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第三話:神様も遊びたくなる時もある

前書きは特にありません

「なんか世界感の説明ばっかりで、俺が飽きたんで

 まぁこれはこれで、やっぱり世界感の説明でしかないけど

 俺が書いてて楽しそうなイベント起こすわ」


「ちょっwww 神様、自分の機嫌で展開作るなや!!」


----------------------------------------------------------


そんな風に彼女と会話してこの世界の情報収拾をしていた時だった。

ミスティの表情が急に険しくなり、鋭い目つきになって周囲を見回す。


「顕現せよ、我が神装擬態!」


そして即座に彼女は自分がさっきまで纏っていた

軽装甲系のビキニアーマーを装着し、構えを取る。


挿絵(By みてみん)


「感知センサースキャン……

 っ! 大型反応っ!! 距離はかなりある…

 でも、早いっ!! 高速飛翔型っ!!」


「え?え? 何?」


突然、武装してはぶつくさ言い出した彼女に

俺は驚いて目を白黒させる。


「貴方も戦闘の準備をしてよ!!

 感じれないの? 奴等が接近してるのを!!

 貴方の体内の神装擬態が、異物接近のコールを出してるでしょう?」


という彼女。

いやしかし、そんな事言われても。


「特に、俺に何かってのは無いんですけれど…」


と返す俺。


「呆れた…

 貴方、凄い神装擬態持ってるワリに、戦闘能力そのものは素人なのね…

 凄いギャップだわ…

 というか、なら、あれが最低戦力状態って事!?

 陸上主体大型を一撃で倒せる様な戦闘力が!?

 それはそれで、凄い話になるんだけど…」


と、彼女は彼女の常識でマシンガンの様に喋る。


「あの、記憶喪失のマヌケなんで、分かり易く説明欲しいんですけど…」


そんな彼女の独り言の様な難しい説明に、説明を求める俺。


「ああもうっ!常識がないってこんなに大変なんてっ!

 でも、細かい事を説明してる暇が無さそうなのっ!

 敵が凄い速度でやってきてるの!!

 だから、貴方も武装して!!」


と、俺に武装を急かす彼女。

なんか分からんが、要するにあの面白い球体無人君が

敵としてやってきてるらしい。

どーも、あれが強敵には思えないんだけど、

この世界的には強敵らしいし、戦闘イベントの強制発生らしいんで

しゃーないなーと、こっちも覚悟を決める。


「ええい! なんか恥ずかしいナァ!

 顕現せよ!我が神装擬態!!」


って中二病みたいに叫んでみた。

うぉう、やっぱリアルでやるとこれは中二病だわ…

ヒキニート的には、これもキョドる。


で、変身バンクっていうか、ロボット登場シーン?変則的な

あのアニメであるようなあれ。そんな文字列で省略。


『おおお、シンクロしてみると

 改めて凄いなぁ…周りが小さく見えるわ…

 それで自分の体の様に動くし…

 この世界の男の神装擬態って、凄すぎじゃね?

 女の方の神装擬態に対して、能力差が凄いんですけど…』


と、ロボット化した俺は率直な感想を口にする。


挿絵(By みてみん)


「そうねぇ…もっと女男比が99:1とかじゃなくて

 9:1とかにでもなったら、

 常時は街に幽閉して、

 ここぞという時だけ決戦兵器で出撃して貰うとか

 そんな面倒な事しなくてもいいのにねぇ…」


と彼女は、そう言いながら

自身の肩の装甲パーツに付いている突起から

光の羽を生やして、そうした後に空を飛翔しては

俺の肩の装甲パーツの上に座った。


そういえば最初に出会った時に飛んでた時も

肩の突起から、光の翼出して飛んでたな…

つー事は、あれが飛ぶ為の装置状態って事か…


女の神装擬態も、コンパクトながら、相当の高機能だな…

ほう、魔法を機械的に突きつめていくと、こうなるのか…。


『どうも君の言葉通り、俺には敵が感知できない様だ…

 君がなんかセンサー的に感じれるモノは

 俺には感じられないんだけど?』


と肩にナビゲーション的に座った彼女に、

ロボットになっても敵の存在を感じれない今の状況を報告する。


「まぁ、記憶喪失って言うんだし…

 それなら仕方ないか…

 神装擬態は、戦闘訓練か実戦で使い続けないと

 能力進化していかないんだから、

 戦闘経験ゼロの貴方じゃ周囲感知能力の段階も

 進化してないって事らしいわね…」


と、彼女がスゲー重要な事を伝聞してくれる。

なんだと! この武装は戦い続けると自己進化していくだと!?

成長型デバイスなんですか!これ!


「うーん、でも??

 この状態がレベル1ってどういう事?

 感知能力の能力付加さえ起きてないって、

 それレベル1段階の完全な初期状態よね…

 子供レベルじゃない…

 子供レベルの神装擬態で、これだけの凄い性能って…」


と、彼女は俺のロボット姿をマジマジと見て眉をひそめる。

その言葉に、俺も同じ様に眉をひそめる。


『なぁ不思議には思ってたんだけど…

 初見で凄い性能って分かるの、どうしてなん?

 強さって、見て分かる様な特徴があるの?』


と彼女が、最初っから凄い凄いと言い続ける

俺のロボットの様に、

何を根拠に高性能と言っているのか、そこを尋ねる。


なんせ、敵を感知するレーダーも無い様な今の俺だ。

この状態なのに、凄いといわれても、流石にそれは首を捻る。


「だって、巨大なアンプリファークリスタルが

 肩と脚に4つも付いてるじゃない…

 ここまで巨大なアンプリファークリスタルに育つまでって

 相当の擬態のレベルアップをしないとオカシイわけで…

 それに、頭部に汎用高機能性の武装クリスタルがあるし…

 もしこれが、レベル1の状態だっていうなら

 貴方の神装擬態は、トンデモ無いモノって事になるわよ?

 だから、オカシイなぁって言ってるわけで…」


と彼女は俺の武装が凄いと分かる根拠を口にする。

はぁ?アンプリファークリスタル?

肩と脚に?

って見ると、確かに肩と脚に巨大なクリスタルがあるわ…

ほう、こういうのがあるか無いかが高性能の判断基準か…

今は、池が近くに無いから分からんが

そういえば、頭部にもクリスタルがあった様な気がする。


『あの、アンプリファークリスタルっていうんですか?

 これって、何なんですか?』


と、素朴な疑問を尋ねる俺。


「これから、一緒に戦って貰う人が

 こんな子供レベルの基礎も分かって無いってのは

 ちょっと眩暈がするんだけど…

 まぁ、そういう事レベルで分かって無いんなら

 今来てる相手には、苦戦どころか

 こんな武装でもやらかすかもしれないから

 注意しておくけれど…

 アンプリファークリスタルってのは、

 世界の魔素(マナ)を急速に集める増幅器の事よ。」


という彼女。


『は?魔素マナ魔素(マナ)ってあれ?

 魔法使う時に必要な、何かみたいな…』


と、俺は地球のゲームの方で聞き覚えのある言葉を聞いてみた。


「世界の常識を全部忘れる記憶喪失なのに

 魔素(マナ)の事は覚えているのね…

 変なの…

 でも、そうよ、魔素(マナ)は、魔法を使う為に必要な

 この世界に溢れている、

 自然現象を強制的に引き起こす、触媒粒子の事よ…

 魔法は、その魔素マナを集めて

 強力な自然現象を引き起こす理論と技術なの。

 で、古代では魔法を、なんか呪文とか方陣とか、

 そんなよく分かってない方法で使ってたらしいんだけど

 法則性が解明されて、方陣系術式を

 自分の纏うモノに書き込んで、

 自動発動できる様にしたのが、

 この神装擬態のご先祖様の、魔技擬態の原型。

 これで、長ったらしい呪文詠唱や、方陣を組むとか

 古代の『魔法使い』とか呼ばれる人達だけの

 固有の能力や学問じゃなくなって

 一般人も魔法が使えるようになったわけ。

 今は、全ての人の体の中に、自分固有の神装擬態を

 埋め込む技術が開発されて、物凄く時間が経ったんで

 遺伝継承で神装擬態を誰でも持ってる時代だから

 言ってしまえば、世界の全ての人が何らかの固有魔法を

 自動的に使えるって事なのよ…

 私のこれや、貴方のそれ、みたいにね…」


そいう彼女の説明。

うぉう、これ、ロボットに見えるけど

魔法の装甲みたいなモンなんかいな!


「ただ、古代でも現代でも、魔法の本質は

 魔素マナを集めて、

 強力な自然現象を起こすって事なわけで、

 強力な魔法の自然現象を起こすには、

 それ相応の魔素マナを集めないといけないの。

 その魔素マナ集める装置が、

 アンプリファークリスタルと呼ばれるこれ…

 詳しい事は、魔装擬態との戦争勃発の時に

 ロストテクノロジーしちゃったんで

 私もよくわからないんだけど、

 これはマナを集めるだけじゃなくて、

 マナの性質を、

 より高度に改変する役割もあるとか、なんとか…

 だから、集めるだけじゃなくて、性質改変するから

 コレクターではなくアンプリファーって呼ばれてるそうよ。」


と、ナビゲーターのミスティさん、情報提供ありがとう。

なんだろう…俺の知ってるマナより、物凄く科学的な感じだな。

ちゅーか、その説明じゃマナって、

ガン○ムのミノ粉みたいに聞こえるな。


ミ○フスキー粒子みたいなモンか…マナって…


つか、魔法というのを突きつめていくと、

俺達の現代科学と対して変わらんモノになっていくって事なんだな…

肉体に内蔵できるって時点で、

俺の元居た世界よりも更に高度にも思えるけど…


「ともあれ、巨大な魔法の力を行使するには

 それ相応の魔素マナを周囲から集めないといけない。

 高速戦闘になるのなら、当然、急速にね。

 だから、高度魔法を使用しての高速戦闘を行う為には

 アンプリファークリスタルが巨大である程、良いってわけ…

 貴方の神装擬態が、見ただけで高性能だと分かるのは

 そういう事よ…」


と侮蔑の目を向けながら言ってくる。


『なるほどね…これはマナの高速収集機なわけだ…

 大きいほど、いっきに大量のマナを集めれると…

 科学ダナー

 ファンタジー魔法浪漫というより、SFの世界みたいだ…』


と、思わず俺世界の言葉でコメントする。


「????」


当然、そんな言葉に首を捻るミスティ。


「何言ってるのか良く分からないけど…

 ただ、貴方は何か、根本的な常識に欠けてるみたいなんで

 初歩中の初歩のこれも言っておくけれど…

 大気に溢れる魔素マナは、

 太陽の照射や、月光の照射で、補充されたり、

 大地から自然に湧き出たりして、一定濃度に保たれるのだけど‥

 魔法の様な消費を行うと、急激に減ってしまって

 魔法を使えば使うほど、空間から枯渇してしまうわ…

 だから、こんな巨大なアンプリファークリスタルで

 マナを吸い続けていたら、周囲のマナが無くなって

 やがては、魔法が使えない空間になるの…

 そうなると、どんなにマナを集める性能が高い

 貴方の神装擬態でも、ガラクタになっちゃうわ…

 戦闘は短時間に終わらせるか、マナが枯渇したら

 空間を変えて、マナが多い空間に場所を変える…

 というのは、男の人の神装擬態の戦い方の基本らしいわ…

 私達の神装擬態は人間大なんで、

 よっぽど大軍で戦わない限りは、

 男の人の巨大神装擬態みたいに空間マナ枯渇を起こすなんて

 なかなか起きないけれど…」


と、また重要な事を教えてくれる、このヒロインさん。


なんだと!?

エネルギー切れがある武装なん、これ!?

それもエネルギー源が外の世界にあるだって!?


それは先に聞いておいて良かった情報だわ。


調子に乗って、長丁場の戦いしてたら動けなくなるって事か。

そりゃやべーわ…


…あれ?

でも空間のマナを吸い続けて、マナ枯渇して魔法使えなくなって

動けなくなるんなら、相手も同じ様に動けなくなるんじゃね?


と、そこでマナ枯渇した場合の両者の状態を考える。


『ねー、疑問なんだけど…

 この武装でマナを吸い続けたら、空間のマナ枯渇するんなら

 敵も味方も全部、マナ枯渇で動けなくなるんじゃないの?』


と、素朴な疑問を来てみる。

エネルギー源が外にあって、それをみんなで共通で使うんなら

戦闘してたら、エネルギー源が枯渇して、みんな魔法使えなくなるやん。


「そうよ…

 だから、訓練で強化進化させていく神装擬態は

 そのうちに、マナ枯渇に対処する為に、

 マナタンクって、私の背中にある、筒状のこれ…

 マナが枯渇した際に、自分の擬態内に貯め込んでる

 内蔵マナを使って継戦できるようになるのよ…

 ある程度鍛えた神装擬態には、

 このタンクがオプションで自然発生するんだけど…

 貴方の神装擬態は、

 アンプが高レベルの擬態のモノにしか見えないのに

 マナタンクが何処を見ても無いのよね…

 普通、アンプの大きさが大きくなるのに合わせて、

 マナタンクも発生するんだけど…

 それが無いって所が…

 貴方の神装擬態が、

 レベル1状態としか考えられない理由で…」


と、不穏な事を言う彼女。


俺は即座に『神様とちょっと相談タイムボタン』を押した。


-----------------------------------------------------


「この程度の事で、ボタン押すなやwww

 ここら辺は、世界から情報収拾しろなやwww」


「だって、こっちに聞く方が早いやろ!」


「ええい!ゆとり世代がっ!!

 次、しょーもねー事で聞きに来たら、応答拒否すっかんなww」


「何ーーーww」


「一応、俺の箱和世界で、苦労して貰うんだから

 そりゃ主人公はチートに設定ぐらいしてやんよww

 ただし、レベル1でな!」


「レベル1なんですか!」


「鍛えたらスゲー、チートになりますよ、ぐらいの方が

 成長性もあってええやん!

 どっかのお兄様みたいな最初から超越的にTUEEEのも面白いけど

 この話だと、完璧超人で冷静に対処されても、面白くないしなー

 修行して強くなる要素ぐらい無いと、俺が不満だ!」


「ああ、神様の趣味ですかww」


「ロボット載る人は、苦労してナンボが

 ロボットモンの基本よ!?」


「魔法世界なのに、ロボット系のノリにするんだww」


「まー、魔法を突きつめたら、ぶっちゃけ科学と変わらんよね?

 ってのも、ついでに書いてみたい試験なんで

 それなら、ロボットかなって…」


「自己進化型のロボットちゅーのも、微妙な設定やけどな!

 ガンダ○だったら、新型機の開発とか、そういうのでの

 パワーアップが基本やろ!?」


「まー。ガン○ムならな。

 あ、ついでに、お前、ガノタって設定にすっから。

 だから、ミノ粉とか、○ンダム用語置換が多発って事で。」


「ここで決まる、俺の人間性www」


---------------------------------------------------------------


そして時は動き出す。


『なるほど、潜在性能は高いが

 能力はレベル1ってのが、俺の神装擬態って事か…

 よーわからんけど、その説明なら、そうらしいな…

 よーわからんけど…』


一応、神様に確認とって、多分鍛えたら世界最強になるんだろう

でもレベルは1の俺のロボットにそうコメントする俺。


「うーん、初期状態がこれって

 鍛えてレベル上げたら物凄い事になる気がするんだけど…

 って、そんな説明してたら、来たわね…

 奴が戦闘範囲に…

 今、説明した事に気をつけて!!

 相手は、巨大な飛翔系の厄介な奴よ!

 男の神装擬態が無かったら、全力逃走するレベルだわ…」


『うおう、そんなん来てるんか…』


「そうよ、そんな厄介なのが来てるのよ…

 で、レベル1なら、相手と同じ飛翔能力も無いんでしょうし

 空中戦は無理ね…

 なら、堅い装甲を頼りに戦うしかないか…」


と溜息を付くミスティ。


『ちょっと戦い方のサポートとかアドバイスとかくれません?

 流石に、俺、素人なんで

 このロボットが強くても、使いこなせないし…』


「ロボット?」


『ああ、ええっと、神装擬態ね、神装擬態…

 ともかく、これでの戦い方のアドバイス下さいよ…』


「最初からそのつもりだから、肩に乗ってるのよ…

 先の戦いの、スマートじゃない戦い思い出したら

 アドバイス無しで迎撃なんて無理だって分かってるし」


『すいません…』


「まぁでも、

 私達コンビの国土回復戦争のデビュー戦って所でいいじゃない?

 旦那様とはこれからも長々としたお付き合いになるのだし

 だから頼りにしてますよ、私の旦那様!」


『いやいやいや、まだ結婚を了承してねーから!

 いや、話としては悪くは無いけど、この世界に慣れてねーのに

 いきなりヒロインと結婚とか、ねーから!』


「へ?

 あっ!来たわ! 正面!!」


とか駄会話のやり取りをしてた時に

正面から高速な弾丸の様なモノが飛んで来て、吹き飛ばされた。


「センサー系すらないって、本当に厄介ね…

 自動回避も出来ないって、これはマズいかも…」


そんな高速突撃に対して、瞬時に肩から離脱して

難を逃れて宙に飛んでるミスティはそう言って呆れる。


俺はというと、高速飛翔系とかいう奴の突撃攻撃に吹き飛ばされて、

仰向けになっていた。


最初に激突の痛みを感じたが、それが瞬時に遮断され

痛みは鈍い感じで「在る」という感覚になった。

感覚同期のシステムなので、自分の体のように動かせるが

半面、衝撃とかも自分と同じになったら痛みで行動不能になるので

そこら辺、感覚遮断できる様になっているらしい。

そういうオートシステムは在るようだが、

普通なら、自動回避するぐらいは出来るってのが

ミスティからの言葉でなんとなく分かった。


むむ、レベル1の歯がゆさか!


で、宙に戻った、敵の姿を確認してみる。


おお、流石に最初のええかげんな球ポリゴンは反省したか。

機械と有機の複合的なワイバーンみたいなのが飛んでいる。


うん、高速飛翔型…。


ああ、これマジで厄介だわ…。

こっち飛べないのに、あっちは高速飛翔とか、不利すぎじゃね?


それも俺、レベル1だし。


『すまん戦闘素人で!

 すまんついでに、この状況、どうすればいいか

 アドバイスくれんか?

 これ、すっげー不利なんですけど!!』


と俺は立ち上がって、ミスティに声をかける。


「女の飛翔系部隊で立ち向かったら、

 何人かは殉職者が出るような強敵よ!

 それ相手に、何事も無く立ち上がって、

 すまん程度なら、むしろ心強いわ!

 男の神装擬態だからそうなのか、

 それとも貴方のそれが初期状態でもよっぽど尖ってるのか、

 男の神装擬態の性能を沢山見てきたわけじゃないから

 判断できないけれど、

 装甲力なら十分みたいだし、

 なら、やりようはあるわ!」


と、空中で飛翔するミスティが俺に返す。


『やりようとは!?』


むー、このヒロイン、戦い慣れしてるなぁ…

まぁ某国の姫君で、王族は戦闘指揮になる系統だっていうんなら

戦闘経験は俺とは比べものにならんか…

こっちはレベル1だしな…。


「その装甲力頼りに、相手がぶつかったと同時に

 ひっつかまえるのよ!!

 パワーはあるんだし、捕まえれば後は締め上げればいいだけ!」


と、脳筋な作戦を思いつくこのヒロイン。

なんだと!?ww


『アホか!!俺みたいな戦闘素人が

 あんな高速な突撃、キャッチできるわけねーだろ!』


やっぱアホの娘なのかなーと、その作戦を聞いて閉口し

ぶっちゃけ俺が能無しなのが問題なんですけど、

それを隠す事もかく、作戦の実現不能性を指摘する。


「貴方一人なら、きっとそうでしょうね!!

 でも、女と男が神装擬態を使って共闘するんなら

 こういう芸当も出来てね!」


と言って、ミスティはまた俺の肩に乗って座る。

そしてそこでそっと目を閉じると…


何かが俺の心をノックした様な感覚がして

何もわからん俺はそのノックに扉を開けるような応対をすると…


「ディスペルされたらどうしようかと思ったケド

 そういう事さえ出来ないレベルで助かったわ!

 感覚共有の魔法で、私の神装擬態と貴方の神装擬態をリンクしたの。

 だから、アイツの動作モーションを私の方でセンシングして

 それを貴方の感覚に同期できるようになったから

 相手の動きが鈍く見える様になってるハズよ!」


と彼女が目を開いてそういう。


『おおお!?本当だ、目で追うのも難しかったのに

 今では、鈍く動いてるように見える!!

 スゲー! 魔法っぽい!!

 共同魔法とか、アリか!!』


「男の人と、これをするのは初めてだけどね!

 でもこれなら、私も作戦、貴方の装甲とパワーで

 出来るでしょう!?」


『おっけーい、これなら出来そう!

 ばっち来いやぁぁ!!』


「………」


その時、彼女が俺の態度を見て、不思議そうな顔になった。


『え?何?その顔…』


そんな不思議そうな目で見つめられて、ちょっとキョドる俺。

侮蔑の眼差しでは無い、くすぐったい視線だ。


「貴方、なんだか不思議な男の人ね…

 まるで、この世界の人じゃないみたい…」


と彼女は、そう言ってクスっと笑った。


うお、見事にストライク!ど真ん中!!

どうして、そういう事、今のやり取りで分かったん!?

何か、俺、失言した!?


「とにかく来たわ!!

 ここまでサポートしたんだから

 ばっちり頼みますよ、私の旦那様!!」


『まー、もうちょっと、十分、時間が経ったら

 嫁には欲しいかな?って思って来たよ、ヒロインさんっ!』


そんな変な売り言葉に買い言葉。


しかし、この奇妙な一体感と、強敵相手の共闘の心地よさに

そんな軽口を叩くしかなかった。

そして、相手の突撃を凝視する俺。


鈍いぞ!貴様!!

俺でもキャッチできるほどに、今度は鈍すぎる!!

よっしゃ、来い来い…


おーしっ!捕まえた!!


「おっけー!後は腕力で締め上げて!!」


と、捕まえたと同時に指示をくれるミスティ。


『オラオラ、ギリギリギリ!!』


なんだか楽しくなって、捕まえたそれを腕力で締め上げる俺。

このロボット、レベル1でもすっげーパワーがある様で

締め上げたら、有機機械なワイバーン、バキバキに壊れていった。


おお、当たればデカイ、パワー型かー!

ほほう!?


その締め上げで沈黙する、ワイバーン。


とまぁ、二人で共闘して、

ミスティ曰くの強敵をそうやって撃退した。


「1日で、大型モノを、2体も撃破!!

 それも1つは高速飛翔系!!

 何これ! 神様からの不幸な私達への贈り物!?」


と、その戦果に目を見開いて歓喜の表情を浮かべるミスティ。


その言葉が的を得ている事に、微妙に笑う俺。

いや、その神様、邪神ですけどね。


アンタがそんな目にあってんのも、元々はその邪神のせいだし…。


とか、真相を知っている俺は、素直に喜びきれないモノの

この一連の出来事に、妙な満足感を覚えていたのだった。



後書きも特にありません

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