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Until the end of life~転移傭兵と種族少女達の物語~  作者: I am Human
一章 ビースト(獣人)の国
7/15

EP5 自己嫌悪、それでも側に居たいから...

まだまともに設定キーワードに触れてないような気がする(´・ω・`)


 あれから森の中をどれだけの距離移動しただろうか。

 もうかれこれ1時間以上は走っている。

 今までに見たことのないような植物や動物、なんとも不思議な感覚だ。

 

 全然疲れていない、我ながらこの体には呆れるな。

 さて、ここまできたはいいが、どうしたものか

 

 屋敷を出たは良いものの予定なんて全くないし、考えていない。

 そんな時思い浮かんだのはフィアの顔だった。

 

 きっと今頃怒ってるんだろうな。

 

 彼女が怒っている顔が想像できる。

もう会いたくはないと思った。

 きっと急に居なくなって不信に思っているだろう。

 

 次に会ったときは確実に殺されるな、もっと別の出逢い方ができていたなら

 

 思わず苦笑が漏れてしまう。しかしここまで逃げて来たことに後悔はない。

 もう誰も傷付けないために。

 その時だった。

 

 「久遠、久遠!何処だ、何処に居るんだ!」

 

 フィアが追って来ていた、以前戦った時の蒼いなにかを体に漂わせながら必死で久遠を探している。なにやら慌てているが素早く木にのぼり、幹に腰を落とし気配を殺す。

 

 「久遠!いるんだろ!出てきてくれここは危ないんだ、お前は記憶がないからここのことも知らないだろうが、ここは大型の獣が出るんだ」

 

 ...知ってるよ、森に入る前に柵やら、文字は読めなかったが、それらしき危険表示はあったから。

 だからここに来たんだ、追って来れないように。

 

 大体は察していた、森に入る前に何か危険表記をしているよう看板を目にしていた。

 ここが危険だということをしていながら、それでもこの道を選んだのは彼女が追って来るリスクを少しでも下げるためにわざわざここまで来たのだ。

 もしフィアが自分が逃げ出したことにより敵対者だとこれで確信してくれればわざわざ追いかけて来ないだろうという考えだった。

 しかし、実際はその逆で心配してわざわざこんなところまで来てしまったのだ。

 

 「くそっ、臭いは確かに有るのに気配が全くない。

 居るなら聞いてくれ!何があったかはしらない!

何か理由があるんだろう?

それでも命を懸けて救ってくれたあなたを私は!」

 

 森に声がこだまする、しかし、声は愚か音すら聞こえない、静寂だけが虚しく広がっていく。

 

 すまない、きっとお前たちの種族とやらは良い奴ばかりなんだろう。

 できることなら俺もそれに甘んじたい。

 でも、だからこそせめて自分の正体がわかるまでは近寄れない、だから速く逃げてくれ。

 

 フィアが放った言葉は思っていた以上に優しい言葉だった。

 そしてそんな言葉を掛けられ久遠の意志は更なる決意に満たされる。

 彼女が諦めるのを待とうと、彼女を彼女の守るものを壊してなるものかと。

 

 「...何で、何で答えてくれないんだ...久遠、私は信じたいのに、私はただ...あなたの側に...」

 

 フィアの声に久遠は答えない、その理由は定かではないが、きっと自分のためだと思えた、いや思っていたいだけかもしれないが、その小さく切ない声も久遠に届くことはなかった。

 しばらくしてもフィアがそこから動こうとしない。

 しかし、それは刻一刻と近づいていた、森の奥からただならぬ気配が広がり初め静寂ではあるが緊張の糸が張り始めていた。

 

 くそっ、なんかヤバイのが来てるな。

 まぁ、あれだけ大声と、あの存在感出してれば必然だが、問題は数だ、めちゃくちゃ集まってくるな、これじゃぁ失笑もできねぇ。

 

 最初に気づいたのは久遠だった記憶はないが体は覚えている、畏怖という体感を。

 なにかが来ている、フィアのいっていた大型の獣というやつだろう。

 フィアは気づいているのかいないのかあい変わらず動く気配がない。

 

 しばらくの沈黙が続いていたが、森に充満する細い糸のような張り詰めた緊張が切れたように、その者は牙を剥いた。もちろん標的はフィアだった。

 

 「...邪魔だ!」

 

 冷徹な声が響くそしてそれと共に大きな猪に長い牙が生えそれを巨大にしたようなのような獣の体が消し飛ぶ。

 

 「だいたい、あいつは勝手なんだ!」

 

 回し蹴りで一体消滅

 

 「勝手に現れて、勝手に助けて!」

 

 拳の凪ぎ払いでまた一体消滅

 

 「そして何も言わずに、消える!」

 

 また、一体

 

 「私の気持ちも考えろ!」

 

 ご乱心のフィアは強かった、先日の戦技とやらを纏ってはいるもののそれ以上に色濃く纏った怒りが一撃で自分の何倍もの体重体積を持った獣を消し飛ばしていく。

 

 ...ウリフィア、怖すぎる

 

 そしてそんな様子を見ていた久遠は冷や汗をかいていた。

 心配はしていなかったが、まさかあそこまで怖いと思っていなかった。

 だが、どこまで持つかだ、どっから沸いて出てるのか知らんが、フィアの力もじり品みたいだ、力が段々収まっていってる。

 くそっ、何で速く逃げないんだ!

 

 なぜかフィアはその場から離れることをせず、いまだに絶え間なく大きな獣と戦っている、そしてその額には汗がにじみ、段々と肩で息をするようになっていた。

 彼女が持つのもあと少しだろうと感じていた、そして久遠の心には迷いが生まれ始める。

 

 「っ、切りがない」

 

 段々と手数が減っていき防御に廻り始める、その分襲いかって来る獣の量も増え徐々に攻撃をまともにくらってしまう。

 少しずつ服が削られ血が滲み意識が飛び始める。

 もう通常の状態に戻ってしまっていた。

 

 「...く、おん...」

 

 力つきると同時に自分の名前を呼ぶ彼女を見て、久遠の中の何かが切れる。

 

 何が守だ!ウリフィアが、女の子なのに、こんな危険なところまで来てそれでも俺を信じると言ってくれた彼女が傷ついていると言うのに、俺は!

 

 自分を叱咤し、勢いよく隠れていた木の幹から飛び降りるとその反動を利用して、今にも止めを差そうとしている一体にけりを入れる、もちろんこの程度で倒れるとは思っていない、突然の訪問者の攻撃に体制を崩している獣に腰のホルスターから抜いた拳銃で止めを差す。

 

 重い一撃はいらない、確実に仕留められる一手を。

 

 静かな怒りを抱え戦う久遠の目には光はない、ただ淡々と敵の体制を崩し確実に仕留める。

 迷うことない動きと共に握る拳銃と戦闘から少しの記憶が蘇る...

 

 そうだ、俺は傭兵だ。

 

 森には銃声が鳴り響く切れたカートリッジを素早く腰の物と入れ替える。残弾8、倒し切れはしないが逃げる道を作るのには十分だった。

 囲っている獣の陣形に穴が開く、そこに入ろうとする新しい者の額に確実に弾丸を打ち込んでいく。

 

 3.2.1いまだっ!

 

 後ろで倒れているフィアを左肩に掛けるような体制で抱くとそのまま全力で逃げる、前に立ちはだかる獣を確実に仕留めながら全力で森を駆け抜ける。

 

 本当は、お姫様抱っこみたいなことをして格好つけたいんだが、現実的に今ははそんな事してる余裕がないな。

 

 どこかのおとぎ話で読んだときのことを思い出しながら苦しそうに眠っているフィアを抱え森を抜ける。

 

 もっと考えて行動していれば、ウリフィアは怪我をせずにすんだはずなのに。

 すまない…

 

 後悔の念がどこまでも心を蝕んでいく。

 自分を信じて優しくそして命をかけてくれた少女への恩を仇で返してしまったことが自分自身で許すことができなかった。

 しばらくして、屋敷にたどり着いたときにはもう日が登り始め、鳥のさえずりが聞こえ始めていた。

ヒロインが増えるのに時間がかかります

・・・(;´Д`)

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