの体勢をせざる終えなくなってしまう。

 

 ばれていたらどうしよう!

 

 心臓の音は高鳴り、頬も自然と熱を帯びてしまう。しかし少しだけ期待していた、もし気付いていてくれたならと。

 しかし寝ぼけているのか、久遠は眠そうな目をしたまま私の髪をふわりと撫でる。

 

 「おはよう、フィア」

 

 今度は、慈しむようにそれはそれは丁寧に頭を撫でられる。

 

 今っ!、フィアって!

 

 心地の良い頭の感触と自分の愛称を呼ばれて私のの心はオーバーヒート寸前だった。

 

 「今日も 綺麗だ。」

 

 寝ぼけた最後の一言が止めとなり、キャパオーバした私の心が大量の鼻血と共に溢れだしたのはいうまでもない。

 そして私はまた、深い眠りに落ちる。

 


...To change...To change...To change

 

 「いったい、何があったんだ」

 

 意識が戻ったのは目の前が真っ赤に染まってからだった、最初は目の前の少女の容態が急変したのかと焦ったがなぜか幸せそうな顔をしているので、とりあえず安心する。

 

 「血まみれだ...」

 

 顔もせっかく着替えた服も真っ赤に染まっていた。ある意味ホラーである。

 殺人現場と化した部屋を一端出ようと扉に手を掛けると誰かの気配を感じとる。

 一気にドアノブを引くと猫の女性が倒れ込んでくる。

 

 「猫さん、何やってるんですか?」

 

 「私の名前は、キャシーナですと何度も申しているのですが。

 いえね、何とも微笑ましい光景が広がっているような気がして、想像しながら聞き耳を立てていたのですが。

 

ばれちゃた」

 

 てへへと頭に手を乗せあざとく誤魔化す。

 昨日初めて会った猫さんことキャシーナは、久遠を救ってくれた一人だ。

 初めて話した時の彼女は傷ついたフィアを見て、少しお怒りのようだったが事情説明によってなんとか納得してくれたようだ。

 その後色々と情報説明を受け出ていこうとしたのだが、罪の償いはすべきだとフィアの看病を任せられ、現在に至る。

 

 「それにしても、貴方の存在には驚かされますね、まさかあの森をお嬢様を抱えて脱出してくるとは。もしかして相当強かったりします?」

 

 「昨日話したが、俺には記憶が殆どありません、ここの方々がどれ程の戦闘力をしているのか知らないし、そもそもあれはウリフィア嬢がやってのけたことです。

 私は隙をついて全力を尽くした彼女を運んだに過ぎません。」

 

 後ほど戻った記憶の件は説明するつもりだがそれはフィアが起きてからということにする。

 

 「...私は、話す者の心を見透すのに少し長けていると自負しております。

 しかし貴方の心情は全く読むことができない。

 はぁ、謎は深まるばかりですが、貴方の記憶が戻ったときにでもお聞きすることにいたしましょう。」

 

 「ええ、ウリフィア嬢が起きてから説明いたします。」

 

 少し警戒されてはいるようだがなんとか乗りきることができた。

 昨日も思ったがこのキャシーナという女性、少し自分と同じ匂い。戦闘経験があるような、そんな自分と同じ雰囲気がするのを感じるが、あえて踏み込まないようにする。

 

 「それにしても何をされればそんなに真っ赤になるのですか?

 私がお嬢様を見ておりますのでお着替えになられてはいかがです?」 

 

 忘れていたが真っ赤である。

 少し身なりを整えるため部屋を後にする。

 廊下を歩くとこの屋敷がいかに広いか理解する、二階の部屋を出てもう3つ目の部屋があり、キャシーナいわく彼女達以外にもう一人、ここの領主であるフィアの母親との三人暮らしだと言うが、領主であるからこれが普通なのだろうか。

 窓の外に目を移すと一面の畑に立つ金色の麦のような植物が風に揺られなんとも美しい光景を産み出している。

 外に出て井戸から水を汲むと顔についた血を洗い流し一息つくと久遠の頬を朝の涼しい風が撫でていくのだった。

書いててリアルに鼻血が止まらなくなりました(-_-;)

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